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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

国宝の焼き物 (茶碗6)

2010-10-01 22:04:18 | 国宝の焼き物
我が国で作られた、茶碗も2点ほど国宝に、指定されています。

その1点が「銘 卯花墻」の、志野茶碗です。  

 国宝 志野茶碗 銘 卯花墻 (うのはなかき) 

  桃山時代 (17世紀) 美濃(岐阜県可児市) 大萱の牟田洞窯 

  作者 不詳 (加藤源十郎景成の説があります)

  大きさ: 高さ 9.6cm、 口径 10.4~11.7cm、 高台径 6.3cm

  三井記念美術館蔵

1) 志野とは

 ① 我が国の焼き物として、初めて、本格的に焼かれた、白い釉(長石釉)を使った焼き物です。

   又、日本で初めて、絵の描かれ、焼き物でも有ります。

 ② その質感の柔らかさや、温もり、そして淡雪の様な色合いは、日本の焼き物の中でも、ひと際

    特異な陶器です。

 ③ 「もぐさ土」と呼ばれる、粘り気のない白い土に、長石で作った白釉を、厚く掛けて焼きます。

   土に赤い火色が現れ、釉にも細かな、貫入が入り、「柚肌(ゆずはだ)」と呼ばれる、

   小さな穴が、無数に開き、凹凸の趣有る、白い釉に成ります。

 ④ 白い長石釉の肌合いと、酸化鉄(鬼板など)、顔料による、下絵付けが、志野の特徴です。

2) 国宝 志野茶碗 (銘 卯花墻 )とは 

 ① 卯花墻(うのはなかき)の名の由来:

  この茶碗を入れる、内箱の裏に、片桐石州が書いた、古歌の「山里の、卯の花がきのなかつみき、

  雪踏みわけし、心地こそすれ」の、書き付けが有る事から、「卯花墻」の名があります。

  「卯の花」は、見た目が雪の様なので、「雪見草」(ゆきみぐさ)とも、呼ばれています。

 ② 特徴 

  ) 形は、やや腰の張った、半筒形の茶碗で、切立(きったて)風で、口縁近く、横方向に、強く

     箆目(へらめ)が入り、口造りも、高低が有ります。(これを山道といいます。)

     又、口径も自然に、歪んでいます。

  ) 高台は、極端に低く、横方向からは、ほとんど確認できません。

  ) 釉は、ほんのり赤味を帯び、柔らい感じです。

     口縁や裾の緋色は、特に美しく、優れた景(けしき)と成っています。

  ) 釉を掛ける際の、指痕が火間に、しっかり残り、片手で鷲掴み、釉に漬けた事が、判ります。

  ) 鉄(鬼板)で描いた、垣根風の絵に、厚く掛かった釉を、卯の花に見立てています。

     尚、この絵は、井桁(いげた)風に描かれ、何を表現した物かは、はっきり判別できません。

  ) 伝来は、もと江戸の、冬木家にあり、明治20年代中頃に、室町三井家の高保に、渡ります。

     現在は、「三井記念美術館」の収蔵と成っています。

     (尚 三井家では、主に表千家流の、茶の湯をたしな、およそ300年に渡り、利休の道具を

      その核として、多くの茶道具類を蒐集しました。)

以下次回に続きます。

 国宝 卯花墻
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