ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

悪法銀座!『石原/地方法人特別税⇔法人住民税国税化⇔小泉/構造改革特別区域法⇔竹中/国家戦略特区』

2014年02月04日 | 日本とわたし
特定秘密保護法の時もそうだったけれど、今回のこの『国家戦略特区』という事柄についても、重々しい漢字の羅列を見ているだけで、なんかとっつきにくい感じがして、
まあ、また後でちゃんと調べて考えるからと、ついつい後回しにしたり、まともに知ろうとしませんでした。。
TPPの問題も然り。
なんかこう、自分とどうつながってるのか、イマイチ実感がわきにくかったのです。

でも、悲惨な原発事故が起こり、それからの毎日、いったい世の中で何が起こっているのかを調べ始めたら、
日本のことやから、東京のことやから、では済まない、
世界はもう、そんなふうには成り立っていない、
とてつもなく巨大な利権に食らいついている一部少数の人間たちによって、世界はがんじがらめになっている……、
ということに、気づくことができました。
それはもう、恐ろしいほどに完成されてしまっているようにも思えるのですけれども、
いえいえ、どっこいまだまだなんとかなる、なんとかしようと世界の市井の市民たちが手をつなげばなんとかなる。
そういう希望の芽が、いろいろな国のいろいろな地域の大地から、頭を出してきていることにも気づきました。
するするとつながっていく、いろいろな物事。
目くらましの映像があまりにきらびやかで、耳にも心地良かったので、それはもうたくさんの人たちが、すっかり騙されてきました。

もう騙されない。騙されてたまるか。

そこで、前大田区議会議員 奈須りえ氏さんが書かれた記事を紹介させていただきます。
これは今、日本のみなさんが絶対に知っておかなければならない問題について書かれたものです。
その中で、特に恐ろしいと思ったことは……、

☆ 23区に税が偏在している=富裕だという税制大綱を作ったのは、自民党や公明党の議員。
☆ その議員たちが過半数を占める都議会や区議会で、税金の使い道が決まり、住民サービス量が決まる。
☆ 23区の区長の多く、そして、23区議会議長会はほぼ全員、自民党議員、元自民党議員で占められている。
☆ 規制緩和を求める企業等が提案し、規制緩和を推進したい民間議員が決める。
☆ TPPも、この国家戦略特区も、表裏一体。
☆ たとえTPPに批准しなくとも、国家戦略特区なら、ISD条項などを除けば、TPPに批准したのとほぼ同じ状況を作ることが可能。


ぜひ読んで、よく考えて、これからみなさんの地域で選挙が行われる際には、どうか真剣に、主権者としての自覚と誇りをもって、取り組んでください。

争点にならない都知事選の争点 
「誰が23区民を捨てるのか」


4月から、23区民の税収が減る。
法人住民税の一部を国税化するからだ。

東京都は、他の自治体に比べると、税金が偏ってたくさん集まってくる。
だから、この偏在する税金を再配分して、財政の厳しい地方に分けてあげよう、という理屈だ。

どこかで聞いたことが?
そう、同じ理屈で、平成20年に、法人事業税が国税化されている。
石原都知事の時だ。
地方法人特別税という。

今回は、法人住民税。

同じ法人だし、報道は不親切で、東京都の税収が1,000億円減る、とだけ取り上げているから、見過ごしてしまいそうだが、
実は、法人住民税が国税化されると、一番影響を受けるのは23区民だ。 
ちょっと図にしてみた。
_______________________________________


*税制改正は平成26年度~の予定だが、法人住民税は、前年度所得に対し次年度課税されるため、影響は来年度から。

左が、法人事業税国税化の時。
国税化されてしまう分を黄色⇒にした。
ピンクの23区に影響は無い。

ところが、今回は、右、ピンクの部分が減る。
実は、法人住民税は23区と東京都とで分けているので、ピンクの部分、肌色の部分、合わせて減る。

ところが、石原都知事の時に国税化した一部1/3が、復活する。

東京都は、肌色部分=法人住民税は減るが、水色=法人事業税は増える。
正確な数字は分からないが、平成20年の導入時の全国の試算が、東京都で3,268億円その1/3が戻れば、1,000億円を超える増収になる。
法人税が好調という報道もあるから、東京都の増収はかなりになるのではないか。

1,000億円は、23区以外の市部も含んだ数字だが、それにしても、東京都は、増収要因があることを考えれば、23区への影響額は大きいだろう。
(*ちなみに、国税化された財源は、交付金として自治体に配分されると言っているから、不交付団体は払っても、理屈上は必要な分戻るはず)


23区長会も23区議会議長会も、自民党の税制調査会が出した、法人住民税の国税化に対し、
地方分権に反するから、地域の責任を果たすためにもと、反対の意を唱える意見書を出している

しかし、23区の区長の多く、そして、23区議会議長会はほぼ全員、自民党議員、元自民党議員で占められている
しかも、この税制大綱は、自民党・公明党で出したものだ。
 
日本の1割を超える国民が集中し、税金の稼ぎ頭の東京、それも23区の税収が、偏って多いから、地方へ交付しましょうと、自民党・公明党の議員が言っている。

ところが、23区では、保育園も特別養護老人ホームも足りなければ、公共施設が老朽化し、更新だって満足に出来ない状況だ。

特養に入るために、田舎に引っ越した、という話だって聞く。

大田区で、1年間に補修する道路面積は、全区道面積の1/500にも満たない
どうするのかと区議会で聞いたら、誰も答えられず、沈黙がしばらく続いた。
みんな分かっているけど、自分の責任じゃないということだろう。

老朽化した公共施設も、大田区でできなければ民間にやらせて、それでもダメなら売るとまで言っている。
でも、民間に任せたら、お仕事になって既得権になるから、手放さないんだろう。

こうした視点から見れば、23区は、どう考えたって余裕等無い

一方で、大田区の公園は、ほぼトイレ付。
しかも、ありがたいことに、区が業者を雇って、掃除、トイレットペーパー交換だってしてくれている。
公園にはトイレがあまり無い自治体も多いと聞くが、みなさんの自治体はどうだろうか。

サービス量はいつも足りなくて、安い行政サービスでなく、高い民間サービスを買ったり、我慢したりしている区民も少なくない。
サービスが受けられることを知らない区民だっている。

5年前には、東京都が金持ちだと言っていた国だか当時の政府だかが、今度は、23区が金持ちだと言っている
何が変わったのだろう。

23区に税が偏在している=富裕だという税制大綱を作ったのは、自民党や公明党の議員だ。
その議員たちが過半数を占める都議会や区議会で、税金の使い道が決まり、住民サービス量が決まる

そう言うことだ。


【IWJブログ・特別寄稿】
原発問題に隠れた都知事選の争点:国家戦略特区
(前大田区議会議員 奈須りえ)


原発の問題も重要だが、私の都知事選の争点は、「国家戦略特区」「法人住民税国税化」

今日は、国家戦略特区について取り上げたい。

どちらも、舞台は、東京都。
都民に大きな影響を及ぼす。


◆TPPと表裏一体の国家戦略特区◆

アベノミクス第一の矢として、大胆な金融政策、 第二の矢として機動的な財政政策、そしてそれに続く第三の矢が「国家戦略特区」だ。
規制緩和により、世界で一番ビジネスしやすい街をつくろうとしている。

規制緩和と言えば、TPPだが、TPPも、この国家戦略特区も、表裏一体だ。
国際条約であるTPPに批准し、実効性あるものにするには法整備が必要だからだ。
たとえTPPに批准しなくとも、国家戦略特区なら、ISD条項などを除けば、TPPに批准したのとほぼ同じ状況を作ることが可能になる。

提案した竹中平蔵氏本人が、「岩盤規制緩和の突破口」と言っているように、
この国家戦略特区というしくみが、一足飛びの規制緩和を、可能にしていくと見ている。

その舞台の一つが、東京都になるというわけだ。

ネーミングからして「国家戦略」と勇ましく、「特区」とスペシャルな響きだが、国家戦略特区のどこが飛躍的な規制緩和を可能にするのだろうか。 
一つが、特区というしくみによる規制緩和だ。

◆小さく生んで大きく育てた特区~何故できたかといえば火事場だったから◆



▲特区法の変遷

そもそも、特区法を使った規制緩和は、2003年、小泉政権時に、「構造改革特別区域法」としてスタートした。
当初、「一国二制度ではないか」「法の下の不平等ではないか」といった議論もあったが、
「地域主権だから」「税財政措置はとらないから」ということで、試験的に成立した。

憲法95条は、ある自治体だけに適用される法律は、対象となる自治体で住民投票し、その過半数の同意を得なければ制定できないとしているが、住民投票も行われていない
元の法律を改正せずに可能な、特区による規制緩和は、法の目的の範囲内だからだったのだろう。
構造改革特区法には、数多くの規制緩和が列挙されているが、未だに実行されていないものがたくさんある。

ところが、今回の国家戦略特区法は、規制本来の目的までなし崩しにしようとしている

さらに、震災直後の2011年4月に成立した総合特別区域法には、法の下の平等という点で問題だと指摘されていた、財政措置が盛り込まれた
被災地域への特別な支援が必要、という心理的背景が、特区を使った法の下の不平等を、既成事実化してしまったのではないか。
その結果、地方税である法人事業税や、固定資産税の全額減免等が、地方税法で定められた議会の議決なしに決められている

国家戦略特区のワーキンググループで行われた有識者ヒアリングには、
平時であれば、絶対に法制審をスキップすることはできない。
なぜできたかといえば、火事場だったからである。
つまり、今も火事場だ、という認識を作る必要がある。
だから、平常のルーチンはスキップさせてもらいますと、これはとても重要だと思う
」という議事録が残されている。

竹中平蔵氏自身、国家戦略特区について、法律論上は難しい問題を含んでいる、と言っているのは、こうした経緯に有るのではないだろうか。


◆岩盤規制の突破はミニ独立政府で◆

しかも、今後の規制緩和が、内閣総理大臣が任命する竹中平蔵氏をはじめとする、民間有識者で占める「国家戦略特区諮問会議」「同区域会議」にゆだねられる。
規制緩和を求める企業等が提案し、規制緩和を推進したい民間議員が決める
竹中氏が言うところのミニ独立政府ができたことになる

国家戦略特区諮問会議では、2年で岩盤規制の突破口を開くと話されており、
雇用の規制緩和や、
混合診療などの医療規制の緩和
道路や上下水道事業など、公共インフラ運営に株式会社参入や、
株式会社による公立学校運営などが、
まず、東京都から導入され、全国展開していくだろう。

5年以上非正規雇用なら、正規雇用への転換を義務付ける労働契約法を見直し、要件を満たせば、延長や解雇を可能する
競争原理が働けば、同じ仕事は同じ賃金になる
それを阻害する規制は取り払い、同一労働同一賃金を目指す
混合診療の枠を拡大し、高額医療に一部医療保険の適用を認める。株式会社に公立学校運営を認める。

こういった規制緩和が、日本の十分の一もの人口が集中する東京都で行われることも問題だが、そんな簡単なものではない。


◆東京都の影響は日本全国へ◆

東京都で展開される解雇特区は、

東京都に住民票のある労働者だけが対象なのだろうか。
それとも、本社を置く企業だけなのだろうか。
神奈川県に住み、東京都に勤務する人は、対象外なのだろうか。
東京都に本社のある、愛知県の工場に働く労働者は対象だろうか。
東京都にある病院で受診する、大阪から来た患者は対象だろうか。
東京都に本院のある、病院の分院での診療は対象だろうか。


東京都で混合診療を認めれば、仮に、東京都内の住民しか受診できないとしても、国民健康保険は、区や市単位なので、
大田区に高額医療の混合診療を認める病院ができて、町田市民がおおぜい受診すると、町田市の医療保険会計が悪化し、国民健康保険料が上がる可能性がある。
そうした不公平についての議論が、都内すべての自治体と東京都で行われてきたという話は、一切聞いていない


これは、自治体の健康保険だけの問題ではなく、企業の健康保険組合に、影響を及ぼす可能性もある

特区などと言っているが、経済活動における区域の線引きは非常に困難で、
東京都に神奈川・埼玉・千葉を加えた1都3県で、人口3000万人圏。
1都6県で、4000万人を超える人たちに影響を及ぼす可能性がある
し、
それだけでなく、全国に影響が及ぶ可能性があることも、お分かりいただけると思う。


国家戦略特区における区域に、どれほどの意味があるだろうか。

バーチャル特区という概念が、国家戦略特区で議論されたが、まさに、バーチャル(事実上の、実際の)という言葉が示すように、
「特区」という区域を限定した規制緩和が、やりたい人たちがやりたいところ(バーチャル特区)で展開するための便法であることがわかる。


◆特区による都民への影響を示せる都知事を◆

国家戦略特区は、経済活性化のために、規制を緩和し、投資を呼び込む、外国企業を呼び込むと言っている。


▲「東京都 アジアヘッドクオーター特区 特区エリアの紹介」より



今、都内では、減税や利子補給により、新宿、渋谷、品川・田町、六本木、丸の内、日本橋、お台場などで、開発が進められている。
しかし、国のみならず、地方自治体まで巻き込んで、税財政優遇措置を行い、利子補給した外国企業が、
オリンピックが終わった日本に、再投資する保障は無い

景気が良くなり、最終的に税収は増えるという理屈のようだが、
試算は行われておらず、減税分以上に、都民に還元されるかどうか、確認することも出来ない

ミニ独立政府と呼ばれる「国家戦略特別区域会議」が、この国家戦略特区について大きな権限を持つわけだが、
この国家戦略特別区域会議のメンバーとなる都知事の果たす役割は、大きいと考える。

(※注:特定の候補者への支持を求めるものではなく、都政に関わる課題についての私見を述べたものである)

前大田区議会議員 奈須りえ オフィシャルブログ