
おすすめ度 ☆☆☆
Unext 鑑賞 2005年製作
一歩兵の手記を原作に“地上にいた兵士”の視点から見た湾岸戦争を描く話題作。
「ジャーヘッド」は海兵隊の刈り上げた姿がポットのようだからそうあだ名されているという。そしてもう一つの意味で「空のポットのように中身が空っぽ」というのがある。本作で描かれる「ジャーヘッド」たちも下品なネタで盛り上がり、上官を何度も怒らせる。頭空っぽな男子高校生みたいな彼らだが、そんなバカっぷりが愛おしく、そしてその陰に隠れた「空っぽの苦悩」がドラマに奥行きを作る。コメディもドラマもスケール感はまったくないが、俗物的な描写が普遍的なリアリティを生む。戦場という過酷で特殊な世界で登場人物たちの本音の部分を赤裸々にしているのがリアリティに繋がり、本作の魅力になっている。
湾岸戦争ではハイテク兵器が威力を発揮し、地上戦はわずか4日で終了した。デイビッド・ハルバースタムは「静かなる戦争」のなかで、「国民の大多数にとっては、いわば「バーチャル戦争」のようなもので、戦闘に巻き込まれたり、犠牲になったりした人間がほとんどいない「非現実」の世界であった」。
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