エド・ハリス、ダイアン・クルーガー主演、アニエスカ・ホランド監督という魅惑的な顔ぶれなのに、邦題が興味をそぎ、公開から2年後の今まで見なかった。
原題は「COPYING BEETHOVEN」。ベートーベンと作曲家をめざす女性の物語だ。彼女がベートーベンの楽譜の写譜師として作曲家のもとにやって来る。最後の交響曲「第九」の写譜だ。その初演に当たり作曲家自らが指揮台に立つわけだが、耳が不自由では指揮棒が振れない。
そこで舞台上の楽団員に混じって彼女が座り、彼女の指揮を指揮台のベートーベンがコピーするという逆転した関係が原題には含ませてある。
予告を見ていた限りではこれがクライマックスで映画は終わる、と思っていたのだがスタンディング・オベーションで初演の幕が下りても映画はまだまだ中盤、先があるのだ。
作曲家になるということの意味、その奇跡のような才能を受け入れて創作に当たる人間の存在を目の当たりに見ることができる。才能に恵まれながらも、やがて歴史の中でその存在すら掻き消えてしまうヒロインの後姿が余韻を残す。
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