ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

中国のカーナビ事情

2012年05月12日 | 上海生活
中国におけるカーナビは、現在爆発的普及の最中。PNDではなく、カーナビが売れている。
しかし、他の国と最も違うことは日本メーカー品があまりない、と言うこと。

そもそも中国政府は地図ソフトの海外流出を認めていない。とはいえGoogleマップは誰でも見ることができるが。
地図ソフトも、最初はかなり規制されており数社しか作成が認められてなかった。
今では8社ほどあるが、何れにしても公にそのソフトを海外に持ち出せないから国外でナビを作っても地図は中国国内でインストールしなければならない。

それ以上に日本メーカーが苦戦するのは価格。中国には沢山のカーナビメーカーがある。PNDを作っていた会社が組み込みナビに転向しているので、小さい会社でも車載ナビを作っている。車載機の値段がこなれたことと、スマホの普及でPNDの市場は早晩消滅するだろう。
車載ナビも、5万円もだせばそこそこ良い物が買える。

カーショップへ行くと幅を利かせているのはローカルメーカー。CASKAとか、FLY AUDIO(飛音)FORYOUといったメーカーが大手。まったく日本では知られていない。
そして、これらのメーカーの最大の特色はFITモデルと称するパネル一体型。中国で売られている主要な車種に対して、オーディオパネルごと新作し、あたかも工場装着のナビに見えるものを作っている。パネルを作るだけでもかなりの金型費用がかかるだろうし、相当な数のモデルを作る必要があるが、小さいメーカーでもそれをやってくる。

中国の消費者にとって汎用2DIN機は安っぽい市販イメージで、FITモデルは高級感がある、ということなのだ。

しかし、これらのFITナビはオーディオパネルにナビ本体が固定されているため、装着はオーデイオパネルのクリップで押しこんでいるだけ。
追突されたら手前に飛び出してくるのは確実。

北京モーターショーでCASKAのブースで話を聞いたら、「我々は品質に自信があるので、不良率は3%を目標にしている」と言われびっくりした。桁を間違えているのかと思った。30個売って1個戻ってくるような商品は、日本では扱えない。
さらに、彼らは不良は当たり前と思っているので、「中国全土、当日中に新品交換」というような方向に力を入れている。

まあ、そんな製造品質ではあるが、使ってみての不具合はないし、国産品にくらべて機能でも劣ることはない。
これならユーザーはこっちを買うな、と思う。

これら市販メーカー以外にも、星の数ほどある中国のカーメーカーにOEM供給をするメーカーがあり、カーナビを作っている会社の数は正直分からない。数十はあると思う。

ちなみに、中国モデルは皆、目的地検索が手書き入力対応になっているがこれは認識率が高く案外使いやすい。
次の字の候補が出てきて想像以上に早く設定できる。
日本のナビも手書き対応してもいいんじゃないか、と思った。