わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 100 陶芸での失敗事例4?

2015-03-28 16:08:53 | 素朴な疑問
3) 制作途中の失敗。

 ⑤ 制作途中の失敗事例(電動轆轤)。前回の続きです。

  ) 作品の直径を大きくしても、肉厚はほとんど変化はしません。しかし、直径を小さくすると

    確実に肉厚になります。即ち、作品を膨らませても、肉厚はほとんど変化しませんが、

    背の高さは、膨らみに比例して、確実に低くなります。その為、所定の高さ寸法に仕上げる

    には、所定の高さより、高く土を延ばしてから、形作りをしなければなりません。

    逆に、直径を細くすると、肉厚は確実に厚みを増します。肉厚のまま形作りを行うと、

    撚れ(よれ)が出ますので、厚くなった部分は肉を薄くしながら、更に径を細くする必要が

    あります。肉を薄くする事により、背は高くなります。その為、必要な高さにするには、

    上部を切り取る事もあります。

   a) 直径を細める方法には、作品の径の状況により、幾つかの方法があります。

    直径の大きい場合もは、両手の掌(手のひら)を使い、細くなるに従い、両手の指6本、

    指4本と本数を少なくしてゆきます。

   b) 細める時の注意点。土は細くしようとすると、必ず土の逃げが生じます。

    土の逃げ場を無くすのが理想的ですが、土を指や掌で全周を押さえるには、限度があります。

    その場合、一箇所に逃げ場があると、土はそこに逃げ、細くなってくれません。

    一箇所に逃げ場を作るのではなく、対称的な位置(2又は4箇所)に逃げ場を作ります。

     更に逃げ場の大きさ(隙間)も同じ間隔にします。一方が広いとそちらに多く土が逃げ、

     径は細くなりません。   

  ) 肉が薄くなり過ぎた部分は、径を小さくする事は難しい事です。その為、肉厚にもなりま

    せん。径を小さくして、肉厚にするには肉厚が厚い程効果的です。「ペラペラ」の状態では

    幾ら径を小さくしようとしても、小さくならず、スカートの「ギャザー」状態になるのみです。

    この様な状態の場合、薄くなった部分を切り取ります。薄い部分のみを切り取るのはかなり

    難しいですので、若干厚みのある部分を切る事になります。当然背は低くなりますが、

    切り取った事で、頭が軽くなり、その下の土を上に延ばす事で、背の高さが切り取る前の高さ

    に成る事も珍しい事では有りません。それ故、一度試す価値があります。それでも高さが

    足りない場合には最初からやり直す方が手っ取り早いです。尚、上に土を継ぎ足す方法も

    ありますが、かなり難易度が高いです。

  ) 轆轤作業で簡単なのは、径を広げる事です。電動轆轤では、轆轤の回転に合わせて遠心力が

    発生し、常に径を広げる方向に力が働くからです。

    逆に、径を狭める事は、遠心力以上の力で、中心(内側)に押し戻す事に成りますので、

    難しくなります。それ故、径を小さめに作り、最後の段階で径を所定の寸法に広げる事が

    制作上の「コツ」です。

  ) 作品の揺れの問題。

   a) 轆轤作業が巧く行っている場合は、作品に揺れは発生しません。しかし、背が高くなるに

    従い揺れが発生します。特に上部は大きく揺れる事も多いです。その為、上部の振れを抑え

    様としますが、巧く行かない事が多いです。揺れが発生するのは、目に見えている部分より、

    若干下の部分から、揺れているものです。それ故、幾ら振れを止め様としても、下から直さ

    ないと巧く行きません。

   b) 揺れ(振れ)の発生原因は色々あります。

   ・ 土の量が一方に多くなった場合(円周上の肉厚に差がある場合)。

     円周上の高さに差がある場合にも、揺れは発生します。

   ・ 胴体など膨らませ際に、均等に膨らませていない場合。

   ・ 根元(土台)部分で、一箇所が極端に「えぐられて」いる場合(即ち、一箇所の径が小さい)

   ・ 轆轤目を着け様として、轆轤の回転速度を緩くしたが、手の上昇スピードが速い場合。

   ・ 土から手や指を離す際、早く離し過ぎた場合(基本は一呼吸入れる様に、「ゆっくり」

     離す事です。

以下次回に続きます。
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