まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

会社法―計算書類承認の意味 

2007-06-01 00:13:24 | 商事法務

       定時株主総会で、株主は、取締役の作成した計算書類を承認します。事業報告については、取締役からその報告を受けるだけですけれども。私には、この計算書類の承認の意味が、今ひとつよく分かりません。また、今度の会社法では、監査役の監査を受けた後の計算書類を取締役会で承認することになりましたね。この承認の意味もよく分からないですね。

○ 即ち、総会で承認・報告の対象となる計算書類・事業報告は、

       監査役設置会社では監査役の監査を受けたもの

       会計監査人設置会社では、計算書類について監査役(監査委員会)及び会計監査人の監査を受けたもの、事業報告については監査役(監査委員会)の監査を受けたもの

       取締役会設置会社では、取締役会の承認を受けたもの

       それ以外の会社では取締役の作成したものですね。

但し、会計監査人設置会社では、取締役会の承認を受けた計算書類につき会計監査人・監査役(監査委員会)の適法意見が揃えば、総会承認不要となり内容を報告すれば足りることとなっています(439)

       通常の企業は、取締役会設置会社&監査役設置会社が多いでしょうから、会社法4363項の規定により、監査を受けた後の計算書類を取締役会で承認することになりました。

     従来の商法の手続きに従えば、例えば3月決算会社の場合、4月下旬の決算取締役会で、決算内容を取締役会として確定して、これをしっかり監査して下さいということで監査役に提出・附属明細書も後から提出して、監査してもらっていましたね。

     これに基づき、監査役が実際どれだけ監査するかどうか別として、一応きちんと監査して、その結果を監査報告書としてまとめ、普通は適法意見をつけて、この監査報告書を添付して、株主総会で、株主の承認を得るために議案として提出し承認決議を受けていました。

     今回の会社法の規定(4633)では、監査役の監査を受けたものを、取締役会として承認することになりました。この承認の意味が分かりません。承認しない場合はどうするのでしょうか?

従来(商法):取締役会で承認→監査役に提出(*)→監査&適法意見の監査報告書→株主総会提出(招集通知に添付して参考書類として送付)→株主総会承認

* 旧商法では、例えば中会社について総会会日の7週間前までに(付属明細書は、計算書類提出後3週間以内に)監査役に提出とかの規定がありましたね。

会社法:取締役会で計算書類の作成&確定→取締役の監査役への計算書類の提出→監査&適法意見の監査報告書→取締役会承認(=この承認の意味が不明)→株主総会提示(招集通知に添付して参考書類として送付)→株主総会承認

○ 【取締役会での承認】何かおかしくありませんか?取締役(代表取締役)が作成して、それを取締役会で承認して、監査役に提出して監査してもらうというのが順序でしょ?そして監査役の適法意見の監査報告書を添付して、株主総会に承認のために提示するのが手順だと思います。

なんで、順番を逆にしたのでしょう、前後どちらでも同じという考えはおかしいと思いますね。勿論、監査役の監査で修正事項が出てきた場合は、もう一度(今度の会社法の流れである)取締役会の承認が必要だと思いますが。

       【株主総会での承認】株主総会での計算書類の承認の意味については、(学者は)計算書類の内容が正確である、会計処理に間違いがなかったという事実を株主が総会で確認する事であるとか、この承認は計算が正当であることを承認することである等と言われています。これが私には意味不明です。

     株主が帳簿閲覧権を行使して自分で調べれば、計算書類が正当であるか否かはある程度言えますね。しかし、そんなことする株主がどれだけいますか。中小規模の内紛会社ぐらいしかやらないですよね。どうして正当であると株主が言えるのですか。例えば、幹部が仲間内の飲み食い・ゴルフ代金を、得意先の名前を入れて交際費にしたり、タクシーで自宅まで頻繁に帰って、会社の交通費にしたり、取引先と組んでソフトウェアの架空発注をして、取引先と個人でコンサルティング契約結んで、一部キックバックを受け会社に損害を与えているけど「ばれていない」場合、食材調達のシェフが納入業者から高値で買い入れてリベートを個人口座に入れたり、世間ではまあいろいろありますね(最近も某NECとかで事件があったと新聞に載っていましたね)不正経理等、計算書類だけを見てどうしてわかるのですか?分かるわけないですよね。計算書類は結果表示の書類です。その作成過程で計算が少しぐらい操作されていてもわかりません。たまたま少し真面目な監査役が、いろいろ調べても、そう簡単には分からない不正経理など世の中にはいくらでもありますし、大企業など調べきれるものでもありませんね。(NECのケースは税務調査でわかった訳ですね。監査役が監査で見つけたわけではありません)

     株主としては、監査役がどれだけ真面目に働いているか分からないけど、適法意見の監査報告書も出してるのだから、少しぐらいいろいろあるかもしれないけど、「まあいいや」、計算書類に表示されている経営成績(PL)及び財政状態(BS)等について、結果としてはまあこれを認めましょうと言うことだと思います。即ち、計算書類の内容が正当・正確なので承認するということではありません。自分で調べもせず正当・正確なので承認等とどうして言えるのですか? ちょっと解釈がおかしいのではないかということですね。


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