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海洋エコシステムの危機、甲殻類がプラスチックを食べ始めた

2013-11-08 | ラジオ
間もなく我々の食卓に、お腹の中に有毒なプラスチック微粒子を詰め込んだ海の幸が並ぶかもしれない。太平洋の水棲生物を対象に、ロシアとアメリカが合同で行った生物学調査によって、食通で知られる甲殻類たちの舌が狂い、消化不能な微粒子を食べるようになっているということが判明した。

海洋のエコシステムは一大変化を遂げている。カリフォルニア海洋大学とモスクワのシルショフ記念海洋学研究所は合同で、太平洋、とりわけ汚染が深刻な北太平洋海流地帯の水棲生物の調査を行った。
そこで判明したことは、人間の無責任な生産活動等の悪影響を最も深刻に被っているのが甲殻類たち、すなわちエビ、イカ、フジツボなどの類であることが分かったのだ。悪影響は、むろん、ひいては人間自身に還ってくる。
甲殻類は食通を持って知られる。
ふつう彼らは滴虫類と呼ばれるものやプランクトン、また微小な稚魚などを食べる。その際、特別なフィルターによって海水から有機物質のみを摂取するようになっている。
しかし彼らのメニューは著しく変化してしまった。少なくとも3つに1つの個体が、海を漂う微小なプラスチック片を、プランクトンと誤って食べてしまい体内に取り込んでいる。

プロジェクトに参加した海洋学者のパーヴェル・ベロフ氏は語っている。
「エビやイカに突如、雑食性が現れた。このことは海洋のエコシステムが深刻な、いわゆる故障を抱えていることを物語っている。これまでカメや魚類、鳥類がプラスチックを食べることは報告されていたが、事は甲殻類にまで及んでいるらしいのだ」

採取された385個体のうち、130までが平均2つから5つのプラスチック微粒子を食べていた。最も多い場合、一つの個体が30もの微粒子を食べていた。
ベロフ氏は語っている。
「科学的分析の結果、彼らが体内に取り込んでいる物質が、有毒物質であることが確かめられた。そうした甲殻類を人間が食べた場合には、中毒は免れない」

むろん甲殻類が被った変化は、他の水棲生物にも及んでいることだろう。食物連鎖を通じて、毒物は大型魚類その他に、果ては人間へと運ばれていく。太平洋の海の幸がプラスチック詰め状態で食卓に並ぶという危惧も空事ではない。共同研究者マリアム・フィリドシュテイン氏は語っている。

海洋生物学入門
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東海大学出版会

10月26日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル