公開が終わったみたいなんで一応感想を(ネタバレ有り)。
まず第一に、ヤング・トリスタンのThomas Sangsterがメチャメチャ可愛いv
(「ラブ・アクチュアリー」の時も可愛かったけど、まだ可愛い...)
あとは...まあ、「トリスタンとイゾルデ」だと思わなければ、そこそこ楽しめたんじゃないでしょうか。
つくりとしては今時の流行に沿ってましたね。荒野の景色がきれいで、戦闘シーンも盛り沢山。
私は好きですが、つまらない人にはつまらなかったかも、というところ。
ストーリーは映画向けにかなり変えられてます(人物の相互関係からバッサリと)。
本来、トリスタンとイゾルデの恋愛は国の存亡うんぬんとは全く関わりがないですし
(恋愛で国を滅ぼしたと言えるのはランスロットとグィネヴィアの方なんじゃないかな)、
二人もそんなことはこれっぽっちも気にかけてません。
「トリスタンとイゾルデ」の必須アイテム、これが無いと「トリスタンとイゾルデ」とは言えないという
『愛の薬』も、現実性重視のためかカット。
まあ私も『愛の薬』というのは恋愛自体の麻薬性の表徴として存在していると思うので、
無くても別にいいと思うんですが、結果として、不倫に走る二人の心情的な切迫感も、
とる言動の極端さも、薄くならざるを得なかった(常識の域を出られなかった)ようです。
ちなみにオペラではこれ↓ぐらいぶっ飛んでます。
(第2幕『愛の夜』の会話(笑)、Lop Norによるアヤシイ日本語訳つき)
TRISTAN: So stuerben wir um ungetrennt, トリスタン: それなら俺達は離れないために死のう
ewig einig ohne End', 終わりなく永遠にひとつになって
ohn' Erwachen, ohn' Erbangen, 目覚めることなく 不安もなく
namenlos in Lieb's umfangen, 言いようもなく愛に抱かれて
ganz uns selbst gegeben, 完全に俺達自身を与え合い
der Liebe nur zu leben! ただ愛の中だけに生きよう!
ISOLDE: So stuerben wir um ungetrennt, イゾルデ: それなら私達は離れないために死にましょう
TRISTAN: ewig einig ohne End', トリスタン: 終わりなく永遠にひとつになって
ISOLDE: ohn' Erwachen, イゾルデ: 目覚めることなく
TRISTAN: ohn' Erbangen, トリスタン: 不安もなく
BEIDE: namenlos in Lieb's umfangen, 二人: 言いようもなく愛に抱かれて
ganz uns selbst gegeben, 完全に私達自身を与え合い
der Liebe nur zu leben! ただ愛の中だけに生きる!
(中略)
BEIDE: Nun banne das Bangen, holder Tod, 二人: 今こそ不安を追い払え 優しい死よ
sehnend verlangter Liebestod! 焦がれ望む愛の死!
In deinen Armen dir geweiht, お前の腕の中でお前に捧げられ
ur-heilig Erwarmen, ものの初めなる神聖な温もりに包まれ
von Erwachens Not befreit! 目覚めの苦痛から解放される!
(中略)
TRISTAN: Tristan du, ich Isolde, トリスタン: トリスタンはお前 俺がイゾルデ
nicht mehr Tristan! もうトリスタンではない!
ISOLDE: Du Isolde, Tristan ich, イゾルデ: あなたがイゾルデ トリスタンは私
nicht mehr Isolde! もうイゾルデじゃない!
BEIDE: Ohne Nennen, ohne Trennen, 二人: 名前を呼ぶこともなく 離れることもなく
neu Erkennen, neu Entbrennen; 新しく知り 新しく燃え立つ
ewig endlos, ein-bewusst: 永遠に果てしなく ひとつの意識となる
heiss ergluehter Brust この胸を熱く焦がす
hoechste Liebeslust! 究極の愛の悦楽!
(原詩は韻を踏んでますがそこまでは訳せません; 御容赦を)
↑ここに挙げた所からメロディーは『愛の死』になり、いやが上にも官能的な雰囲気が盛り上がる(笑)
実はここに至るまでに二人の切羽詰った心情が丹念に描かれ、
昼の光(とそれが象徴する名誉など)への恨みつらみ、夜と死への共鳴が
かなりしっかりと議論されてます(ドイツだなあ...)
歌詞の中でけっこう昼(光)と夜(闇)、生と死が混乱してたりしますが、
二人とも正気じゃないんで、まあそんなもんでしょう。
そしてこの直後、トリスタンを妬んだ騎士にチクられて密会現場を押さえられ、
二人は宣言通り死に向かってまっしぐら(トリスタン先行)。
再び引き裂かれ、独り死にゆくトリスタンのもとへ監視をぶっちぎったイゾルデが駆けつけ、
後を追ってきた理解ある夫の許しは間に合わず、イゾルデは『愛の死』を歌って息絶える...
という話なんですが、私は二人には許しなんか必要なかったんじゃないかと思います。
まず第一に、ヤング・トリスタンのThomas Sangsterがメチャメチャ可愛いv
(「ラブ・アクチュアリー」の時も可愛かったけど、まだ可愛い...)
あとは...まあ、「トリスタンとイゾルデ」だと思わなければ、そこそこ楽しめたんじゃないでしょうか。
つくりとしては今時の流行に沿ってましたね。荒野の景色がきれいで、戦闘シーンも盛り沢山。
私は好きですが、つまらない人にはつまらなかったかも、というところ。
ストーリーは映画向けにかなり変えられてます(人物の相互関係からバッサリと)。
本来、トリスタンとイゾルデの恋愛は国の存亡うんぬんとは全く関わりがないですし
(恋愛で国を滅ぼしたと言えるのはランスロットとグィネヴィアの方なんじゃないかな)、
二人もそんなことはこれっぽっちも気にかけてません。
「トリスタンとイゾルデ」の必須アイテム、これが無いと「トリスタンとイゾルデ」とは言えないという
『愛の薬』も、現実性重視のためかカット。
まあ私も『愛の薬』というのは恋愛自体の麻薬性の表徴として存在していると思うので、
無くても別にいいと思うんですが、結果として、不倫に走る二人の心情的な切迫感も、
とる言動の極端さも、薄くならざるを得なかった(常識の域を出られなかった)ようです。
ちなみにオペラではこれ↓ぐらいぶっ飛んでます。
(第2幕『愛の夜』の会話(笑)、Lop Norによるアヤシイ日本語訳つき)
TRISTAN: So stuerben wir um ungetrennt, トリスタン: それなら俺達は離れないために死のう
ewig einig ohne End', 終わりなく永遠にひとつになって
ohn' Erwachen, ohn' Erbangen, 目覚めることなく 不安もなく
namenlos in Lieb's umfangen, 言いようもなく愛に抱かれて
ganz uns selbst gegeben, 完全に俺達自身を与え合い
der Liebe nur zu leben! ただ愛の中だけに生きよう!
ISOLDE: So stuerben wir um ungetrennt, イゾルデ: それなら私達は離れないために死にましょう
TRISTAN: ewig einig ohne End', トリスタン: 終わりなく永遠にひとつになって
ISOLDE: ohn' Erwachen, イゾルデ: 目覚めることなく
TRISTAN: ohn' Erbangen, トリスタン: 不安もなく
BEIDE: namenlos in Lieb's umfangen, 二人: 言いようもなく愛に抱かれて
ganz uns selbst gegeben, 完全に私達自身を与え合い
der Liebe nur zu leben! ただ愛の中だけに生きる!
(中略)
BEIDE: Nun banne das Bangen, holder Tod, 二人: 今こそ不安を追い払え 優しい死よ
sehnend verlangter Liebestod! 焦がれ望む愛の死!
In deinen Armen dir geweiht, お前の腕の中でお前に捧げられ
ur-heilig Erwarmen, ものの初めなる神聖な温もりに包まれ
von Erwachens Not befreit! 目覚めの苦痛から解放される!
(中略)
TRISTAN: Tristan du, ich Isolde, トリスタン: トリスタンはお前 俺がイゾルデ
nicht mehr Tristan! もうトリスタンではない!
ISOLDE: Du Isolde, Tristan ich, イゾルデ: あなたがイゾルデ トリスタンは私
nicht mehr Isolde! もうイゾルデじゃない!
BEIDE: Ohne Nennen, ohne Trennen, 二人: 名前を呼ぶこともなく 離れることもなく
neu Erkennen, neu Entbrennen; 新しく知り 新しく燃え立つ
ewig endlos, ein-bewusst: 永遠に果てしなく ひとつの意識となる
heiss ergluehter Brust この胸を熱く焦がす
hoechste Liebeslust! 究極の愛の悦楽!
(原詩は韻を踏んでますがそこまでは訳せません; 御容赦を)
↑ここに挙げた所からメロディーは『愛の死』になり、いやが上にも官能的な雰囲気が盛り上がる(笑)
実はここに至るまでに二人の切羽詰った心情が丹念に描かれ、
昼の光(とそれが象徴する名誉など)への恨みつらみ、夜と死への共鳴が
かなりしっかりと議論されてます(ドイツだなあ...)
歌詞の中でけっこう昼(光)と夜(闇)、生と死が混乱してたりしますが、
二人とも正気じゃないんで、まあそんなもんでしょう。
そしてこの直後、トリスタンを妬んだ騎士にチクられて密会現場を押さえられ、
二人は宣言通り死に向かってまっしぐら(トリスタン先行)。
再び引き裂かれ、独り死にゆくトリスタンのもとへ監視をぶっちぎったイゾルデが駆けつけ、
後を追ってきた理解ある夫の許しは間に合わず、イゾルデは『愛の死』を歌って息絶える...
という話なんですが、私は二人には許しなんか必要なかったんじゃないかと思います。