ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

テレビ電話型商品

2011年10月08日 | 雑記
僕らが子供の頃、21世紀には電話はすべてテレビ電話になっているはずだった。それは全く誰も疑わない鉄板の未来だったが、技術的には実現に何ら問題ないにも拘らず、そうした未来はやって来なかった。

テレビ電話はテクノロジーとしては存在し、実際に携帯やPCでそのサービスは存在する。
しかし、音声電話をテレビ電話が駆逐することはなかったし、多分この先もないだろう。

「それが実現したらすごい」と考えられ確実にニーズがあると思われていたものでも、実際に製品が市場に出まわってみると普及しないことは多い。
テレビ電話の場合は、互いの顔が見えることの価値は案外小さく、むしろ身だしなみを気にしなければいけないという煩わしさが先にたってしまい普及しない。

3Dデレビもそんなようなものだと思う。「テレビが立体になったらすごい」という漠然とした市場ニーズを信じてすべてのメーカーが開発を進めたが、実際には家庭で日常的に視聴するコンテンツに対して立体映像が求められることはさほど多くない。

携帯端末で有料動画を見る、というのも同じような話だと思う。
確かにすごいことだけど、それが必要なオケージョンは実は通勤時間くらいしかなく、そこにはすでに無料で提供されるコンペティターが無数に存在する。

車同士が通信で繋がったらすごい、というのもこれの類で、「たしかにすごいけど、で何するの?」という部分が全く見えていない。

ここに上げた例は、全て自分がユーザーだったらどうか、という視点で考えればそんなに答えを誤ることはない。
「これってできたらすごいよね」という時点で思考がフィックスされ、消費者としての肌感覚が麻痺してしまうと、シーズ型商品は確実に失敗する。