電話が嫌いである。
特に、忙しいときの電話が。
この三日間、平均二時間程度の睡眠しかとっていない。
鬼のように忙しい時間を過ごしている時、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、静岡の得意先からだった。
仕事が押していたが、おいしい仕事でもいただけるのか、と思って電話に出た。
「余震減った?」
「桜散った?」
「プロ野球開幕したねえ」
「こんな時期に、インフルエンザにかかってさぁ。二日間入院しちまったよ」
そんな世間話が延々と続いたあとで、声の調子を変えて「そう言えば、Mさんのとこ、武蔵野だったよね」と言われた。
そして、「市議会選で、○○さんに入れてくれないかな。頼むよ」である。
ようするに、投票のお願いだった。
(いれません!)
私の場合、電話をかけるときは、最大限気を使う。
相手が何をしている状態か見えないのだから、気を使うのが当然だと思っている。
「こんなときに、かけてきやがって」と思われたくないからだ。
だから、「いま、大丈夫ですか」とまず聞く。
これは、最低限のマナーだろう。
「ああ・・・大丈夫ですよ」
しかし、相手から帰ってきた声の気色で、これはもしかしたら忙しそうかな、と判断したら「また、かけなおしましょうか?」と聞く。
そうすると、「ああ、そうしてくれる? わるいね。30分後に電話ちょうだい」みたいなことになる場合もある。
(やっぱり、忙しかったんだな)
友人に電話をかけるときも、「いま大丈夫?」は必ず聞く。
そして、「悪いな。手短に済ますから、少し時間をくれ。忙しいなら忙しいと言ってくれ」とも言う。
相手が何をしているかわからない以上、これくらいは当たり前だと思うのだ。
電話は気を使う。
しかし、相手は、私の十分の一ほども、気を使ってくれない。
こちらが忙しいときに、平気でかけてきやがる。
「いま大丈夫?」さえも聞かない輩が多い。
こいつら、想像力がないんじゃないか。
昨日、私は寝不足からくる疲れで、腹具合がおかしかった。
トイレに、数回駆け込んだ。
午後6時前。
下腹部に何回目かの痛みが襲ってきたとき、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、数少ない得意先の一つだった。
急ぎ・・・・・か?
いや、あとで留守電を聞いて、折り返し電話をしても間に合うかな。
しかし、この時間だから、トイレから出て折り返し電話をしていたら間に合わないかもしれない。
いま、出るべきか。
しかし、腹が・・・・・。
いや、もし、急ぎの仕事の場合、仕事を逃すことがある。
ここは、出るべきだ。
出た。
「ああ、Mさん。今年の本屋大賞を取った小説読んだ? あれ、俺もう読んでいたんだよね」
仕事の話ではなかった。
そのあと、自分がどれほど読書に精通しているかという自慢話を、長々と聞かされた。
10分間、下腹部を押さえて、我慢した。
しかし、我慢の限界というものがある。
相手の自慢話は続いているが、構わずトイレに入ろうと思った。
どうせ、相手には見えないのだから。
そして、便器に腰をかけると、待ちに待ったものが、一気に放出された。
それとともに、強烈な爆裂音。
「え、何、なに! Mさん、な、な、なんか爆発した?」
(はい、爆発しましたけど、それが何か?)
私は、電話が嫌いである。
特に、忙しいときの電話が。
この三日間、平均二時間程度の睡眠しかとっていない。
鬼のように忙しい時間を過ごしている時、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、静岡の得意先からだった。
仕事が押していたが、おいしい仕事でもいただけるのか、と思って電話に出た。
「余震減った?」
「桜散った?」
「プロ野球開幕したねえ」
「こんな時期に、インフルエンザにかかってさぁ。二日間入院しちまったよ」
そんな世間話が延々と続いたあとで、声の調子を変えて「そう言えば、Mさんのとこ、武蔵野だったよね」と言われた。
そして、「市議会選で、○○さんに入れてくれないかな。頼むよ」である。
ようするに、投票のお願いだった。
(いれません!)
私の場合、電話をかけるときは、最大限気を使う。
相手が何をしている状態か見えないのだから、気を使うのが当然だと思っている。
「こんなときに、かけてきやがって」と思われたくないからだ。
だから、「いま、大丈夫ですか」とまず聞く。
これは、最低限のマナーだろう。
「ああ・・・大丈夫ですよ」
しかし、相手から帰ってきた声の気色で、これはもしかしたら忙しそうかな、と判断したら「また、かけなおしましょうか?」と聞く。
そうすると、「ああ、そうしてくれる? わるいね。30分後に電話ちょうだい」みたいなことになる場合もある。
(やっぱり、忙しかったんだな)
友人に電話をかけるときも、「いま大丈夫?」は必ず聞く。
そして、「悪いな。手短に済ますから、少し時間をくれ。忙しいなら忙しいと言ってくれ」とも言う。
相手が何をしているかわからない以上、これくらいは当たり前だと思うのだ。
電話は気を使う。
しかし、相手は、私の十分の一ほども、気を使ってくれない。
こちらが忙しいときに、平気でかけてきやがる。
「いま大丈夫?」さえも聞かない輩が多い。
こいつら、想像力がないんじゃないか。
昨日、私は寝不足からくる疲れで、腹具合がおかしかった。
トイレに、数回駆け込んだ。
午後6時前。
下腹部に何回目かの痛みが襲ってきたとき、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、数少ない得意先の一つだった。
急ぎ・・・・・か?
いや、あとで留守電を聞いて、折り返し電話をしても間に合うかな。
しかし、この時間だから、トイレから出て折り返し電話をしていたら間に合わないかもしれない。
いま、出るべきか。
しかし、腹が・・・・・。
いや、もし、急ぎの仕事の場合、仕事を逃すことがある。
ここは、出るべきだ。
出た。
「ああ、Mさん。今年の本屋大賞を取った小説読んだ? あれ、俺もう読んでいたんだよね」
仕事の話ではなかった。
そのあと、自分がどれほど読書に精通しているかという自慢話を、長々と聞かされた。
10分間、下腹部を押さえて、我慢した。
しかし、我慢の限界というものがある。
相手の自慢話は続いているが、構わずトイレに入ろうと思った。
どうせ、相手には見えないのだから。
そして、便器に腰をかけると、待ちに待ったものが、一気に放出された。
それとともに、強烈な爆裂音。
「え、何、なに! Mさん、な、な、なんか爆発した?」
(はい、爆発しましたけど、それが何か?)
私は、電話が嫌いである。