"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

寒中いろいろ

2011年01月15日 13時25分17秒 | 催しごと

 旧十二月十二日。月の存在感が日々強くなってきました。そして、今日1月15日は小正月です。
 小正月というと、旧暦の頃からの古い風習かと思えば、新暦(今の暦)になってからの事なのだそうです。月の姿が暦の基準であった旧暦の時代には、正月十五日が一年で最初の満月となり、この日を正月としていました。新暦になって1月1日元日を一年の最初の日として、大正月と呼び、対して1月15日を小正月と呼ぶようになったそうです。小正月には「左義長」「さいの神」とか「どんど焼き」と呼ばれる火を焚く行事がよく行われます。太くて長い竹を組み上げて枝や枯れ草で囲い、門松や注連飾り、書き初めを燃やすのです。わたしが以前暮らしていた川崎市麻生区では、木の枝に紅白の団子餅を刺してこの火で焼いて食べると、その年は無病息災で過ごせる、という風習がありました。
 1月6日の小寒で、寒に入ってから、今年は本当に寒い日が続いています。日本海側が豪雪で、太平洋側がカラカラ、という典型的な冬の天気です。寒いと人間もなんなとく動きが鈍くなりますが、そんな中の出来事をいくつか。

 お友達のイラストレーターでエッセイストの浅生ハルミンさんがイラストで関わっている展示 『日本の手技 一反のてぬぐい』(日本デザインコミッティー主催)が松屋銀座7階デザインギャラリー1953で開催されており、
0115tenugui先日見に行ってきました。季節を感じる色とりどりの手拭が展示され、ハルミンさんは会場の壁に、手拭ができるまでの伝統的な染色技法『注染』の作業をわかり易くイラストで描いています。ハルミンさんデザインのオリジナル手拭は会期に間に合わなかったようでまだ販売されていませんでしたが、展示されている手拭はお店で買うことが出来ます。1/24(日)まで開催されていますので、お近くにお出かけの折には覗いてみて下さい。
日本デザインコミッティーの告知はこちら
浅生ハルミンさんに関する“暮らしのリズム”的できごとはこちら
注染の工場、旭染工さんを紹介した“暮らしのリズム”的できごとはこちら

 久しぶりに旧浜離宮恩賜公園にやってきました。昨年9月に復元工事中の「松の茶屋」の見学に来て以来です(その時の“暮らしのリズム”的できごとはこちらをご覧ください) 。足場とシートにすっぽり覆い隠されていた建物は12月に落成し、
0115matsunochaya今年のお正月二日と三日には特別に上がって抹茶をいただくことが出来たそうです。潮入りの池の畔、午後の柔らかい陽射しを受けて背後には常緑樹の深い緑。無垢の真新しい木が金色に輝くようで、あたかも金閣寺(写真でしか見たことありませんが)のようです。完成間際の建物をあちこちからじっくり見学できたこともあって、とても愛着を感じる建物です。内部公開の折に再訪したいものです。

 公園の入口に、ちょっと目を引く箱庭がありました。寒の頃に彩る植物が集められています。寒中の花と言えば福寿草ですが
0115hakoniwa、これはまだ蕾が固そうでした。興味深いのは「百両・千両・万両」です。 パッと目にすると、いつも「これは何両だったかな」と思うのですが、一緒に植えられているとそれぞれの特徴がはっきりわかって面白いです。葉っぱが幅広で実が上に向かって成るのが千両。ギザギザした葉っぱが垂れ下がってその下に実がなるのは万両。鋭く尖った大きい葉っぱは百両。なるほど、と手前を見ると「十両と一両」というのもあるのですね。これは知りませんでした。

日当りの良い場所では早咲きの紅梅がぼちぼち見頃です。浜離宮にはいつも突出して早く咲く木が一本あって、色彩感の乏しいこの季節に、とても存在感があります。0115koubai 来るたびにこの梅の花を撮影しているような気がしますが、やはり美しいので今回も一枚。冬晴れの青空とのコントラストがとても奇麗です。この木の横には浜離宮の見所、菜の花畑が広がっています。春に向けて養生しているところですが、木が早いのか咲いているものもありました。冬至から三週間が経ち、日の入りは20分以上遅くなっています。午後の陽射しは少しずつ暖かくなってきているのでしょうか。まだまだ寒の内。春は遠そうですが、思いを馳せながらこの寒さと付き合って参りましょう。