my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

表紙から裏側の表紙まで

2006-03-03 16:35:29 | 好きな本

 ずっと前から読みたいと思っていたこの本を、やっと読むことができました。
装丁物語

『装丁物語』

 和田 誠・著






 和田誠さんが、ご自分の手がけた、本の装丁について、とても丁寧に語っている本です。

  3 谷川俊太郎さんの本   
  9 シリーズものの装丁  
 11 紙の話    
 12 画材について    
 13 文庫のカヴァー  
 14 村上春樹さんの本    
 16 自著の装丁  
 
1~18まである目次をざっと見ただけでも、とっても興味を惹かれます。

 本好きの人の中には、本の内容さえよければ、それでいい。という方もいらっしゃると
思いますが、私を含め、絵本好きを自認してる方は、きっと、本の表紙から裏表紙まで
含めての、本好きなのではないでしょうか。(なんたって、絵本は表紙そのものから、
すでにお話が始まっている場合もあるし、裏表紙を見てはじめて、ははぁー、と思うもの
だってありますから)

 
 和田さんの装丁した本。家の本棚にも、探してみたら何冊もありました。
 カート・ヴォネガットの文庫本や、ジョン・アーヴィングの『熊を放つ』。あの箱入りの
『レイモンド・カーヴァー全集』もそうだったんですね。買ったときには気づかず、というか、
気にしていなくって。でも、あらためて手にとってみると、どれもその本の内容をよく表わして
いるなあと思いました。まずは中味を全部読んでから仕事にかかる、と書いてあったことに
大きく頷いた次第です。
 内容は知らないけれど、本文の中で紹介されている装丁を見ているうちに、読んでみたいと、
思った本も何冊も見つかりました。ちくま文庫「モーム・コレクション」もそのひとつです。

 この本を読んでいると、和田誠さんは、本が好きで、本というものをとても大切にしている
方だというのが、読み手の(同じく本好きの)私に、ひしひしと伝わってきます。そのひしひしは、
体中にめぐっていき、本というものがこの世に存在したことの喜び、というような「大きな」
ところへまでいってしまうくらいです。
タイトルの文字、レイアウト、見返しの色や、紙の質、カヴァー、帯にいたるまで、すべてが
いとおしく感じられます。


 装丁家が装丁することは、作家が小説を書くこと、音楽家が作曲することと
同じなんです。小説の包み紙じゃなくて、その小説と拮抗する仕事をしようという
意気込みで取り組むんです。

 
最終章の18 バーコードについて で、和田さんはこのように書いています。
その意気込みが伝わるからこそ、ひしひしが体をめぐるのだなと思いました。
(本の裏表紙につくことが簡単に決ってしまったバーコード。出版業界のいろんな思惑も
あり、とても複雑であることも知りました)


 

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする