まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Asset Dealの売主のRep.& Warranty ②

2014-11-12 20:14:27 | M&A
前回の続きです。
9) Business Employees – Asset Dealでは重要ですね。移籍する人は、少なくとも従来と同等な処遇を求めますからね。Fringe Benefit (法定を上回る部分)、Pension等は譲受会社の制度ですが、移籍従業員を当分どのように処遇するか等を書いているケースもあります。米国の税法に規定する確定拠出年金(DC=Defined Contribution)である401kを日本でも導入したと言われています。でも似て非なる制度なんですね。米国は、会社が設計した枠組みの制度の中で、個人拠出なのですね。日本は税法限度のなかで会社拠出です。米国では、従業員が受領する給与の中から、従業員が拠出額を決めて加入し、これに会社が一定限度まで損金算入可能なMatching Contribution をします。従業員の年金掛金拠出は税前所得からですが、課税後の給与からも拠出することが可能です。この辺の事は、日本の自称M&A専門弁護士は、全く理解していません。Asset Dealの価格調整すればよいとか、制度を移行すればよい等と平気で言います(M&AのFAも知りません)。個人拠出のものを会社が勝手に譲受人に移転できるのですか?できないですよね。譲受人側で同じ401kの制度があれば、従業員個人がその年金を移すことができる。だからPortableと言われているんですね(日本でもPortableですけどね)。

10) Contracts - Disclosure Scheduleで契約一覧を記載します。不動産のリース関係とか、アウトソース先、IT関係など種々雑多の契約があり、数が多ければ全部記載できません。Asset Dealでは、譲渡実行後も従来の取引先関係を継続しないと事業継続に大きな影響がでます。これを受けてCovenantsで、売主・買主が協力して、既存契約の契約上の地位を買主に移転できるよう協力して行いましょう等と記載します。

11) Financial Information; Absence of Certain Changes - 譲渡される事業部門だけのBS,PL &Cash Flowが重要ですね。またClosingまでに重要な変更は行わないというのはStock Dealと共通です。

12) Intellectual Property(IP)―Asset Dealだと移転手続きが必要です。Disclosure Scheduleで、事業継続に必要なIP一覧を記載して、譲渡手続きが必要です。

13) Product Liability and Recalls- 売主のProduct Liabilityは別に買主が承継するわけではないのですが、商品に同じ商標を継続使用する場合等は、買主の事業に支障をきたします。

14) Product Warranty―製造設備を承継しますので、買主が承継した設備で作る品質保証やその条件は実際上承継しますので、売主の製品の品質をチェックしてその標準的なスペック・条件に合致していることをRep.& warrantyするわけですね。Stock Dealでも同じ条項が入ります。

15) Inventory―買主が承継します。Closing Date現在の在庫量を双方で確認して、最終的な買収価格が決まります。譲渡日に譲渡する財産にリストアップされますが、obsolete, below-standard品は、含まれていないとかを記載しますね。

16) Customer and Suppliers-これは重要ですね。事業譲渡してもお客様・取引先との契約の承継が出来なければ業績に大きな影響が出ます。両当事者で協力して承継しましょう。Stock Dealでは、契約は継続していますので、だいぶ書き方が違います。

17) Restrictions on the Business -このDealによって事業継続に支障が出ることはないですよぐらいを記載します。

18) Taxes -Asset Dealでも税金の問題は発生します。不動産を譲渡すると資産譲渡税等の地方税がかかります。日本のM&A弁護士は、この辺ははっきり言って全く無知ですから、注意しましょう。Stock Dealでは、適正に税務申告し納税しています等と記載しますね。

Asset DealのRep. & Warrantyは、Stock Dealのそれとかなり異なります。また何十ページに及ぶDisclosure Scheduleも付きます。また、売主が行っている人事事務・経理・IT等は簡単に分離できませんので譲渡後半年とかは売主が継続してサービスを提供する。その間に買主はシステムを構築してくださいというTransitional service Agreement (TSA)等も同時に締結しますので、Asset Dealは結構手間がかかりますね。



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