まりっぺのお気楽読書

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『マン島の黄金』ファンには嬉しい短篇集

2015-06-17 22:16:16 | アガサ・クリスティ
WHILE THE LIGHT LASTS AND OTHER STORIES 
1997年 アガサ・クリスティ

この短篇集は、クリスティの死から21年後に出版された短篇集の日本版です。
10篇のうちのほとんどは初めて短篇集におさめられた作品です。
ただ、先日書いたカポーティの『真夏の航海』のようにお蔵入りしていたわけではなく
雑誌上では発表されていたのに短篇集の中には入っていなかったストーリーです。

9篇はデビュー後12年以内に書かれています。
いくつかは推理劇、いくつかは探偵の登場しない心理劇
いくつかはウェストマコット名義で書かれそうなロマンスありの物語という内容です。
ポアロが登場するものは2篇で、ひとつはほぼ同じ内容で
『クリスマス・プディングの冒険』として出版されています。

いくつかご紹介しますね。

『崖っぷち(The Edge)/1927年』
村の誰からも好かれている善良なクレア・ハリウェルは、館の当主サー・ジェラルド・リーと
結婚すると誰もが思っていたが、彼は突然小悪魔のような若いヴィヴイアンと結婚した。
ある日、クレアは町のホテルでヴィヴィアンが他の男と過ごしている証拠を目にする。

これは心理劇です。 善良な人間が「正義とは何か?」と葛藤しながら見出した答えに
絶対に個人的な感情が絡んでいないとは言いきれませんよね?
短いストーリーですが、主人公の心の変化が女性らしいイヤらしさ? みたいなものを
垣間見せてくれるスリリングなお話しでした。

『孤独な神さま(The Lonely God)/1926年』
退役軍人フランク・オリヴァーは、英国に戻っても知人が無く孤独だった。
大英博物館にある、小さく寂しそうな神さまの像に惹かれて通っていたある日
同じように神さまの像を見つめている、孤独そうでみすぼらしい若い女性に気づく。

これはありがちな話しで、とりたてて面白いわけではないのですが
けっこう人間のダーティな部分を描いた作品が多い中、ちょっとホッコリしたのでね…

『クィン氏のティー・セット(The Harlequin Tea Set)』
サタースウェイト氏が旧友トム・アディソンに会いに向かっている途中車が故障して
ハーリ・クィン・カフェという店に入ると、懐かしいハーリ・クィンが現れた。
氏がトム一家のことを話していると、トムの義理の息子の後妻ベリルがやって来る。

これは推理劇。 いつ書かれたのかわかりませんが、サタースェイト氏がしきりに
懐かしがっているところをみると、一連の『謎のクィン氏』の後に書かれたんですかね?
意外な展開と犯人! よくできた話しだと思います。

なんらかの理由があってクリスティが短篇集からはじいた作品たちだと思うのですが
ひとつひとつのストーリーは、さすが! って感じの面白さでした。
ハヤカワ文庫のクリスティ・シリーズの短篇はほぼ読みつくしちゃった読者としては
本当にありがたい1冊でした。
こういう作品がまだまだあればいいのになぁ…

まだまだクリスティが読み足りないという方に朗報ですね
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことクラフトコーナー
本で見てあまりにも可愛かったので作ってみたわ! マカロンポーチ
かなりの数マカロンポーチを作ってきた私ですが、ちょいと行程が多くて疲れたね




好きなキャラクターをマカロンポーチにしちゃいましょう
作ってみたいな!という方は上の画像をクリックしてね

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