Entchenssee

「プリンセスチュチュ」ファンページ

カプリッチョ

2011-05-11 23:57:55 | その他
さて、再びメトロポリタンオペラに戻りまして。

昨シーズンの新プロダクション(オープニング・ガラで上演されました)のCapriccio(カプリッチョ)。
リヒャルト・シュトラウスのオペラの中では、マイナーとは言わないまでも、超メジャーではない方...かな?
観に行ったのはLive in HD(アメリカの映画館での全国生中継)当日の公演でした。
(なので、舞台周囲にクレーン・カメラやレール・カメラがいっぱい)

一応、昨年と同じ演出なんですが、衣装などに若干変更があったようですね。
隅々まで洗練された演出で、序曲が始まって観客席のシャンデリア(←『スプートニク』という愛称が付いてる星状のもので、通常は上演前に天井に引き上げられます)にぽうっとオレンジ色の明かりが灯るところから、気分はパリの社交界v

ストーリーとしてはさほどドラマチックなものではなく、パリ近郊の伯爵邸でのある午後のできごと。
伯爵の妹の伯爵夫人(←Die Graefinの訳で、立場ではなく身分のこと)マドレーヌをめぐる恋の鞘当を中心として、「オペラで重要なのは詩か音楽か」というメインテーマが、二重構造のような形で展開されていきます。
そこにさまざまな登場人物たちが絡み、その中で伯爵が「今日の出来事をオペラにしたらいい」と言うセリフがあって、実は観客はそのオペラを観ているという二重構造にもなっています。

伯爵夫人の誕生日を翌日に控えてのパーティーのリハーサルと、劇場公演のあり方についての議論に交じって、バレエ・ダンサーやイタリア・オペラの歌手が登場するんですが、コミカルな演技で大いに観客を笑わせていました。
(ダンサーのシーンでは結構ちゃんとバレエを踊ってるので、バレエ・ファンの方も楽しめるのではないかと思います)
全体的に軽妙洒脱で、華やかさの中にピリッとエスプリが効いていて、この長いオペラが終わってしまうのが惜しいと思えたくらい、素敵なものでした。

ヒロインのマドレーヌは、現在この役と言えばこの人という、ルネ・フレミング。
優美でありながらも憂いを感じさせる声で、知的でちょっとアンニュイな美貌の伯爵夫人を見事に演じていました。

日本で観る機会はあまり無いオペラなんじゃないかと思いますが、これも松竹のMETライブビューイングで上映予定ですし、そのうちNHK BSでも放送されるかもしれませんので、もし御興味があれば。

METライブビューイング 「カプリッチョ」(全1幕)
 (東劇、新宿ピカデリーほか全国の映画館にて上映予定)
 2011年5月14日(土)~5月20日(金)(一部劇場は19日(木)で終了)
 上映時間:2時間46分(休憩なし)

途中、ホルンがどソロでカスったのもバッチリ録音されてるものと思われます(笑)
あと、オペラのごく一部分だけですが(たぶんマドレーヌが歌う『最後の場』)、来週のN響アワーで聞けます。

2011/5/15(日) NHK教育 21:00-21:57
N響アワー 気ままにセレクション~今宵もカプリッチョ総集編~
◆歌劇「カプリッチョ」 作品85 から (リヒャルト・シュトラウス)
 ソプラノ: フェリシティ・ロット
 指揮: アンドレ・プレヴィン
 [収録: 2009年10月17日, NHKホール]
そのほか

ただ、まあ、いわゆるリヒャルト・シュトラウスの曲なんで(笑)、あの、艶っぽくて大袈裟な感じが好きでない方には、曲だけ聴いてるのはあまり面白くないかもしれません。
そういう意味でも、2時間半近く休憩無しのオペラを飽きさせずに観せるジョン・コックスの演出は出色だと思います。