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" The Melody At Night With You "by Keith Jarrett
キース・ジャレットと言えば、まあ私にとってそんなに興味のあるジャズピアノ弾きでもないんだけど、知人が聞かせてくれたこのアルバムの成立の裏事情に、ふと興味を惹かれ、聴いてみたアルバムだった。
聞かせてもらったのは、とりあえず、こんな話だ。
キース・ジャレットの”The Melody at Night, with You ”なるアルバムの成立には、ある特殊な背景がある。
キースはそのキャリアの中で何年間か、難病のためリタイアしていた時期があったのだが、その病を克服してステージに復帰した際、献身的に介護してくれた奥さんに捧げるために吹き込んだのが、全曲スタンダードのラブソング、というこのアルバムであるとか。
内容は自宅録音、キース自身のピアノソロのみ。もともと発表の予定もなかったとか。
つまりこのアルバム、天才肌で鼻高々だった彼が、ハードな現実に鼻をへし折られたのち、最もみじかな人のために、すべての邪念を捨てて音楽に向かい合った一作なのである。
というのが、知人が語ったこのアルバムの成立由来で、そのどこまでがリアルであるのか知らない。なかなか気に入っている物語であるので、あえて事実確認もしていない。奴がそのようなアルバムなのだ、というのならそれでいいじゃないか。
実際、そのような物語がいかにも似合いの音楽が、このアルバムには収められている。
坂の上の雲になど容易にたどり着けると慢心していた若き日は遠く、行けども手の届かぬ場所もあると知った今、日暮れてなお遠き道を眺めて自分の足跡の小ささを知る。
これまでの営為がすべて無意味だったのかと心折れそうになる彼が、それでもそばにいてくれた人に寄せ、美しいメロディを、ただ美しく紡ぎ出してみせる。心を込めて。ただそれだけでいいんじゃないのか。
そんな呟きが聞こえるような、このアルバムを、私は愛さずにいられないのだ。
キース・ジャレットなんて、奇声を発しながらワケわからんピアノを弾いているだけのおっさんというイメージが強いのですが、このブツには興味津々であります。いつか必ずや見つけ出して、ゲットしたいと思っております♪
このアルバム、特にスりリングなアドリブを聴かせるでもなし、心を込めて、ただ綺麗なメロディを鍵盤上にたどっている、その姿勢が妙に感動的なんですよね。ぜひ、ころんさんにも聞いていただきたく。
いただいたテープ、ほくそ笑みながら聴いております。「ムキムキマンマンス」まで辿り着ける方は、ワールドミュージック愛好家の方でも、マリーナ号さんだけだと思います。貴重なものを有難うございます。
今夜、大阪ワールドミュージックの拠点「プランテーション」での新年会があるので、勝手ながら紹介させていただきますね。
で、COOL STRUTIN'の記事を見て、CD探したら、あるもんですね。ただいま、そちらを聴いております。
とか言いながら、こちらの記事に流れてきたわけですが、このキースのアルバム、十年ちょっとしか経ってないのに、もう入手が難しいのですね。
二十年前、学生だった頃、キース・ジャレットを好んで聴いていたのですが、「あれはジャズじゃない」と言っていた友達が、その十年後、なぜかプレゼントしてくれたのが、このアルバムでした。
今、25年間で聴いてきた音楽で、ベストなものは何かなぁという遊びをやっているのですが、このアルバムは、挙がってきます。