my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ずっーと四時半

2007-06-27 16:30:40 | 好きな絵本

 図書館の新刊の棚で、目に留まりました。

 表紙の絵とタイトル、そしてその文字の並び方に惹かれて手にとってみたら、
見返しも、中の紙もとっても好きな質感でした。

  よじはんよじはん
     『よじはん よじはん』
     ユン ソクチュン 文 イ ヨンギョン 絵
       かみや にじ 訳


 作者のユンさんは、韓国を代表する童話作家で、この本の原詩は1940年、日本による
殖民統治時代に書かれたそうです。
 若手実力派の絵本画家イヨンギャンさんは、その詩を絵本にするにあたり、詩が書かれた
年代よりもすこし下げて、1960年代を念頭において、韓国の田舎の風景を描いたとのこと。


 まだ普通の家には時計というものがなかった頃のお話です。

 どこの村にも必ず一軒はあるよろず屋さん‥雑貨はもちろんお酒、お塩、食料品、
生きたニワトリまで売っているなんでも屋さん‥に、隣に住んでる女の子が聞きにきます。

  「おじさん おじさん
   いま なんじ
   かあさんが きいてきてって」

  「よじはんだ」

  「よじはん よじはん」


 4時半だと、教えられた女の子は、呟きながらお店を出たのですが、お店の前で
水を飲んでいるにわとりを ちょっと みていこう と思い、

 そのそばに居たありが、どこへ行くのかが気にかかってついていくと、そこにとんぼが
すぃーと飛んできて‥

  「よじはん よじはん」

 言いながら、足はどんどん気持ちの向くほうへ行ってしまいます。

 やっと女の子が、元のよろず屋さんの前に帰ってきたときには、街灯に灯りがともっていて
さっきは中で、ラジオを直していた店のおじさんも、外の縁台で涼んでいます。
 でも、女の子の気持ちは、4時半で留まったままだから、お母さんにそう報告した声は
きっと誇らしげに響いたでしょう。ほかの兄弟姉妹は、とっくに夕飯を食べ始めているけれど。

 女の子を見つめるお母さんの顔。何かいいたそうな目をしてるけど、口元や頬は優しそうです。




 夏の日の午後4時半は、この本の中の女の子だけでなく、すべてのこどもと、子供時代を
記憶しているすべてのおとなにとって、永遠に続いてほしいと願う特別な時間かな、と思います。
 
 陽はたしかに傾きはじめているけど、まだ十分高いところにあって。今から出かけるのは遅いかな、
ううん大丈夫と、自信をもって言えるそんな時間‥。

 夏の日の午後4時半。いとおしいです。


 

   …      …      …      …




 時間までは覚えてないけど、
本日6月27日はこのmy favorite thingsの満2歳の誕生日です。
 
 ほんとは、28という数字が好きなので、28日を誕生日にしようと思っていました。
 けれど、最初の記事を前日から用意して、さあ今日が当日!とUPしてみたら、
投稿日時が前日の27日のままになっていて‥どうやって直すのかもわからなくって。

 といういきさつで、27日がブログ初投稿となりました。それから、365日×2の時間が流れた
なんて、信じられない気持ちです。読んでくれる人が居てこそのブログなので、ほんとうに
みなさまに感謝しています。ありがとうございます。

 小3だった娘も、小5になって。

 お昼寝後だった「私のじんせいじかん」も、限りなく、おやつの時間に近づいています。
 でも、じんせいじかん午後4時半も、そうわるくはないかも、と思っている自分に気付き、
気付いたと同時に、ずっと4時半くらいで留まっていたい、とすぐに思い直したりしています。


 ブログはなんじまで、続いていくのかわかりませんが、また明日からの3年目も、
変わらぬおつきあいを、どうぞよろしくお願いいたします。





コメント (22)
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