MURDER IN THE MEWS
1937年 アガサ・クリスティ
1920年の『スタイルズ荘の怪事件』で登場したポアロの長篇シリーズは
2~3年おきに発表されていました。
しかし1932年からは年1冊、あるいは2冊のペースで発表されて
その間に短篇を集めたものも出版されています。
なんて精力的…
そんなわけで、いくつかの短篇はトリックが似通っていたり
長篇で扱ったテーマそっくり、というものもあるのですが
何度読んでも面白いから気にしません。
推理そのものよりも文章を楽しみながらクリスティを読んでいるという感じです。
比較的長い短篇が4篇収められています。
『厩舎街の殺人(Murder in the Mews)』
ジャップに呼び出されたポアロが厩舎街(ミューズ)へ行ってみると
若い未亡人アレン夫人が自殺していました。
しかし、医者は不自然な点が多いと言うし、同居人で発見者のプレンダーリースも
心当たりがないと言います。
この “ 自殺のようで、他殺のようで… ” は他にもいくつかありましたよね?
たいがい怪しい人物がそばにいます。
誰かを庇うためなのか、誰かを陥れるためなのか?
危うく犯人にされちゃいそうな時、ポアロみたいな人がいると助かりますね。
『謎の盗難事件(The Incredible Theft)』
客を招いた晩餐の後、メイフィールド卿の屋敷で爆撃機の設計図が盗まれました。
一番怪しいのはスパイと噂されているヴァンダリン夫人です。
しかしポアロの調査で、宿泊客全員が一度客室から出たことが判りました。
これは『教会で死んだ男』という短篇集の『潜水艦の設計図』とほぼ同じです。
後に書かれた『潜水艦~』はぐっとコンパクトで縮小版という感じ。
もちろん、まるきり同じではないです。
『死人の鏡(Dead Man's Mirror)』
準男爵ゴアに呼び出されたポアロが訪ねて行くと居合わせた人がうろたえています。
その後書斎で死んでいるゴアが見つかりました。
自殺と思われましたが、ポアロが調べるうちに家族、客のほとんどが
ゴアと遺産や金銭をめぐってトラブルを抱えていました。
こちらは『黄色いアイリス』の中の『二度目のゴング』とかなり似ています。
こちらの方が発表が早いのですが『二度目~』が原型だろうと解説に書いてました。
私はこちらの方が好きです。
『砂にかかれた三角形(Triangle at Rhodes)』
ポアロが滞在しているロードス島のホテルに、美貌のチャントリー夫人と獣のような夫
ハンサムなダグラスと地味な妻マージョリーが到着しました。
みるみる親しくなるチャントリー夫人とダグラスに、周囲は気まずい雰囲気に…
ポアロがマージョリーに島を出るよう忠告した後、チャントリー夫人が毒殺されます。
これは長篇『白昼の悪魔』と同じテーマを扱っているようです。
登場人物の顔ぶれやストーリーの展開の仕方は違いますが
なぜ男性を虜にする美貌の高慢な女性が死ななければならなかったのか…
興味津々の内容です。
たぶん「ポアロの新作はまだかいな?」とせっつかれたと思うんですよね。
似てるけど…いっか!と考えたとしても仕方ありません(冗談ですってば)
発表した後に「あ!こうしときゃ良かった!!」ってこともあったかもしれませんね。
でも大丈夫 同じものを何度読んでも面白いぐらいなんだから。
サスペンス劇場の原作になっているシリーズの作家の方々も
いろいろご苦労が絶えないでしょうね?
「あの作品と似てるけど…」なんて指摘されたりして。
ミステリーはかなり出尽くしている感がありますものね、って
他の作家のは読んでないからわかりませんが…出過ぎたことを言ってしまいました。
短編集でも満足の一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね
1937年 アガサ・クリスティ
1920年の『スタイルズ荘の怪事件』で登場したポアロの長篇シリーズは
2~3年おきに発表されていました。
しかし1932年からは年1冊、あるいは2冊のペースで発表されて
その間に短篇を集めたものも出版されています。
なんて精力的…
そんなわけで、いくつかの短篇はトリックが似通っていたり
長篇で扱ったテーマそっくり、というものもあるのですが
何度読んでも面白いから気にしません。
推理そのものよりも文章を楽しみながらクリスティを読んでいるという感じです。
比較的長い短篇が4篇収められています。
『厩舎街の殺人(Murder in the Mews)』
ジャップに呼び出されたポアロが厩舎街(ミューズ)へ行ってみると
若い未亡人アレン夫人が自殺していました。
しかし、医者は不自然な点が多いと言うし、同居人で発見者のプレンダーリースも
心当たりがないと言います。
この “ 自殺のようで、他殺のようで… ” は他にもいくつかありましたよね?
たいがい怪しい人物がそばにいます。
誰かを庇うためなのか、誰かを陥れるためなのか?
危うく犯人にされちゃいそうな時、ポアロみたいな人がいると助かりますね。
『謎の盗難事件(The Incredible Theft)』
客を招いた晩餐の後、メイフィールド卿の屋敷で爆撃機の設計図が盗まれました。
一番怪しいのはスパイと噂されているヴァンダリン夫人です。
しかしポアロの調査で、宿泊客全員が一度客室から出たことが判りました。
これは『教会で死んだ男』という短篇集の『潜水艦の設計図』とほぼ同じです。
後に書かれた『潜水艦~』はぐっとコンパクトで縮小版という感じ。
もちろん、まるきり同じではないです。
『死人の鏡(Dead Man's Mirror)』
準男爵ゴアに呼び出されたポアロが訪ねて行くと居合わせた人がうろたえています。
その後書斎で死んでいるゴアが見つかりました。
自殺と思われましたが、ポアロが調べるうちに家族、客のほとんどが
ゴアと遺産や金銭をめぐってトラブルを抱えていました。
こちらは『黄色いアイリス』の中の『二度目のゴング』とかなり似ています。
こちらの方が発表が早いのですが『二度目~』が原型だろうと解説に書いてました。
私はこちらの方が好きです。
『砂にかかれた三角形(Triangle at Rhodes)』
ポアロが滞在しているロードス島のホテルに、美貌のチャントリー夫人と獣のような夫
ハンサムなダグラスと地味な妻マージョリーが到着しました。
みるみる親しくなるチャントリー夫人とダグラスに、周囲は気まずい雰囲気に…
ポアロがマージョリーに島を出るよう忠告した後、チャントリー夫人が毒殺されます。
これは長篇『白昼の悪魔』と同じテーマを扱っているようです。
登場人物の顔ぶれやストーリーの展開の仕方は違いますが
なぜ男性を虜にする美貌の高慢な女性が死ななければならなかったのか…
興味津々の内容です。
たぶん「ポアロの新作はまだかいな?」とせっつかれたと思うんですよね。
似てるけど…いっか!と考えたとしても仕方ありません(冗談ですってば)
発表した後に「あ!こうしときゃ良かった!!」ってこともあったかもしれませんね。
でも大丈夫 同じものを何度読んでも面白いぐらいなんだから。
サスペンス劇場の原作になっているシリーズの作家の方々も
いろいろご苦労が絶えないでしょうね?
「あの作品と似てるけど…」なんて指摘されたりして。
ミステリーはかなり出尽くしている感がありますものね、って
他の作家のは読んでないからわかりませんが…出過ぎたことを言ってしまいました。
短編集でも満足の一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね