
おすすめ度 ☆☆☆
オーストリア映画
Unext 鑑賞 1983年製作
1980年にオーストリアで実際に起こった殺人鬼ベルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー。
狂人が出てくる映画は数多いが、ここまで徹底的に狂人側の視点に立った映画はなかなかない。お蔵入りになった理由もよくわかる。この映画は狂人の精神状態を常人に体験させようという映画なのだ。それは不快に決まっている。
出所したシリアルキラーがまたも衝動に駆られて身を疼かせる本作は、まるで犯人の精神状態を体感するようなヴィジョンが生々しく展開する一作。
これは殺人鬼から見た視点で『なぜこのような行動をとったか』というモノローグ付きで殺人が行われていく。
斬新なカメラワーク、狂人のモノローグで綴る構造、そして全編徹底された冷たく陰鬱なトーン。
描かれる内容もさることながら、作品自体が<異常>であり、その凄まじさは他に類を見ない映画史上に残る芸術性をも発揮、観る者の心に深い傷痕を残す。
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