以前読んだ『短篇小説日和』が面白かったので、こちらも読んでみました。
怪奇となっていますが『イギリス怪奇傑作集』でも書いたように
ただおどろおどろしいというわけではなくて、なんだかしっとり落ち着いた怖さです。
こちらの一冊には、イギリス以外の作家のものもおさめられているのですが
選者(西崎憲氏)の趣味なのか、 “ 英国流 ” が選ばれている気がする…
18篇の中から好きだったものをいくつかあげてみます。
『喉切り牧場(Cut Throat Farm)/1918年 ジョン・デイヴィス・ベリズフォード』
新聞広告を見て休暇を過ごしにやってきた農場は貧しい土地にありました。
いつも包丁を研いでいる主人もその細君も、陰気で退屈な人たちで
楽しみといえば、農場で飼われている一匹の元気な子豚だけでした。
二人は家畜をつぶして食卓に並べていたようですが、数日後、とうとう子豚が消えました。
ショッキングな題名ですね!
暗い雰囲気の話が並んでいる中にあって、この話だけは笑えました。
本当は笑っちゃいけないんですけどね。
『ターンヘルム(Tarnhelm:or the Death of My Uncle Robert)
/1933年 ヒュー・シーモア・ウォルポール』
少年時代、両親がインドにいた頃、あるクリスマス休暇を
カンバーランドにいるロバート伯父とコンスタンス伯父の屋敷で過ごすことになりました。
ある日、ロバート伯父と伯父の召使いしか入ってはいけない塔に招かれて行くと
奇妙な僧帽を見せられました。
さすがイギリス、黒魔術的なお話しです。
本筋とはあんまり関係ないと思うのですが、私が注目したのはコンスタンス伯父。
彼が最後にどう動くのか、ものすごくものすごく気になりました。
『失われた船(The Lost Ship)/1898年 ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ』
ごく静かな港町テイトビーの期待と誇りを受けて出航した船は
数ヶ月後の到着予定が過ぎても戻りませんでした。
何年もの月日がたち、夫や子供を亡くした人々たちの記憶も薄れていきました。
ある晩、ひとりの老女の家に、年をとって変わり果てた息子が帰ってきます。
これは怪奇というのかどうかわかりませんが、不思議な話ではあります。
不思議だけどすごく哀しい… お母さん、元気を出してね。
それ以外に印象に残っているものといえば…
コナン・ドイルかな? シャーロック・ホームズ以外の話を読んだのは初めてです。
それから、エリザベス・ボウエンの『陽気なる魂(The Cheery Soul)』
これを読んですぐに『優しすぎる妻』におさめられていた
ライア・マテラの『破滅の天使(Destroying Angel)』という話を思い出しました。
シチュエーションはまったく違うのですが、はめられちゃって逃げようがないという
窮地におかれた女性が哀れでねぇ…
ほとんどのお話しがハッピーエンドではなくて、人も死んじゃうという本ですが
残酷な本を読んでしまった… という気はしていないですね。
途中から“ 怪奇 ” というジャンルの意識無く読んでいました。
どちらかというと、幽霊・悪魔・妖精などが出てくる話よりは
人間だけで展開している話の方がゾッとしました。
こういうのを読み続けていると、人間不信になっちゃいそうです。
ひとことK-POPコーナー
昨日はお休みでしたが、お昼前にゆうパックが届いて、去年のクリスマスのSHINeeの思い出に浸っているうちに
一日が終わってしまった…本当に旦那さんに申し訳ないと思っています。 思っているから許してねぇぇ