まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

無機能監査役会の原因

2007-08-01 00:39:25 | 企業一般

     相変わらず監査役・監査役会が機能を発揮していません。企業不祥事が起こるたびに、監査役制度の強化が計られてきましたが一向に改善されていないように思います。原因はどこにあるのでしょうか。主な原因は会社法の対応が悪いからです。会社法の工夫次第である程度改善されると思うのですが、過去の改正・強化の動きは、全くピンぼけが多いと思います。

     資格と権限:

       資格:監査される取締役等の影響を受けないように独立性が求められています。3352項で、取締役・従業員ではならず、子会社の役員・従業員を兼ねてはいけないと規定されています。また3項で、監査役会設置会社の監査役は3人以上で、半数以上は社外監査役ですね。(H.5改正で大会社について監査役会を設けて、3人以上とし1人以上は社外監査役。H.13改正で半数以上)

       権限・義務:381条―385条に規定されていますね。尚、権限は各自独立して行使できる独任制機関ですね。

-         取締役の職務の執行を監査(S.49年改正から)し、監査報告を作成。尚、監査の範囲は、適法性(違法性)監査と「著しく不当という限定的な範囲の妥当性監査ですね」(この点いろいろ議論のあるところですが)

-         調査権:取締役等・従業員に事業報告を求め、自ら業務・財産の調査をする権限を保有。子会社調査権も有り。

-         取締役への報告義務:取締役が不正の行為をし、又はその恐れがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく取締役会に報告。

-         取締役会への出席義務と必要有る場合の意見陳述義務(H.13改正からですね)

-         株主総会に対する報告義務や、目的範囲外の行為その他法令・定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合、当該行為によって著しい損害が生ずるおそれがあるときは、差止請求することが可能。

       任期:原則4年になりました(336-1H.5改正で23年、H.13改正で4年になりましたね。

     上記の現行制度・考え方・規定には大きな欠陥があると思います。

       取締役会出席義務取締役会の議案で、今から違法な事を行いますから承認して下さい等というバカなことをいう役員がどこにいますか?議案としては、適法・妥当な議案として出します。違法な部分があってもその部分は隠しておきます。悪いことは、見えないようにこっそり裏で行います。これが通常の行動です。勿論取締役会に出席すればどういう意思決定がされているかわかりますし、それ自体は結構な事ですが、出席しているだけでどうして監査が出来るのですか?出来るはずないでしょ。

       4年の任期:任期を長くすることが何が機能強化・独立性に重要なのですか?監査役を実質指名するのは現社長・会長が多いですよね。選任は形式的には総会ですけれども。副社長が社長になり社長が会長になるケースが多いですね。しかも一般的に重任で、社長在任4年なり6年なりです。仮にある監査役が就任して2年で、自分を実質指名してくれた社長が退任しても会長になるケースも多いですね。会社法が期待する、長期的視点で、現経営陣の顔色を見ることなく独立性をもって等と言うことは、任期の操作で期待できるものではありません。

       社外監査役:社外監査役にすれば、独立性もあり現役員の顔色を見なくてもよいということで社外監査役重視になっています。業務の事がちんぷんかんぷんの社外監査役に何がわかるのですか?取締役会開催と同時に監査役会を開催して、常勤監査役の話を聞いているだけが関の山です。社外監査役が弁護士なら法律的な事、公認会計士なら財務・会計・税務的な事は、コメントとしては勿論言えますが、これなら別に顧問弁護士・会計監査人と同じです。

     施行規則124条では、事業報告等の内容の一部に、社外役員の“活躍の状況”等の記載を求めています。キャノンの106(H.18.12.31)事業報告書(↓参照)P.28(PDF16/29)を見てみましょう。弁護士の大江さんは「取締役会および監査役会にほとんど出席しました。取締役会においては、必要に応じ、弁護士としての専門的見地から発言を行っております。」と記載されていますが、公認会計士の清水さん、穴倉について、前半は上記と同じですが、その後「取締役会においては、発言を行っておりません」と記載されています。まあ、監査役会では少しは、「うんとかすんとか」言われたとは思いますが?

社外監査役3名に支払われた報酬は、44百万円です。一体、何なんですかこれは!!

    ↓

http://www.canon.co.jp/ir/report/pdf/report2006.pdf

     監査役(会)が機能するための制度

     監査役会の下部機関に監査部門を作る。大企業では数十人必要ですね。監査役は数人です。常勤監査役がときどき幹部にインタビューして違法行為を見つけられるものではありません。組織的に監査を専門とする部門を作り、継続的にチェックすれば、少しは見つかるのではないでしょうか。業務を熟知している人を配置することですね。営業取引・一般の取引で、例えば取引先と組めばどういった操作が可能か分かっている人が良いですね。内部統制に関連して、施行規則1052項で、取締役()は、監査役の職務執行のための必要な体制の整備に留意とはしていますが、監査について触れているところはないですね。

     監査役は、年初に監査計画書を作成、これを監査部に実行させて、定期的に報告を受けることですね。

     職務遂行段階から職務関係書類(伺書類等)は監査部に回付されるようにする。事後の違法性監査よりも重要なことは事前予防ですよね。まあ、これは内部統制と連携をとってすれば良いと思います。

     社外監査役は、上記②の報告について意見を述べる義務を負う。今の社外監査役は、ハッキリ言って当該会社の書類などきちんと読んでいません。秘書役から手渡される取締役会の資料に目を通すぐらいでしょう。社外監査役もきちんとはたらかせましょう。

今の監査役会は独立性があるのではなく、孤立無援です。数人で何が出来るのですか?監査を実行する部門・スタッフを制度上作らないで監査が義務といわれても出来ませんね。上記で、少しぐらい良くなり多少機能を発揮するかもしれません。


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