まりっぺのお気楽読書

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『そして誰もいなくなった』最初と最後、どちらの一人が幸せか?

2014-03-30 22:23:19 | アガサ・クリスティ
TEN LITTLE NIGGERS 
1939年 アガサ・クリスティ

クリスティ好きとしては『そして誰もいなくなった』は、もちろん読んでいたのですが
あまり面白かった記憶がなく「あー、あったねぇ…」という感じでやりすごしていました。

このあいだ韓国ドラマを見ていたら『そして誰もいなくなった』のことがでてきて
そういえば犯人だれだっけ? とふと思い再読してみました。

そうしたら面白くて、さすがクリスティ! と再認識しました。

私が忘れていただけで、広く世間に知られている話だから
あらすじはくどくど書かないね。

10人の男女が、海岸から1マイルほどのところにある孤島に呼び集められ
ひとり、またひとりと殺害されるというお話しです。

10人は島に到着したその晩に、何者かが録音したレコードによって
過去に犯したとされる罪状を読み上げられました。
もちろん皆否定しますけれども、なにかわけがありそうな感じです。

ポイントは殺害の手順が、古い子守唄の内容にしたがって行われることです。
これはクリスティのミステリにはよくある手法ですよね。

殺人の方法が予告されているようなもので、細心の注意をはらって
警戒を怠らずにいればいいようなものだけど、その隙を狙ってまたひとり殺される…
というわけで、かなり神経にきますよね。

それから、だんだん人数が減っていくにしたがって、お互い顔色をうかがうようになり
疑心暗鬼になっていいます。
だって犯人は自分たちの中のひとり以外にありえないんですもの。
一緒にいると怖いけどひとりにはなりたくないということで
あいつが犯人だ! と思う人間と行動をともにしなければならない状況… ひえ~
最初に死んだ人が幸せ者に思えるよ。

とうとう最後のふたりになった時、彼らはどうするのか? 犯人はどっちだ? という
最高の見せ場が訪れるわけですが、実は私、途中で犯人を思い出しちゃったんですぅ。
そして「あぁぁぁ、だからガッカリしたんだった」と思いましたよ。

誰かが謎を解くというパターンではなくて、本人による告白という
火曜サスペンス劇場、崖の上のラストのパターンなのですね。

たしかに、それまで自分なりの推理をたてながら読み進めてきた方々は
どれぐらい推理が正しかったか確認できて、それはそれで楽しめるのかもしれません。
だけど私は、やっぱり「犯人はお前だ!」とピシッと指差して終わってもらった方が
気分的にスッキリするのよね。
犯人の自己満足で終わられてもねぇ…

まぁ、ラストの好みはおいといて、内容は文句なく面白いと言えます。
章を細かく区切って登場人物各々の事情や神経のたかぶりを描いていまして
中だるみなく楽しく読み通せます。
冒頭で感じたドキドキは最後まで途切れず、緊張感を保ったままラストまで読めました。

この物語の犯人は最後に、この “ 壮大で芸術的な ” 犯罪の動機を述べています。
一部は正論かもしれないし、理路整然としているように見えますが
言ってることはけっこう無茶苦茶ですよ。

この物語の犯人のような人間は、あまり少なくないような気がするのよね。
どういうタイプか書くと読んでてわかっちゃうと思うから書きませんが
同じような思考でもっとムチャクチャな犯行に走られたらと思うとものすごく恐ろしい…
どうか考え込まず、肩の力を抜いて楽に生きて下さい、と言いたいわ。

いつまでも輝き続けるミステリの逸品
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことゲームコーナー
私はあまりゲームが好きでなく、今までスマホでゲームしたことはないのですが
職場のAさんが教えてくれた “ ほしの島のにゃんこ ” にハマってしまいました。 働き者のネコが愛おしいぞぉ

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