おすすめ度 ☆☆☆
Unext鑑賞 2012年製作 R15+
フランス・フィリピン・ドイツ・イギリス合作
フィリピンで実際に起きたイスラム過激派による誘拐人質事件をドキュメント風に追ったサスペンスドラマ。やはりフィリピンの暗部をスリラー色濃厚に描き出した「キナタイ」を撮ったブリランテ・メンドーサが監督。
2001年5月、フィリピン南部のリゾート地が武装グループの襲撃を受け、外国人を含む21人が拉致される。その様子を臨場感たっぷりに描き出す手腕はさすが。襲われる人々の恐怖に顔が引きつる様子もリアルだ。
だが、2時間、ドキュメントタッチで魅せられると??
資金稼ぎのために人質をたてに身代金を要求するというのが彼らの狙い。映画はもちろん彼らの非道ぶりも克明に描いているが、それと同等ぐらいにあるいはそれ以上に政府の対応や軍隊の救出活動のまずさをも描いている。それ以外にも武装集団と呼ばれる自警団ふうの組織も追いかけてくる。
過激派らに同行させられる人質たちは、彼らから容赦なく銃撃を食らう。一方逃避行は長期に渡り、その間嫌でも過激派と顔を突き合わせているうちに仲間意識のようなものも芽生えたりする。その辺をフランス人NGO職員、テレーズ(イザベル・ユペール)の視点で捉えることで、西洋人(キリスト教文化)と東洋人(イスラム文化)との対立構造として浮かび上がらせている。
やがて9月11日、アメリカで同時多発テロが発生し……。