ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

首都圏 高速道路の未来を考える シンポ その2 首都高X

2007年12月21日 | 高速道路
首都圏 高速道路の未来を考えるシンポジウムについて 続きです。

次に、首都高速㈱の渡口執行役員のお話。
首都高の距離別料金導入に関することが主体だった。
距離別料金の導入自体には私は大きな異論はない。逆に、どうも首都高㈱さんが一番気にしているように見える「これは実質値上げじゃないのか」というようなエモーショナルな論議をする気はまったくない。この辺についてはまた後日。

で、ETCをつけない人用の距離別料金適用システム「首都高X」についても簡単なご説明があった。これについては大いに疑問だ。
(当ブログ10月15日エントリー

首都高Xは松下製らしい。まだ試作だが、量産準備は完了しているようだ。
その仕組み概略は以下の通り。

・専用の機械とそれに紐付いた電子マネーカードをコンビニなどで数千円で販売する。
・カードに1200円以上チャージする。
・機械をシガーライターに差し込む。
・入口料金所でカードを収受員に手渡しし、1200円引き去る
・出口で路側機が機械を読み取り、通行区間を特定する。
・後日、再チャージ時等に割引分をカードに返金する。

この仕組み、非常に頭の良い人が考えたことは認めよう。様々な制約条件をかいくぐって、ETCをつけないユーザーに割引適用のチャンスを提供することができる。
でも、一回原点に戻ってETC申し込みの仕組み簡素化等、制約条件を見直すべきだったことは明白だ。
首都高㈱がETCの仕様を変更できないことはわかる。でも、消費者の立場を考えれば、NEXCOや国交省、ORSEと調整するくらいの対応ができなかったのか。

配布された資料によれば首都高Xは「最初楽、後やや面倒」、ETCは「最初手間、後楽」だという。
しかし、「最初」は一回だけど、「後」の手間は毎回なわけで、本当にこんなものが普及するのかビッグクエスチョンマークだ。

さらに、1年間に1往復しか首都高を使わないクルマが全通行量の3~5%を占めていて、ETCをつけてもらうことは期待できないという。でも、そんなユーザーが片道最大でも900円の割引のために数千円かかる機械を事前に購入するとは到底思えないのだが。

次に、「首都高Xは複雑ではないのか。何故海外のようにカメラを使わないのか」という問いに対する回答があるが、これは正直本当にいただけない。
長くなるので、また明日。