〇P48現在(1999年)のところ、中国は決してアメリカに拮抗するような「大国」ではない。―もし中国がアメリカのそうした基盤のかなりの部分を自分のものにしたと判断すれば、現在のアメリカ追従を放棄して、アメリカをアジアから排除する方向に転じるだろう。
〇P59 易の道理を探求する過程で私は、更に深く中国の伝統哲学の人本思想を会得することが出来た。多くの人々は、民主と自由は外来の概念であると思い込んでいる。――儒家が早くから自由主義と民主主義を重視していた事実が判明する。ただその後中国は長期間にわたって封建体制に束縛され、固有の人本主義は歪められた。
〇P62 孫文の三民主義:民族、民権(人民の権利)、民生(国民福祉)。民権主義と「天下は公のために」が中国人には欠落している。中国人は利己主義に走りがちであり、社会との調和を生み出すのが不得意である。
〇P71共産革命によって生まれてきたものが何かと言えば、--「覇権主義的な中華の復活」だった。誇大妄想的な皇帝的支配が蘇ったのである。
〇P82政治家の役割:1) 中国の政治とはなによりもまず「国民を管理すること」にほかならなかった。「民を如何に支配するか」であった。中国ではいまだに昔ながらの政治を行っている。
2)私は政治的な駆け引きよりも、台湾を発展させるための「仕事」を多く行ってきた。台湾のために何をなすべきかを考え、仕事を設定してそれを遂行するのが私の任務である。
〇P87票が欲しいだけの政治は国を害す。「確かに長期的観点に立てばこの政策は必要だが、それを主張すると票が集まらない」という事態がしばしば起こる。政治家同士が国民の前で議論することだろう。
〇P131 未来を拓くのは教育。台湾人は教育熱心な国民。政府予算の15%は、教育と文化に回す。教育改革の中には、魂=台湾では心霊=日本では「こころ」の教育が重要。経済活動の進展は、社会に功利主義的な考え方や投機的な心情をはびこらせ、民主社会に不可欠である相互寛容の精神や相互尊重の気持ちを失わせる危険がある。伝統的文化にある美徳、例えば勤勉・倹約・誠実・互助精神を養うことが重要。
〇中国に望むこと:P143経済的には市場経済だが、政治的には共産党一党独裁体制。少数者の権威主義的かつ独裁的支配が続いている。体質は変化していない。政治的に共産主義、経済的に市場経済という制度は、基本的に重大な矛盾が存在している。
〇対中国:P146中国政府は覇権主義的かつ闘争的で、常に台湾に牙を剝きだしている状態。「急がずに、忍耐強く」という姿勢が必要。
〇対日本:P170自信喪失からの脱却。中国は、戦争中の日本の行為について、これからもことあるごとに問題化するだろう。それは中国の戦略で、投資を含めた日本からの援助を引き出す目的があるからだ。戦前の日本は、勿論多くの問題があったが、日本の主張というものを行ってきたが、戦前・戦中の失敗を経て、戦後になると、対外姿勢に過度の弱さがつきまとう。また、バブル以降の日本の政治家は、発想上の柔軟性が欠落している。
〇P178日本停滞の原因:1)政治家の世襲制、2)排他性の強い官僚主義、3)必要以上の自信喪失
〇P180 多様性の回復:多様性を生かしうる包容力のある社会づくり。例えば、法人化の遅延した農業政策。既成の権益による、多様性の妨害。
〇P198問題は「信念」なのだ。自らに対する信頼と矜持に他ならない。現在の日本の政治的混迷をみるたびに、また様々な日本社会の停滞について耳にするたびに、私はそのことを思い出す。
〇台湾・アメリカ・日本について:P231中国が覇権主義を拡大したとき、日本の「存在」が脅かされる。日本の地理的位置づけから見ても、台湾とその周辺が危機に陥れば、シーレーンも脅かされて、経済的にも軍事的にも日本は孤立することになってしまうだろう。戦略的に見ても、台湾の存在は大きい。
〇P243自分の行ってきた民主化は過去と決別したように見えるかもしれない。しかし、孫文の三民主義を引き継ぎ蒋介石・蔣経国親子の権威主義を経て今の台湾がある。中国人ではなく、台湾を愛し、台湾のために尽くす「新しい台湾人」が生まれてほしい。
〇P59 易の道理を探求する過程で私は、更に深く中国の伝統哲学の人本思想を会得することが出来た。多くの人々は、民主と自由は外来の概念であると思い込んでいる。――儒家が早くから自由主義と民主主義を重視していた事実が判明する。ただその後中国は長期間にわたって封建体制に束縛され、固有の人本主義は歪められた。
〇P62 孫文の三民主義:民族、民権(人民の権利)、民生(国民福祉)。民権主義と「天下は公のために」が中国人には欠落している。中国人は利己主義に走りがちであり、社会との調和を生み出すのが不得意である。
〇P71共産革命によって生まれてきたものが何かと言えば、--「覇権主義的な中華の復活」だった。誇大妄想的な皇帝的支配が蘇ったのである。
〇P82政治家の役割:1) 中国の政治とはなによりもまず「国民を管理すること」にほかならなかった。「民を如何に支配するか」であった。中国ではいまだに昔ながらの政治を行っている。
2)私は政治的な駆け引きよりも、台湾を発展させるための「仕事」を多く行ってきた。台湾のために何をなすべきかを考え、仕事を設定してそれを遂行するのが私の任務である。
〇P87票が欲しいだけの政治は国を害す。「確かに長期的観点に立てばこの政策は必要だが、それを主張すると票が集まらない」という事態がしばしば起こる。政治家同士が国民の前で議論することだろう。
〇P131 未来を拓くのは教育。台湾人は教育熱心な国民。政府予算の15%は、教育と文化に回す。教育改革の中には、魂=台湾では心霊=日本では「こころ」の教育が重要。経済活動の進展は、社会に功利主義的な考え方や投機的な心情をはびこらせ、民主社会に不可欠である相互寛容の精神や相互尊重の気持ちを失わせる危険がある。伝統的文化にある美徳、例えば勤勉・倹約・誠実・互助精神を養うことが重要。
〇中国に望むこと:P143経済的には市場経済だが、政治的には共産党一党独裁体制。少数者の権威主義的かつ独裁的支配が続いている。体質は変化していない。政治的に共産主義、経済的に市場経済という制度は、基本的に重大な矛盾が存在している。
〇対中国:P146中国政府は覇権主義的かつ闘争的で、常に台湾に牙を剝きだしている状態。「急がずに、忍耐強く」という姿勢が必要。
〇対日本:P170自信喪失からの脱却。中国は、戦争中の日本の行為について、これからもことあるごとに問題化するだろう。それは中国の戦略で、投資を含めた日本からの援助を引き出す目的があるからだ。戦前の日本は、勿論多くの問題があったが、日本の主張というものを行ってきたが、戦前・戦中の失敗を経て、戦後になると、対外姿勢に過度の弱さがつきまとう。また、バブル以降の日本の政治家は、発想上の柔軟性が欠落している。
〇P178日本停滞の原因:1)政治家の世襲制、2)排他性の強い官僚主義、3)必要以上の自信喪失
〇P180 多様性の回復:多様性を生かしうる包容力のある社会づくり。例えば、法人化の遅延した農業政策。既成の権益による、多様性の妨害。
〇P198問題は「信念」なのだ。自らに対する信頼と矜持に他ならない。現在の日本の政治的混迷をみるたびに、また様々な日本社会の停滞について耳にするたびに、私はそのことを思い出す。
〇台湾・アメリカ・日本について:P231中国が覇権主義を拡大したとき、日本の「存在」が脅かされる。日本の地理的位置づけから見ても、台湾とその周辺が危機に陥れば、シーレーンも脅かされて、経済的にも軍事的にも日本は孤立することになってしまうだろう。戦略的に見ても、台湾の存在は大きい。
〇P243自分の行ってきた民主化は過去と決別したように見えるかもしれない。しかし、孫文の三民主義を引き継ぎ蒋介石・蔣経国親子の権威主義を経て今の台湾がある。中国人ではなく、台湾を愛し、台湾のために尽くす「新しい台湾人」が生まれてほしい。