
ここ数年の信州ツーリングは年間で降水確率の低い5月の下旬に遂行しておりまして、
ほぼそのとおり良い天気に恵まれていましたが今回はそうもいかず
向こう3日間の予報では1日を通して晴れるのはこの日だけ。
だからこの日に賭ける思いで起床は午前3時。

4時過ぎにスタートした時はまだ夜が明けきっていない静けさ。
もっとよく見ておけばよかった金沢 (^_^;)


今回は我々2人だけですから、地元地域から見て誰もがイメージする信州ツーリングの定番と言える場所(名所)を巡る必要もないだろうと、
それならばこれまでに踏み込むことの無かったエリアのほうをを走る経験をしておこうと言うことで、
人気のエリアよりもずっと西側の山中ルートを選んでおります。

金沢を発ってから東向きではなくとにかく南へ南へ、
早朝のR157で「手取湖」を良いペース(早朝ですからね)で縦断
日本最大の恐竜化石発掘現場で知られる福井県は勝山市。
ここから少し西へ移動すれば「永平寺」そしてその近くを昨日上って来た北陸道が南北に、
そして地図上で東へ目を向けると「白川郷」はありますが
先ほど通過した手取湖の北側からそちらへ直通できるように見える超クネクネ道(ホワイトロード)はバイク通行禁止と。。。

そんな場所ですからそこら中にオブジェが見られる「恐竜王国」に来ることはこれまで考えに及ばなかったので、
RTがあえて選んだルートは次回以降の信州ツーリングのルート展開の妙に大いに貢献してくれそうです。
はたして喜ばれるかどうかはわかりませんけど。

この方向を選んだのは冠山峠道路「クラウンロード」を走るためでもあり、
それは福井県と岐阜県の通行困難で豪雪地帯の県境を南北に貫く
約1年半前に開通したバイパス。

その中心となる「冠山トンネル」に至るまでにも
いくつものトンネルやスノーシェッド(覆道)を経て
どんどん登っていきます。

そしてこれが国道の断絶区間を一気に繋いだ4834mの「冠山トンネル」
同じ名前のトンネルが山口県と広島県境の中国道にもありますが、
こちらは国道417号線。
このトンネルが無ければ冬季閉鎖となるくらいの場所ですからさすがに冷えます。
電熱ウエア故障中のRTはウインドプロテクションだけでは足りず、
雨ではないけどレインウエア。
それだけ「越えてきた」感のある区間。


冠山トンネルを出ると間もなく巨大なダム湖。
見るからにその深さが想像される深緑。

そう言えば去年のツーリングで北海道は夕張のシューパロ湖が総貯水量で全国第2位だなんてはしゃいでおりましたが、
こちらはそれが第1位。
とは言えダムには貯水量だけでなく高さ(堤高)や発電量やそれがコンクリートなのかロックフィル式(土や岩でつくられたものでこれはこの徳山ダムが最大)なのかなどなど、
いろんなランキングがあるようなので、とくにダムマニアと言うわけでもない我々ごときにとっての関心ごとと言ったら、
そのダム湖周辺を走った時にどれだけ道が美しく豪快に駆けることができるかと言ったことになります。

ここから「緊急放流」されるようなことになったら
それはものすごい光景へと化すわけですから…

こうして間近に見て圧倒されながらその役割を考えると、
ただ走って綺麗だとか気持ちいいとか言っていられるだけの我々は能天気に恵まれていると思いました。

その後も「揖斐川」に沿って南下を続け
広い岐阜県も滋賀県境に近付いてきてまいりました。

ここは古くからお茶の栽培がさかんな岐阜県揖斐郡揖斐川町。
標高300メートルほどの山の中腹から山頂にかけて一面に広がる茶畑の斜面を登っていきます。

SNSで話題のスポット「岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑」
昨年の信州タフツーリング(北アルプス方面)では新潟県は十日町の「星峠の棚田」でしたから
今回も山の斜面の絶景田畑を見に行くことになりました。


登りついたスペースにバイクを停めてそこからは徒歩。
けっこうな斜面を200メートルほど。
気温も上がり、登りはもちろん下りもキツイ斜面は楽ではなかったけど
これまでにも何ヶ所か見てきた日本各地の「マチュピチュ」
そうたとえられる空間遠近感を確かめるべくひたすら無言で歩きました (^_^;)

急斜面を上って振り返るとこの景色。
ルート的にまた来る場所になる自信があまりないので我々だけでも来ておいてよかったと思える絶景でしたね。

僕らを歩いて登る気にさせたキッチンカーはまだ営業開始していませんでしたが
バイクを停めた場所まで降りてきた時にはちょうど開店直前。

現地のお茶を使ったメニューはカラダが欲していてじつに魅力的。

平日の午前のためか他のお客さんも気にならず、
のどかで気持ちの良い休憩。
岐阜県もすでに随分と南下してきておりココ揖斐川町からあと少しで岐阜市内と言うところ。
ということは愛知県との県境も近い。
せっかくこのエリアに来たのだからランチは名古屋めし「みそカツ」
愛知市街はもちろん岐阜市街地にも深く入り込むことなく人気店を(と言うことだったのでしょう)見つけていてくれて
走行に不快を感じることの無い回り道で到着したお店。

開店と同時にお客さんが次々と…

移動のサービスエリア以外でみそカツを食べたのは初めてですが、
これを食べられたのはココまで南下してきたからこそ、
甘辛いみそだれが珍しいだけでなくとんかつそのものと白いご飯がじつに美味しかったですね。
食事を終えるとすぐさまワインディングで北上開始。

30分ほど走るとそこには「名もなき池」通称モネの池
透明度の高い湧水に咲く睡蓮がとても美しく、池の中を優雅に錦鯉が泳ぐ姿は、まるでモネの代表作「睡蓮」のようだと
神社の参道脇にあった湧水が流れ込む貯水池がSNSで話題を呼び岐阜の観光地として有名になったと言う、
ありがちなスポット。

「睡蓮」と言う作品と聞いてピンとこなくても、
これを見ると「あーあの絵だ」と誰もが思い出すだろうなと言うくらい
確かに綺麗。

傍らで営業されていた餅松屋さん
名物と銘打つ「笹舟巻」

店主の女性にこの10年で急に観光地となった話などを聞きながら店内スペースに腰かけて
美しい池に見入る観光客を眺めながらこちらをいただきました。
今日はなんだか動いている時と停まっている時のメリハリが凄いことになっていていますね。


関市から郡上市へは山越えでタイトな(いや険しい)ワインディングもあるけど
ほとんど交通量も無さそうな長い長いトンネルのおかげでほど良くそれらをパスできて
走りたいように走れて郡上を通過そして快走は続き間もなく下呂温泉。

眼下に下呂温泉が見えてくると
ようやくこれまでの信州ツーリングお馴染みのエリアに入って行くことになります。

とは言えここから本日の行き先「高山」まで
出来るだけこれまで走ったことの無いルートで向かうことになります。

ここでお互いにバイクを乗り換え、
違ったライディングフィールで初ルート。

調子が良くてタイヤが摩耗していなくて極端な恰好のバイクでなければ
それなりの排気量とそれに見合うブレーキがあれば困ることなんて無い
その程度の走行ペースですもんね (笑)

先がどうなっているのかわからないところがいいですね。
でなければ遠くで走りを楽しむことは出来ません。


そんな初ルートばかりを走っていると遠くに見えた残雪の「乗鞍岳」

そのまま県道98号を進むと道の駅「モンデウス飛騨位山」
と言うよりそのままスキー場。

飛騨高山の市街地から一番近いスキー場とのことですが、
ゲレンデ山頂からなら北アルプス、御岳山まで一望できる場所。

岐阜から富山までを結ぶ「高山本線」を跨いで高山市内へ到着。

本日の宿は高山の温泉旅館を素泊まりで利用します。


速攻で入浴後、旅館のシャトル運行に乗っかって旧い街並みへ繰り出してみると、
わかってはいましたが日本人見当たらず。。。

地ビールのスタンドでとりあえず到着式 (笑)
こちらにも僕らのように1杯サラリと飲んで立ち去るようなお客は少ないようで
豊満なボディーにタトウーが描かれた皆さんが陣取っていらっしゃいました (^_^;)

その後も町を散歩してほどなく予約時間となり、
もはや我々の高山では行きつけとなったお店「棗」さんに到着。

僕は3度目RTは4度目
飲み物以外は大将にお任せで飛騨高山の話を聞かせてもらいながら
バイクの話なども少し。



注文するのは全て日本酒。
拘りのラインナップから我々の自主制限を越えての展開。




最近は遠のいている霜降りもココまで薄いスライスですから
サッパリ食べられる「飛騨牛」


夕方に到着して以来、こちらの店内がいちばん「飛騨高山」を感じましたね。

忙しくてなかなか乗れないと仰るバイク
オーナーの証はお手洗いの壁にさりげなくひとつだけ。
次回、ゲストがいらっしゃればコチラご案内するのかなRT。