秋に読みたい、音楽絵本シリーズ。2冊目、3冊目と続く予定なのですが、
ちょっとお休みして、昨日読み終えた本のことを書いておこうと思います。
以前、こももさんやjasuminさん が紹介されていましたが…
やっと1冊だけ、カニグズバーグの本を読むことができました。
『クローディアの秘密』です。
ニューヨーク郊外に住んでいるクローディアと弟のジェイミーが家出をする話です。
クローディアという女の子の立てた「家出計画」はとても周到で緻密なんだけど
大胆でもあり、そしてとても魅力的なんです。だって、家出をして隠れる場所が、
メトロポリタン美術館の中なんですもの。
あの広大で、厳かで、かつエレガントな美術館の中で暮らすことを思いつく
なんて、クローディアって凄い女の子だと思います。
ミケランジェロの作かもしれないという天使の像に、二人が魅せられたことで、
「家出+その像の謎解き」のように物語は展開していきます。
ストーリーを追っていく楽しさでどんどん読んでいってしまったのですが…
だいじなこと、作者の言いたかったことは、謎解きだけではなかったことに、
終盤、気が着かされます。そしてそれは、このままの自分では家に帰ることが
できない、と自分自身対してのこだわりを見せたクローディアの心中に、
ぐっと私が惹きつけられたところでもありました。
両親やいつもの学校生活に対して抱いていた不満やらストレスやらを
解消させるために、家出をしたとクローディア自身も思っていたでしょうが、
心の中のとてもとても深いところでは、自分自身を変えたい、自分が変わらなければ
周りの風景だってちがってこない、と知っていたのではないかな、と思います。
↓に引用した部分は、この物語の語り手であるフランクワイラー夫人の言葉です。
もちろん、秘密は人をちがわせます。だからこそ、家出の計画を
たてるのがあんなにおもしろかったのです。秘密だったからです。
美術館にかくれるのも秘密でした。でもそういうものは永久に
つづくものではありません。かならずおわりがあるものです。
天使には、おわりがありません。クローディアも、わたしがした
ように天使の秘密を二十年間も内側にしまっておくことができます。
これで家に帰るのに、女英雄にならなくてもいいことになりました‥
じぶんの心の中はべつとして。
秘密というものについて、まえには知らなかったことを今では
知っているようになりました。
ゆうべ、ここを読んだとき、どうして自分が強い気持ちで生きていかれるのか
わかったと思ってしまいました(笑)。
秘密が女の子を内側から強くするし、また逆を言えば、秘密を自分の中に
持っていたいなら、強い気持ちでいなければなりません。そうでないと、
いつしかその秘密はただの思い出になってしまいますから。「秘密」という言葉が
ひっかかるなら、それは「夢」に置きかえてもいいのかなあとも思います。