おすすめ度 ☆☆☆★
Unext 鑑賞 1990年製作 フィンランド・イギリス・ドイツ・スウェーデン合作
要所に原色を散りばめたくすんだトーンの画面をはじめ、登場人物の憮然とした面持ちから滲む乾いた哀感や、唐突なシークエンス展開から漂うシュールなユーモア、そして、決して恵まれているとは言えない男女の不器用な愛を低い視座から淡々と掬い取ったミニマムな語り口など、そんなA・カウリスマキならではのユニークな味わいが存分に楽しめる。主人公が自らの殺しを依頼した後、殺し屋たちから慰められ、人生の美しさを諭されるシーンには笑ってしまう。どんなに冴えない男を演じても、佇まいがやはり絵になるダンディなJ・P・レオはじめ、M・クラーク、K・コリーなど俳優陣は皆好演。
ロンドンで暮らす孤独なフランス人アンリ(ジャン=ピエール・レオ)は、長年務めた職場を解雇されてしまう。
絶望し、自殺を試みる。ロープを調達、首を吊るもののフックが外れて失敗。それならとガス中毒での自殺を図るも、今度はガス会社がストライキ。
彼はカフェで読んだ新聞である広告を目にする。「コントラクト・キラー=殺し屋」これだ。ギャングのアジトを訪れて自分自身の殺害を依頼する。「消す相手は?」とボスらしき男。自分の写真を差し出すアンリ。
アンリは、パブでバラ花売りのマーガレット(マージ・クラーク)に出会って恋に落ちると、生きる希望を取り戻す・
しかし殺し屋はキャンセルできず、だが、殺し屋はガンでという展開。