もう外は暗くなり、それでもその日の作業に没頭する中
この日も整備のご相談の電話。
どうやらドライブチェーン周辺からカチャカチャと異音がするらしくて
診てもらえないかとのこと。
いろいろ聞き出してみるとツーリングの途中の様子で、かと言って夜を通して走るつもりではなさそうなので
とりあえず今夜のところはは近くで泊まるらしいので今すぐでなくても良いみたい。
それにチェーンのメンテナンスくらいでしたらこちらの都合に合わせていただければどなたにでも対応しているので
明日の朝でよければどうぞ…と
翌朝、予定通りにご来店でしたので
バイクの姿にちょっと動揺しましたが早速見させてもらうと、
決してコンディションの良い状態ではないのでチェーンを新品に交換するに越したことはないけれど、
ちょうどピッタリの在庫も持ち合わせていませんでしたので、とりあえずたわみを調整してチェーンルブをたっぷりと吹き付けてやれば
音も静かになりなりそうだし、チェーンスライダーが劣化で吹っ飛んでいるのは心配ですが走るだけなら大丈夫そうな気がしますと伝えると、
長崎を出発してからもう3日目くらいなのに下関で2~3日足止めを食わされるかと覚悟していた…とのこと
ん?長崎から3日で今ここ下関。。。? これはまた随分とゆったりとした羨ましいツーリングですね。
もともとチェーンのメンテナンスくらいの簡単な話からだったのですが
他に見られる不安な状態の部位が目についてしまい、それについていろいろと指摘しながらそんなところがこれからどうなっていきそうなのかをお話していくうちに
「広島までどのくらいかかるのですか?」とか「このチェーンで大阪まで走れますか?」などなど
お若いお客さんのこれからの「不確実な展望」が見え聞こえてきたわけであります。
聞けばこれからお友達のところやネットカフェを転々としながら東京まで行かれるのだそうで期間は今月いっぱい。。。なんですと???
で、いつ帰るの?…
それによってバイクの不安箇所の見方も変わってくるので聞いてみると
なんと帰るつもりは無いのだとか。。。
これまでの事情を説明するご本人から「旅」と言うワードが何度も出てきたのですがそれもそのはず
所持品はこの250TRと後部に縛り付けたバッグのみで(だと思う)この移動はご自分の夢をかなえるための「上京」なのだそうです。
いらっしゃいましたね、こんな若者が (^_^;)
どんなルートを進むのか想像しながら、バイクについてのちょっとした注意点と
下道で走ると平均時速が実際にはどの程度になってしまうのかなどをお伝えして
健闘を祈る思いで見送りました。
バイクを売ったお金で上京したって人もいらっしゃるようですけど、
折角山あり谷ありで(多分そのハズ)たどり着いたのだから、東京でそれを売却することなく頑張ってほしい (>_<)