力馬の姿を描くことで、力強い作品になった。
都会に夢を求めて出て行った青年が成功と失敗の経験の後、戻ってきた。
彼を受け入れる兄は、厩舎を経営している。
兄弟の確執。
一目あいたかった母は、痴呆老人に。
厩舎の仕事はきつい。
しかし、競馬は一攫千金だ。
社会の厳しさと、人のぬくもり。
さまざまに考えさせられる。
落ちこぼれの競馬馬を生き返らせるもうひとつの物語。
話が発展しすぎだが、じっくり描いて最後まで飽きさせない。
しがない仲のよい兄弟の恋物語。
でも、しがないため、振られてしまう。
こんなつまらない話なのに。でも、どこにでも、そこらにいそうな現実的な話だ。
それが結構面白い。
演出と二人の演技のために、彼等の心の動きが実に丁寧にこちらに伝わってくる。
そこはかとない、男のスケベ心を、夜の二人の反省会話で盛り上げる。
兄はビール会社の研究員、弟は学校の用務員。
彼女は、レンタルビデオ屋の女子店員とその妹。学校の先生。兄の同僚の奥さん。
一方的な恋を果敢に攻める。攻める楽しみと断られる悲哀。
大掛かりな仕掛けのない、ほんの小さな身近な出来事。
くすくすとした笑い
夏を前にして、サーフィンの映画だ。
竹中直人が、サーファーだったとは、そしてこの映画では二人の男の子にサーフィンを教える先生に。
さらにそのキャラクターで笑わせてくれる。
主人公の男の子は、サーフィンに取り付かれ、ついには、ハワイまで行く本格派に。
そんなサーフィン教育の映画だ。
中には、さわやかな恋物語もあり、もう映画館は真夏だ。
サフィンですっきりしたい人には最適か。
アルツハイマー病を真正面から捉えた映画だ。
職場、家庭、人生と三つの分野について、三部作の構成になっている。
しっかりした原作・脚本、丁寧な演出、演技陣のアンサンブルと、作品に対するまじめさがよく伝わってくる。
主人公が、50歳とちょうど働き盛りの人生が、病によって、崩れていく。
一方で、夫婦、家庭、社会、職場とそれぞれの人の温もりが、暗い物語を救ってくれる。
それぞれの立場で、自分の人生と重ね合わせながら、物語に溶け込み感動する。
オーストラリアのリトルイタリーでの物語。
仲のいい兄弟。兄は実直で、そのためなかなかいい女にめぐり合えない。
弟はフランクで、いまは恋人とイチャイチャの最中。
兄は、本国のイタリーに花嫁を募集し、写真を入れて手紙を送るのだが、
自分に自信をなくした兄は、弟の写真を同封してしまう。
弟の写真を見て、あこがれ花嫁として、オーストラリアへきた女性は、真実を知り悩む。
しかし、あくまで、弟と結婚したったのに弟にはフィアンセがいた。
こんな単純なストーリーで、リトルイタリーの生活が描かれている。
兄弟の心の変化、悩み、彼等を愛する女たちの悩み。
単純でない恋の展開が、テンポよく描かれ、見ていて楽しい。
(真の恋は?帰国しようとする。恋の別れのシーンはいつもながらジーンと来る)
骨太な映画だ。
アフリカ(ケニア)が舞台だ。現在も最貧民街がある。最近、シリアスな映画はアフリカを舞台にしだした。
そこで、大製薬会社の陰謀が(新薬の人体実験)行われている(これはフィクションか)。
その悪に向かって戦っていた女闘士が殺される。
女闘士の夫(イギリスの温厚な外交官)が、妻の死に不審を抱き調べ始める。
妻の不貞かと思っていたことが、深い闇へと誘われて。
そして、妻のわが身への愛の深さを知っていく。
貧困の民を思い、悪にむかい戦いを始める。
そしてむなしい結末。
だが、妻への愛は堅く結ばれる。
ジョン・ル・カレのよき原作と、広大なアフリカロケで現場感をフルに表現した映像。
緻密な脚本、アカデミー賞を得たレイチェル・ワイズと夫役のレイフ・ファインズの迫真の演技
壮大なスケールの愛の物語に圧倒される。
海猿の続編だが、趣向は全然違う。
衝突し、沈没するフェリーの海難救助の話だ。
海上保安庁の宣伝映画であり、その意味では、よくできている。
そのため、この事故での死者を出すわけにいかず、感動の度合いも少ない。
話が単純なだけに、ストーリーはよくわかり、現実的で、感動を呼ぶ。
ただ、事故にあった人々の必然性が、人物の描き方に弱い面がある。
伊藤英明は、成長した。主役を無難にこなし、ひきつける。
後味がすっきりするだけに、楽しい映画だ。
韓国映画の力強さを感じさせる。
天才ダンサーが、社交ダンス大会で、非常にも足をすくわれ、怪我をしてしまう。
ダンス業界のどんの息子にはめられたのだ。
しかし、先輩に中国人のダンサーを紹介される。
ただし、ダンス大会に出るためには、偽装結婚をしなければならない。
さらに、やってきたのは、プロダンサーの妹でまったくの素人。
最初は、偽装結婚だの、その取締りなど、コミカルなタッチで、韓国映画特有のものを感じさせる。
しかし、だんだん、感情移入されて、二人はいつしか心が結ばれる。
ダンスの練習シーンは、なかなか迫力がある。
実際、ヒロインになるムン・グニョンは、半年間練習をしたという。
あどけないいわゆる妹キャラのグンヨンは、純真さと華麗さを持っていた、まったくの適役。
最後に、二人が分かれねばならなくなり、でも再会するシーンは涙を誘う。
ヒロインも、ミュージカルダンサーである、パク・コニョンが演じ、力強くその悩む姿がいじらしい。
久々の感動ものだ。
タイフーンといい、デュエリストといい、連理の枝といい、韓国恋愛映画のレベルは高い。
なかでも、話の身近さにおいて、この映画は図抜けている。