先週の早朝ツーリングのこと
なんでもないルート上で後続が途切れたので、戻ってみると
珍しくマシントラブル。
なんだかFUELタンクの下から白い煙が吹き出てきたので、ビックリしてバイクを止めたそうです。
とりあえずエンジンを始動し様子を見ている間に2度ほど発煙したのを僕もこの目で見ました。
エンジンはなんでもないように回っていたけど、これはもう置いて行くしかない尋常ではない状況
その後の車両の回収までをどのように処理するかを頭の中でグルグルと思案しながら
とりあえずFUELタンクを持ち上げてエアボックスまでは開けてどんなことになっているのか観察をしつつ様子を見ますが
それ以降は症状も出ず、何も無かったかのようにエンジンは回り続けます。
僕が見た2度の発煙の瞬間の状況からして、原因はなんだったかはともかく
機関的なトラブルのようには考えにくかったので
自らこのバイクに乗ってこのまま走り続けることにしました。
そうして次に症状が現れたときに、その前後も含めて何が起こるかを見ることができれは
原因に見当が付くのではないかという期待もあり、最後尾から様子見ペースで追走です。
ところが結局その後、煙が噴出すことは無く
これまでどおり快調
後半にはもうバイクをオーナーさんにお返しして、そのままツーリングを終えることになりました。
だからと言ってそのまま乗り続けるほど無頓着ではいられませんから、とりあえずバイクはお預かりして原因の探求
煙の噴出した様子とエンジンの構造からして
ヘッドカバーに仕込んであるブローバーガスの循環通路からエアボックスに噴出したことはかなり確かなのでまずは開けてみる
けれども、どう疑ってみてもそんなことが起こりそうな構造ではないし、いろいろ想定しても説明が付かないのですね
偶発的にバルブにカーボンが噛んでインレット側に瞬間吹き返したのか…なんて無理やりこじつけたりして
そんなことが起こるような燃焼室のコンディションならタペットクリアランスなんかもさぞかし…と
恐る恐るゲージを差し込んでみたら、もうすぐ11万Kmを迎えるのになんと規定値内 (*_*)
結局、この時点では原因不明
ただ カーボン噛みの可能性はゼロではないので
もう一度走らせて発症しなければ燃料にエンジン内清浄の添加剤を投入しこのまま暫く様子を見てもらおうかと
保守的&気弱なことで高回転試運転を終え
添加剤の割合を判りやすくするためにガソリンスタンドへ
釈然としないまま満タン給油を終えてエンジンを再始動させようとすると
なんとクランキングスピードの不足でエンジン始動ができないではありませんか
しかし、この事で原因はほぼ確定
エンジン内部に配置されているステーターコイル(交流発電機)が内部で短絡したかなにかで猛烈に発熱し燃焼したのでしょう
それが大小数回起こりコイルと共に焼けたオイルが煙りとなり
ブローバーガス通路を廻って最後にエアボックスへ
そしてエンジンが吸入できず溢れ出した煙を我々が目にしたということ。
その後エンジンは回っていても充電はされていない(コイルはもう溶断してしまっている)けれども
バッテリーに蓄電されている電力で燈火類は点灯できるし
このVTRはCDI点火方式だけどその電源はバッテーリーからの供給という直流タイプのCDIだからステーター内に点火の電源は居ない
ただし焼損したステーターとは別回路の点火時期検出のパススジェネレーターは生き残っていたため
点火系については被害とは無関係だったわけです。(ココも一緒に逝ってしまっていたらこのVTR
白い煙を吹いてエンジン停止と言う、まるでマンガみたいな往生を迎えたように見えたに違いない)
これならたぶん全てに説明が付きます。
そうとわかればあとは「裏付け」
エンジン始動してもバッテリーが充電されていないことを確かめ
レギュレートレクチファイヤーが原因(充電不良の場合はこちらが原因のことが大半)でないことを確認
そしてステーターコイルから上がってくる交流電圧を測定すると、やっぱり…
公表されていない数値ですけどこれではバッテリーの充電は到底ムリ
きっとこの中のコイルが逝ってますねこれは。
これは別の車両のビックスクーターですが、そう言えばこのあいだレギュレーターのトラブルで、そこから発煙しているに違いないことを
走行中突然自分のバイクから煙が噴出したのに驚いて電話をかけてこられたお客さんには何が起こっているのかを即答できたのに
どうしてこのVTRではそれらしきことを思いつかなかったのでしょう。
故障探求はどちらに向って進むかによって距離が違ってきます
ん~もうこの一週間悩みましたもんね