わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動轤上達法(作品の振れ8)

2011-02-19 21:37:03 | 轆轤の上達方法
引き続き、轆轤作業で起きる、作品の振れについて、お話します。

 ⑧ 肉厚のバラツキの問題

 ) 円周上の一部に、肉厚の差が、発生する場合

   円周に、肉の厚いと所と、薄い所があると、土を挽き上げ際、口縁に高低差が、出てきます。

   即ち、肉厚の所が、高くなり、薄い所が、低くなります。

  a) 口縁に高低差があると、土が綺麗に、回転していない様に見えます。

    実際には、綺麗に回転している場合が、多いのですが、目の錯覚によって、振れている様にも、

    見えます。

  b) 一般に、この状態ですと、轆轤作業が難しいので、弓や針を使って、水平に切り取ります。

    切り取った断面を見ると、肉厚に差がある事が、見て取れます。

    即ち、この様に、水平の断面を見ない限り、なかなか、肉厚の差を感じる事は、出来ません。

  c) 口を水平に、したにもかかわらず、再度土を挽き上げると、またまた、口に高低差が、現れます。

    何度も切って、高さを揃えても、土を挽き上げる度に、高低差が出て来ます。

  d) これは、肉厚の差が、口縁付近にのみ、存在するのでは無く、裾野から口縁までの、全の高さに

    存在している事を、示しています。

    (一度思い切って、胴の部分を、水平に切断すると、その肉厚差を見る事が、出来ます。)

  e) この高さが狂う現象は、陶芸の初心者には、余り見られない様です。

    ある程度、土を薄く延ばす事が、出来る様になった方に、良く見られます。

    (当然、熟練者には、少ない現象です。)

   ・ 初心者にとって、土を薄く高く、挽き上げる事は難しく、どうしても、全体が肉厚に、なり易い

     為と、手の位置が、しっかり固定で出来ていない事で、肉厚の差に、手が追従してしまい、

     結果的に、肉厚の差が、口縁まで影響を、与える事が、少ない為と、思われます。

   ・ 轆轤が上達するに従い、手の使い方、力の入れ方など、少しずつ「コツ」を会得する様に成り、

     そのような方に、この現象が現れ始めます。

     逆に言うと、轆轤上達の途中で、どうしても、通る試練かも知れません。

     (私も、この高さの差については、大変苦労した経験がありますが、いつしか、自然と出なく

      なりました。)

    ・ 現在この問題で、苦労している方も、多い事と、思いますので、原因と対策を、お話します。

  f) 円周上の肉厚の差は、土を挽き上げる前に、すでに発生していると、思われます。

    ・ 即ち、土の中心に、穴を掘り込む際、中心から「ズレ」が発生している、可能性があります。

      中心が「ぶれ」ない様に、しっかり固定すると共に、外側の土をしっかり支え、余り外側へ、

      広がらない様にします。(水切れに注意)

    ・ 同様に、底を作る際にも、口縁だけでなく、外側全体を、しっかり固定して、肉厚の差が、

      出ない様にします。

    ・ 土を挽き上げる直前には、周囲の肉を均一にする作業を、必ず行います。

      作業とは、土の内側、外側、上の三方向を、両手で、しっかり押さえ込む事です。

      手の場合には、内側は親指を、外側は、他の指を、上は、親指と人差し指の付け根を使い、

      口径が狭まる様に、押さえ付けます。特に内外に力を入れ、壁の厚みを、均一にします。

      手以外でも、布などを使い、厚みを調整します。大皿の様に、大きな円の場合に、有効です。

   g) 土を挽き上げる前に、この作業を加える事で、高さに差が出る問題は、ある程度解決される

     はずです。但し、原因は、これ以外にもありますので、次回に述べたいと、思います。


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