まりっぺのお気楽読書

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イングランド王ヘンリー2世王女 ジョアン

2011-02-01 02:04:09 | イングランド王妃・王女
            左から、ヘンリー2世、ジョアン、グリエルモ2世です

九死に一生の帰国、そして夫からの脱出
ヘンリー2世王女 ジョアン・オブ・イングランド
シチリア王グリエルモ2世妃/トゥールーズ伯レーモン6世夫人


1165~1199/在位 1177~1189

ジョアンはヘンリー2世とエリナー・オブ・アキテーヌの王女で
リチャード1世の妹、ジョン王の姉にあたります。

アンジューのアンジェ城生まれで、幼い頃は母エリナーの宮廷がある
ウィンチェスターやポワティエで過ごしていました。
       
ジョアンが11歳の時、シチリア王グリエルモ2世からの使節がやってきて
婚約が整い、シチリアに向かいました。
翌年シチリアに到着し、10歳年上のグリエルモ2世と結婚しました。
しかし、グリエルモ2世との結婚生活は4年で終わりを告げます。
1181年にグリエルモが亡くなった時、嫡子はいませんでした(王子一人夭逝)

新王になったタンクレッドは前王妃ジョヴァンナ(ジョアン)を
投獄してしまいました。
たぶん、持参金を返したり年金を払ったりするのを避けたかったんでしょうね。

9年ほどたって、十字軍でイェルサレムに向かうリチャード1世がシチリアに到着、
ジョアンと持参金と返すように要求します。
ついでじゃなくって、もっと早くやって来てあげなよぉ

シラをきるタンクレッドに対してリチャード1世はバニャーラの城を強奪し
さらにメッシーナに攻撃をしかけました。
タンクレッドはリチャードに4000マルクを渡して、ジョアンも帰国させることにします。
お兄様が向こう見ずな荒くれ者で良かったね!

1191年、母エリナーがリチャードの嫁にと
ベレンガリア・オブ・ナヴァールを連れてメッシーナに参上します。

ここからたいした冒険談が始まるんだけど、長くなるのではしょるわね。
母エリナーが帰った後、リチャード1世、ベレンガリア、ジョアンとともに
シチリアを発ちましたが、途中で嵐に遭います。
ベレンガリアとジョアンが乗った船が漂流、リチャードが発見、
キプロスで暴君イサキオスを投獄した後、リチャードとベレンガリアが式を挙げ
3人はイェルサレムのアッコに到着しました。

アッコでリチャード1世は、かなり非道で無礼な振る舞いをしたのですが
側にいてどう思ったのですかね? 妹として止めたりしたんでしょうか?

ともあれ、ジョアンはリチャード1世のお気に入りの妹だったそうです。
それでも政治的に必要とあれば、嫁に差し出すことを躊躇しなかったらしい…
リチャードはイェルサレムのスルタン、サラディンの弟アル・アーディルと
ジョアンの縁談を画策しました。
この縁談はお互いが異教徒との結婚を拒んだため実現しませんでした。

フランス王フィリプ2世もジョアンとの結婚に興味を示していましたが
なにせリチャードとフィリプは十字軍遠征中喧嘩ばかりしていたのでね
それに婚約破棄したフィリプ2世の妹アレの件もありましたし…

結局ジョアンは、31歳の時にルーアンでトゥールーズ伯レーモン6世と再婚しました。
このレーモン6世という人は6回結婚してまして、ジョアンは4人目の妻です。
年は40歳で、若い嫁が良かったのかしら? 持参金目当て?
ジョアンに対してまったく優しくなかったそうです。

ジョアンは次第に夫を恐れるようになり、その上暴動の時にひとりにされたりして
とうとう3人目の子を身ごもったまま逃げ出しました。

とりあえずルーアンの母エリナーのもとへ避難したジョアンは
その後フォントヴロー修道院に入りたいと希望しました。
ジョアンは既婚だし、妊婦でもあったのですが特別に受け入れられました。

やっと安息の日々が迎えられるというのに、やはり怖い思いをしすぎたせいかしら
出産の時に亡くなってしまいました。
生まれた男の子も洗礼の後亡くなっています。

ジョアンはそのままフォントヴロー修道院に葬られました。
50年後、長男のトゥールーズ伯レーモン7世が隣に葬られました。
2歳の時に別れた母子ですが、やっと近くにいられるようになって良かったですね。

(参考文献 森護氏『英国王室史話』『英国王妃物語』 Wikipedia英語版)

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