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リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

桜を見る権利

2011-04-02 10:52:57 | オヤジの日記
エイプリールフールを自粛したという記事をネットで見た。

他に、地震報道を33時間連続でしたあとに「アニメを流すのは不適切だ」という抗議の電話やメールが600件テレビ東京に来たという記事も見た。

それは、明らかに、私とは価値観が違うものだった。

そんな抗議や自粛は、復興には何の役にも立たない。

そう言いたいのだが、価値観が違うので、これ以上自己主張はしない。



代わりに、知人のご両親の話を。

知人のご両親は、今年金婚式を迎える。
そこで、子ども3人が、親のために「思い出の京都旅行」をプレゼントしたのだという。

3泊4日の京都の春を満喫する旅。

だが、4月10日から予定していた旅を、ご両親がキャンセルしたいと言いだしたらしいのである。


「こんなときに、金婚式どころではない」
「しかし、そこまで気を使わなくても」
「同じ日本人。いや、日本人でなくても、この日本で被災したかた全員の安全を祈るのが、人間としての正しい姿だ」
「では、延期しましょうか」
「いや、中止だ。被災地の苦労は、あと何年も続くのだから」


頑固で真面目すぎるほどの父親は、「被災地の方に申し訳ない」と言って、子どもたちの説得に一切耳を貸さなかったという。

この崇高すぎる意思に、違和感を感じると言ったら、失礼かもしれない。
しかし、私は、やはり違和感を感じる。

その自粛は、被災地の方々が望んでいるものだろうか。

夫75歳、妻76歳。
50年間、仲良く寄り添って一つの歴史を作ってきたご夫婦が、京都の桜を見ることを誰が責めることができる?


私は、ご両親は、京都の桜を見る権利を誰よりも持っていると思うのだ。


被災地に、同じように、今年金婚式を迎えるご夫婦がいらっしゃるかもしれない。

その方たちは、京都を旅する知人のご両親のことを恨むだろうか。
羨ましいと思うことはあるだろうが、恨むことはないと私は信じる。


だから、中止しなくても・・・。


「しかし」と知人が言う。
「親父たち本人が楽しめなかったら、意味ないからね。もう親父たちは、旅を楽しめなくなっているんだよ」


何も言い返せなかった。