まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

会社は誰のモノか?

2007-06-24 11:51:19 | 企業一般

○ 経産省企業価値研究会の2005.5.27報告書P17には、「会社は誰のものか」という意識が変化しているとして、以下のような内容が書いています。

     法律的には、株式会社は株主のものである事は言うまでもない。

     95年に発表された調査では、米国では約8割弱、英国では約7割の者が株主と回答したが、ドイツ・フランスでは約8割の者がステークホルダー全て、日本では97%の者がステークホルダー全てのものと回答した。

     053月日経新聞が、経営者と(証券)市場関係者を対象としたアンケートでは約9割は「株主のもの」と回答し、会社は株主のものという考え方が日本でも重視されるようになった。(分母・対象者が違う統計を意図的に持ってきています)

     法律に株式会社は株主のものと言う規定はありますか?私は見たことがありません。株主は株式の保有者です。従い総株主は総株式の保有者です。総株式=法人たる株式会社なら、(総)株主は株式会社の所有者と言えると思います。しかし、こういった考えは無さそうです。通説では、株式を、株主=社員の地位との関連で理解する株主(社員)権としてとらえ、株主権を自益権と共益権に分けて理解します。しかし、株式とは株主が会社に対して有する利益配当請求権という債権であるという株式債権説等もあります。この説によれば、株主は会社の債権者であり所有者では無いことになるのでしょうね。

     人が人を所有する、即ち株主(個人・法人)が法人(人)を所有するという考えは、(奴隷制の存在しない)現代社会ではありませんね。(東大岩井教授は)モノとしての会社は株式であり、株主はモノとしての会社の所有者である(二階部分)。そして会社を人として扱うことで会社自身が会社財産を所有するという二階建ての構造をしていると言われています。

     企業では、資本と労働との協力で事業を行い、価値を創造する生産要素を投入し、財・サービスを生産し販売します。この過程で生ずるアウトプット(産出)からインプット(投入)の価値を控除した差額が、企業の付加価値であり、付加価値から他人資本への金利支払いを行い、労働に対する賃金を支払い、残余が最終的にリスクを負担するのが株主であり、その株主の資本の取り分であるとします。従い、株主は、企業の所有者であり、ガバナンスを付与されるとされます。

○ ここからが私のユニーク(非常識?)な考え方です。会社は、株主と役職員(役員と使用人)のものです。株主だけのものではありません。

・ 貸借対照表 純資産の部の自己資本(今度の会社法ではいつの間にか、会社計算規則で「株主資本」としていますが)を見てみましょう。資本金・資本剰余金と利益剰余金等が記載されています。

利益剰余金は誰が生み出したのですか?明らかですね、その会社の役職員が汗水流して働いたからですね。確かに、株主から提供された資本を元手として使用しますが、利益剰余金は株主が生み出したものではありません。株主には、役職員が生み出した利益からしっかり、資本使用料としての配当金を払えば良いのです。即ち、株主から提供された資本と役職員の労働で、純資産を増やしているのです。なぜ純資産を増やしていない株主が、利益剰余金まで全部取るのですか?全部取る資格など無いですよね。

・ 例えれば、株主が土地を役職員に提供します。役職員は一生懸命働いて賃貸ビルを立てて稼いでいます。この収益から株主=地主に地代=配当を払います。今の、株主資本は全部株主に帰属するという発想では、この賃貸ビルも、土地を貸しただけの地主の所有に自動的になります。こんなバカな発想はないですよね。株主はドロボーですよね。労働者は株主の奴隷ではありません。労働者は会社に利益をもたらしています。労務そのものの出資は持分会社の無限責任社員は出来ます(5761項六号)けど、ここでは労務の結果稼得した利益を自己資本に充当していると考えるわけですね。

     株主は、その会社が気に入らなければ株式を売れば良いです。かなりの株主が、所有者意識等持っていませんね。利回り・配当と株価しか興味をもっていません。そんな株主は、いやならとっとと株を売って出ていって下さいということです。

     少し話が変わって恐縮ですが、会社所有ではなく、会社支配の話になりますが、日本ではかなりの従業員が何十年と企業で働きます。従業員は、株主のようには簡単に会社から逃げられません。家族も含め従業員の生活がかかっています。株主等の声よりも従業員の声を経営に反映させる方がはるかに重要ですね。それによって一層付加価値を増やせるのではないでしょうか。ドイツでは共同決定法があります。例えばソフトウェアのSAPの監査役会メンバーは8人が株主により選任されていますが、あと8人は労働者から選任されていますね。監査役員は、従業員・労働組合と株主総会で選任され、監査役員で構成される監査役会が取締役を選任・解任します。私は、会社の所有者は、株主と役職員であり、株主と役職員が取締役を選任すべきと考えています。(日本の実態は、現役員が取締役を実質選んでいますが)

○ どうして日本は、米国・英国のまねばかりするのでしょう。役所も経済界も大企業も、猿まね日本です。日本の会社は、役職員と株主のモノです。


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