わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

楽焼 3 (焼成 1)

2010-09-08 21:24:28 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
楽焼は、我が国で発明された技法で、作品は、主に茶の湯の世界で、使用されています。

特に茶碗は、両手で受けると、適度の大きさと、重みを有し、肉厚もやや厚く、熱の伝導を抑えて、

急に冷めるのを、防ぎます。唇に当る感触も、心地よい物と成っています。

 本日の本題の「楽焼の焼成」の話しに、入ります。

1) 本焼きとの違い。

  ① 焼成時間の違い

    本焼きでは、10時間以上焼成する事は、稀では有りませんが、楽焼は2~5分程度の短時間で

    焼成が、完了します。(但し、窯が十分高温に成っている事)

    即ち、楽焼の焼成は、釉を完全に熔かす事を、目的にし、本焼きの様に、土を焼き締める事は、

    考えれいません。

  ② 楽焼の焼成は急熱急冷です。

   ) 本焼きが、低い温度(外気温)から、時間を掛けて、除々に温度を上昇させ、目的の温度に

     成ったら、除々に、温度を下げていきます。

     冷ます時間は、温度を上げた時間と、ほぼ同程度が必要です。

    ) 楽焼は、窯を目標温度より、やや高めに、暖めて措き、その中に、作品を入れ、釉が熔けたら

      素早く、取り出します。更に、黒楽では、水に没して、急冷を加速させる場合も、多いです。

      作品を、一個一個窯に入れ、次々と連続して、焼成していきます。

  ③ 楽焼の焼成温度

   ) 楽は、750~850℃程度で、焼成するのが、一般的ですが、京本焼きと、呼ばれる楽は

      1200℃以上の、高温で焼成される物で、当然強度が増します。

      楽を焼く人の中にも、高い温度(1150℃程度)で、行う場合が有ります。

   ) 黒楽と赤楽では、若干焼成温度と時間に、差がります。

      黒楽の方が、高温で、時間もやや長くした方が、良い結果が出る様です。

2) 窯道具について

   ① 窯 : 楽焼用と本焼き用の窯は、共用に使えるかも知れませんが、別々にした方が、効率も

     良いでしょう。

    ) 楽焼用の窯は、普通「マッフル窯」と呼ばれる、構造に成っています。

      窯の内側に「マッフル」と呼ぶ、中窯(サヤ)を置き、この中に作品を、入れます。

      中窯は、茶碗2~3個程度入る、大きさです。

      内外の窯には、蓋があり、直ぐに開け閉めが出来る、構造に成っています。

      (小さな窯だけでなく、一度で大量に焼成する楽焼用の、窯も有ります。この場合には、

       置き冷ましの、方法をとる事が、多いです。)
 
    ) 内側と外側の窯の間に、燃料や熱源(木炭、薪、ガス、電気など)を入れますので、

       隙間があり、中窯には、炎や熱が作品に届く様に、幾つかの穴が、開けられています。

       その他に、窯の中の、釉の熔け具合を、観察する、色見穴が付いてます。

  ② 鉄製の鋏(はさみ): 作品を、鋏む為に、鋏み易い形で、0.8mm程度の太さで、

    柄の長い形を、しています。

    焼成中は、釉が飴状に熔けていますので、大きな力が、掛かる事は少ないです。

  ③ 陶製のトチ: 釉が床面に、付着し無いように、爪のある「トチ」を使う場合が有りますが、

    必ずしも、必要な物では、有りません。

  ④ その他、窯の蓋の、開け閉め言う、用具、手袋、サングラス: 

   ) 高温の窯の蓋を、度々開け閉めする関係で、素早く操作出来る構造や、用具が必要です。

   ) 断熱(耐火)の手袋: 長い鋏みでも、熱が直に伝わります。

      火傷を予防する為にも、必要です。

   ) 高温の炎を直に、見る事は、眼を傷める事に、成りますので、サングラスを用意する事も、

      考える必要が有ります。

   ) 急冷する為の水を、鉄製のバケツに、汲んで置きます。

3) 楽焼の焼成の仕方

以下次回に、続きます。

 楽焼の焼成
コメント
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