
ドカティの旧車と言えばベベルのことを思い浮かべることが多いのではないかと思われますが、
コチラのベルトの900SSだってもう十分に旧車だと言えるでしょう。
1997年モデルですから1998ファイナルエディションのひとつ前で
「村山モータース」扱いの最終モデルと言うことになるのですね。

条件にもよりますがわりと起こりやすかったキャブレターの「アイシング」
オイルクーラーホースの途中のコックを切り替えることでキャブレターのフロートチャンバーへ
高温のエンジンオイルを循環させると言うシュールで斬新な、
熟成された後期モデルならではの効果絶大に違いない仕組み!
初めて見ました (^_^;)

いくつかのトラブルを抱えていらっしゃるようで、
お隣の県から海峡を越え山口県へよくお越しのようですが、
お車で通過の際、たまたま営業時間終了後の当店の灯りを見つけられて、
当方の修理作業受託事情を十分にご理解いただいたうえで
随分と長きにわたり渡りお待ちいただいておりました。

他の輸入車同様にそれぞれにいろいろな特徴(トラブル事情)がありますので
僕にわかる範囲であれば修理ができるかもしれないと、
オーナーさんの車両購入から始まり直近に実施されたらしい整備修理内容を可能な限りご提供いただきまして、
やるべきことの優先順位をご理解いただき修理を
「速攻」で進めてまいりました。



キャブレターのメンテナンス歴もあったようですが、
かなり久しぶりの始動でありながらも外側からの調整で復調へ向かっているので
そこは後日の試運転で敢えてこれ以上に手を入れる必要が「今あるのかそうでもないのか」判断するとして。。。


見落とされがちなところだけはお勧めして修理作業をを休むことなく進めました。


原因不明をそのまま引き継がれていらっしゃったオイル漏れ。

ちょっと旧い輸入車にありがちなボルトの長さのバラツキが取り違えられたのか
長すぎ短すぎなどサイズの合っていないボルトによる締結不良とネジ山の崩壊をそれぞれ回復させて新しいボルトで長さを調整。
大掛かりな分解をすることなく修理完了できたおかげで、
「散々待たされたわりには修理が早かった」と言ってもらえそうなのでココから挽回デス (^_^;)

過剰に分解して見るわけではないのであとは走らせて観察と体感とで点検です。
輸入車(とくに旧車)は癖もあるけど味があるとか奥深そうな表現をされるけど、
この900SSはベベルやF1からするとライダーの体調やメンタルにも左右されにくく
操作も軽々で普通に走れてフレンドリーな良いバイク。
外車だから、珍しいからということで好まれるのならともかく
正しい操作と平常心を心掛けて乗ればいいのだと思います、何にでも。

いくつか有った電気系のトラブルも当方に在るあいだに症状が出切っていないこともあろうかと、
何度かに分けて繰り返した試運転の距離は100kmを越えることになりました。

それでも先のことはわからないので、
修理実施箇所以外にも乾式クラッチの現時点の状態(フィーリング)や
スタンダードキャブレター&サイレンサーバッフル付きのテルミニョーニでの吹け上がり、
チカラを抜いて曲がれるかなどなど、乗って感じたことをお伝えして作業完了。
久しぶりの空冷「ドカ」でけっこう走りまして気持ち良かったですね。