サプライズ

毎年行われているイベントの撮影に行った。

１７年前、これを撮影したのがボクの撮影の初仕事だっただけに、ちょっと他の撮影とは気持ちが違う。
別にここだけ特別力を入れてるわけではないんだけどさ。
ただホーム感というか、原点感というか、ふるさと感というか、そういう気持ちがあるんだよね。

勝手知ったる場所なので、朝から順調に準備をする。
といってもここは、あちこち行ってる中でもかなりセッティングが面倒な場所でもあるので、苦労しつつどうにか終了。

無事に撮り終わりましたよ。
で、本番終了後の事。

実は今年でここの代表であるＲ氏が就任２０周年という事で、この後サプライズをやる事になっていた。
メンバーが内緒で用意した感謝状とかスクラップブックとかを渡すようなものなんだけどね。

それを知っていたので、ボクもその様子をこっそり撮影してたんだけど…。

泣きなさいよ！

突然始まったそのサプライズに驚いてあたふたするものの、全く泣く様子がないＲ氏。
感動はしているんだろうけどね。
でもヘラヘラ笑いながら驚きの声をあげるだけなのだ。

なんだよぉ。
こういう時はウソでもいいから、ちょっとはウルッとしなさいよ！
空気読めない人だなぁ。

結婚式でも、両親への手紙で新婦が泣くからいい締めくくりになるんだぞ。
あそこでヘラヘラ笑っていたら式が全く締まらない。

普段、ドラマとか見てたらすぐに泣くくせに、こういう時は泣きゃしないんだから。
ボクも撮りがいがないわ。

３０周年の時のサプライズは、周りが引くくらいに大号泣してもらいたいものだね。

夜は実家の両親と共に、居酒屋さんへ行った。

昨日が愚妻、数日前が母・美智子の誕生日だったので、合同誕生日会という事でね。
ま、普通に食事するだけなんだけどさ。

席に着き、メニューを見て選んでいる母・美智子。
焼鳥がウリの店だから、最初はそこからいくのかな。

なんて思いつつ、メニューが一個しかないので黙って見守っていると…。

「私これにするわ。たまごかけご飯」

え～！？
たまごかけご飯？

いや、確かにしっかりメニューにあるけどね。
何から食べてもいいんだけどね。
でも、居酒屋でいきなりたまごかけご飯を食べる人なんて初めてみたぞ。

そして
「あんた達は何食べるん？早く選びよ？」
と、一個しかないメニューを独占しておいて言う。

困った人だ。

その後は適当に色々と頼み、モリモリと食べる。
すると母・美智子。
「焼鳥これだけじゃ少ないなぁ。もっと肉を頼まないと」
と言い出した。

え？
別にもう食べなくっていいんだけどなぁ。
と言うが

「あ、この串揚げセットでいいわ。あと茶碗蒸しとサラダも頼も」
と、さっさと注文してしまう。

そうしてそれらが届いたら…
「お腹いっぱいになってきたなぁ。もうこれだけでいいわ」
って！

串揚げセットの中の椎茸一個しか食ってないぞ！

「後はあんたらが全部食べていいで」

と、恩着せがましく言う始末。

こっちは既にみんな腹一杯だっての！

苦しみながら必死で食べるものの、油っこいものばっかりなのでどうしても串揚げを何本か食べられず。
それを残念そうにハンカチで包んでもって帰っていた母・美智子でしたよ。