今日も冬晴れの、真っ青な空が広がっています。
風もないので、枝に残っている色づいた葉に、光が透けてとてもきれい。
各所で、落ち葉染めの記事を目にして以来、サクラの紅葉が
気になって、気になってしかたありません(笑)。
拾ってくる→染めてみる の作業は来年の楽しみにしましたが
気になったおかげで、長く長く、今年は秋を堪能している気がしています。
長く長く、といえば、こちらの本『谷川俊太郎質問箱』も、購入以来
なるべく少しづつ読んで、「長持ち」させていましたが
ついに読み終わってしまいました。
詩人の谷川俊太郎さんが、ほぼ日の企画で、公募されたメールの
質問に答えていったものを、さらにパワーアップして1冊にまとめた本です。
(ほぼ日のサイトから購入すると、しろくま君のビーチボールがおまけで
ついてきます。嬉しい。)
問われたことに、正しい答えを出すのは、「正しい問答」のあり方ですが
誰かに、何かを、きいてみるときに、必ずしも正しい答えが返ってくることを
期待しているとは限りません(よね?)
もしかして違っているかもしれないけど、
明らかにそれは違っているんじゃないの、と思っても
問わずにはいられなかった張りつめた気持ちを、ふっとほぐしてくれるような
うまい答えのほうが、どれくらい嬉しいかわかりません。
こんな質問がありました。6歳の娘さんに目をうるませながら問われ
答えに困ったお母さんからのお便りです。
どうして、にんげんは死ぬの?
さえちゃんは、死ぬのはいやだよ。 (こやまさえ 6歳)
谷川さんの答え
ぼくがさえちゃんのお母さんだったら、
「お母さんだって死ぬのいやだよー」
と言いながら
さえちゃんをぎゅーっと抱きしめて
一緒に泣きます。
そのあとで一緒にお茶します。
あのね、お母さん、
言葉で問われた質問に、
いつも言葉で答える必要はないの。
こういう深い問いかけにはアタマだけじゃなく、
ココロもカラダも使って答えなくちゃね。
さすが、谷川さん!です。
(この問答は要約されて、2008年版のほぼ日手帳の今日のひとことに
載っていました。その日は…お友だちの誕生日でした。なんだかウレシイ)
これは、うまい答というよりも、誠実な答だなあと思うのですが。
『そうだ、村上さんに聞いてみよう』の中に、こんなのがありました。
「不倫についてどう思いますか?」
村上さんの答
ただひとつ僕に言えることは、純愛だろうが、浮気だろうが、
不倫だろうが、正解だろうが間違いだろうが、結果が良かろうが
悪かろうが、「人を好きになれるのなら、好きになれるうちに
好きになっておいたほうがいい」ということです。
誰かを好きになった記憶というのは、長い歳月にわたって
人の心をじわじわと温めてくれます。
「主夫として家事をする秘訣は?
(夫が会社員がいやだから辞めて趣味の絵が描きたいと言いだしたので)」
村上さんの答
僕は思うんだけど、芸術というのは日常からぱかっと離れたところに
あるのではなくて、日常のちょうど裏側にぴたっとくっついてある
ものなのです。卑小な日常的現実を馬鹿にしたところに、
本当に人の心を打つ芸術というのは存在しないのではないでしょうか。
どちらの答も、いつ読んでも私の心の緊張を解きほぐし、
じわじわと温めてくれます。