拳法

今から出かけようと思っていた時。
愚妻にメールが来た。

母・美智子かららしい。

急いでんのになぁ。
どうせつまんない用事だろうよ。
と思っていると…

「今からケーブルテレビに映るから見て！」との事。

こないだ、近くの公民館でイベントがあったんだけど、そこに母・美智子が所属するサークルが出演したのよね。
太極拳のサークルが。
その出番がこの後って事らしい。

おいおい。
予想以上につまんない用事だぞ！
どーーーーーーーでもいいわ。

母・美智子をわざわざテレビで見たくないってのにくわえてさぁ。
太極拳ってものに全く興味ないんだもん。

そもそも太極拳なんて見てて面白いもんじゃないでしょ？
太極拳そのものを否定する気は全くないんだけど、でもあれはやるもんであって見せるものじゃないと思う。
特に、母・美智子がやってる程度のやつはね。

以前実家で、母・美智子から太極拳のＤＶＤを見せられている時
「あ～ここの足がピンと上がってないなぁ」
「あ、こっちが間違ってる」
なんて言ってたけど、そんなの見てるほうには全くどーーでもいいし、全然気付かなかった。

趣味で何をやっても構わないけど、それを人に押し付けるのは勘弁して欲しいよなぁ。

しかしそれを聞いてしまったら、見ないわけにはいかなくなってしまった。
どーーーーでもいいんだけどなぁ。

でも連絡したのがボクじゃなくて愚妻だもんね。
そこが母・美智子のズルいとこだ。

ボクなら絶対に無視するけど、愚妻は見るだろうからさ。
嫁姑という立場もあるしね。
こういう事がキッカケで嫁姑が不仲になるかもしれないもんね。

「あの嫁は私の太極拳を見ないクズ嫁」

なんてご近所さんに言いふらかし兼ねない。
そして
「孫（息子）にそう伝えてて」
と最後に書いていたってのがまたズルい。

そりゃ息子に伝えたら「見る」って言うわな。
息子が見たら親も見るようになってしまうわな。

仕方ない。
チャンネルを合わし、母・美智子の登場を待つ。
これだけワクワク感のない登場も珍しい。
早く出かけなくっちゃいけないのに…。
ったく…。

しばらくしてようやく出てきた。
ビックリするほど何の感慨もない。

母・美智子が次々にポーズをとるのを家族３人で黙ってみる。
これほど無駄な時間はなかなかないだろう。
勿体ない。

終わったと同時に急いで出かけてやりましたわ。
また来年もこのイベントに出るのかなぁ。
どうにかケーブルテレビさんに頼み込んで、もう取材には行かないようにしてもらわねば。