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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

なんかいいこと

2006-03-08 15:28:22 | 好きな絵本
 今日はいきなり暖かく、すっかり春気分です。朝から、植木鉢やプランターの位置を変えてみたり、
クロッカスの伸び具合を入念に観察したり、「みどりいじりたいごころ」が騒ぎます。

 特別なことも、素敵な予定がなくっても、こんな日はただそれだけで、いいことがありそうな
気持ちになるから不思議だなあと思っていたら・・・この本のことを思い出しました。
とってもいいこと

『とってもいいこと』

内田麟太郎・著 荒井良二・絵








 「なんかいいこと」どころではなく、題名が『とってもいいこと』です。
そんなタイトルの本が、家にあるだけで、まるでお守り効果(?)のように、
「とってもいいこと」がすぐ近くにあるような、「とってもいいこと」だらけの中心のいるような、
そんな気持ちになってきます。(なってきませんか?)

 内田・荒井コンビの絵本に『うそつきのつき』 という、ことばあそびの本があります。
だいぶ前から欲しいなあと思っていながら、その日書店で初めて見たこちらの本を
買ってしまいました。なんでかなあ?と思ったけれど、やはり題名のせいでしょう。
それと、最後の方に、とても魅力的な、お月様が描かれていたせいかもしれません。

 ストーリーは、大きくて、漠然としています。捉えどころがないというか、捕まえきれないほど、
大きいというか。そんなふうに私は思いました。

 始まりはこんな感じなんですが。

 すやゃーん すやゃーん。
 タコの 8ちゃんが ひるねをしていると、
 どこかのだれかが いいました。
 「ひるねばかりしていないで、でかけた、でかけた」
 「どうして、でかけなきゃ いけないの?」
 8ちゃんは、ねぼけごえで ききました。
 「いいことがあるからさ」
 「・・・・・いいことが?」
 「そう、いいことが」

 
その声に促されて、はまべへ出かけた8ちゃんは、カニに勧められるまま
「ちからくらべたいかい」に出ることになります。クロネコ、人間の男の子、ゴリラ、クジラ。
どんどん力持ちが登場し、クジラより力持ちは、クジラを浮かべることができるうみ(=海)、
だったりするのです。

 それでは、うみより力持ちはなんでしょう? うみに勝ったそれよりも、もっと「力持ち」も
存在します。

 たくさんの「力持ち」と、それに比べてわが身の非力さを知っただけで、何にも
いいことなんかなかった、でかけてきた甲斐がない、と8ちゃんは落ち込みます。
でも、最後には・・・
 
 でかけると いいことがあるといった
 どこのだれかが わかったのです。
 そして そのひとが ほねなんか 1ぽんもないのに、
 このよで いちばんのちからもちなのも。 

 
8ちゃんは、気が着きました。不思議な力で、自分を「外へ」誘ったものの正体が。
 

 私も、なんだかわかったような気がしています。だから、あったかくなってきた、
というただそれだけで「なにかいいことがありそう」と思ったり、芽吹きや、花が開くのが
待ち遠しくなったりするのだと思うのです。
コメント (2)
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