旧一月九日。立春。今年は2月4日でしたが、まだまだ寒い日が続いているとは言え、確実に春の気配を感じることができるようになってきました。澄み切った冬晴れの青空に雲が増えたり、霞がかかったり、雪や雨の日があったり、もうそれだけで春なのです。東の空が白んでくるのは早くなり、日没も気がつけば随分遅くなってきました。春の気が少しずつ強くなって行くこの季節は、なかなか良いものだと思います。
嬉しいお話が届きましたので、ここでご紹介したいと思います。このblog【“暮らしのリズム”的できごと】で何度かご紹介している建具・指物の伝統工芸師、田中清八さんの奥様から十日ほど前にお電話を頂きました。お話を要約すると・・・
昨年(2010年)、オランダをベースに活動するイスラエル出身のBoaz
Cohenさんと山本紗弥加さんによるアーティスト・ユニット『BCXSY』と清八さんが共同制作で素晴らしい作品を創りました(その模様は
[Origin part I : join]と題されたこの作品は、斬新でありながらも自然を感じさせるデザインと、日本の伝統的な建具の美しさが見事に結びついています。和の空間でも洋の空間にも暮らしにフィットするインテリアであり芸術作品です。この作品がUKの雑誌Wallpaper*のDesign Award 2011で、Best domestic design部門の[Best screen]に選ばれた。ということでした。
これは素晴らしい出来事です。作品が完成した後、ミラノでの展示に出品した、というところまでは知っていましたが、多くの人に伝わり、いい出会いがあったのだなと思いました。優れた芸術作品は、たくさんの人に知ってもらうことで価値が高まってゆくものだと思っています。Boazさん・紗弥加さんの意欲的な活動と作品を伝えたいという熱意が今回の受賞に繋がったのでしょう。お二人には敬意を表したいです。おめでとうございます。
清八さんの奥様は「BCXSYとの共同制作がとても有意義なものだったので、日本にもこの作品を残しておきたい」とお話されていました。もちろん受注がなければ作品作りも難しいです。理想を言えば、いろいろな人の目に触れることができる空間で普遍的に展示あるいは活用がされる場が、[Origin part I : join]に相応しいかな、と思います。この日本で、たくさんの人に伝えてゆくために“暮らしのリズム”では何ができるのか、思いを巡らせています。
山本紗弥加さんからのメールによると[Origin part I : join]は日本の雑誌『Casa Brutus』2011年1月号でも掲載されているとのことです。
そしてもう一つ嬉しいお知らせ。[Brit Insurance Design Award 2011]のFurniture Categoryにおいてノミネート作品にリストアップされました。[Origin
part I : join]は2011年2月17日から8月7日まで、ロンドンのDESIGN MUSEUMにて展示されるとのことです。
田中清八さんに関してはこちらもぜひご覧下さい。
2010年6月30日『建具職人・田中
清八さんとBCXSYの共同制作』
2008年2月20日『伝統工芸、指物
師・田中清八さんを再び訪ねて』
2007年
6月17日『職
人技に触れる。指物師・田中清八さんとの再会』
2006年7月2日『指物建具工芸
師、田中清八さんを訪ねる』