"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

酷暑の東京に秋を探して

2007年08月11日 16時59分23秒 | まち歩き

 旧六月二十九日。二十四節気【立秋】の日(8/8水曜日)。テレビのお天気キャスターは皆口を揃えたように「今日から暦の上では秋、これからは残暑お見舞いです。まだまだ秋の気配が感じられない暑い時期・・・」と言っていましたね。
 確かに、二十四節気と実際の気候にはズレを感じます。南北に長い日本列島では特に土地土地によって感覚が違ってくるでしょう。それは、二十四節気が誕生したのが紀元前11世紀から17世紀の中国古代王朝、殷(いん)の時代で、その中心地、殷墟(いんきょ)の気候が内陸の乾燥した高原地帯だったことに因るようです。このことは、暦のことをいつも専門的に、かつわかりやすく紹介している『こよみのページ』「なぜずれる? 二十四節気と季節感」という解説がありますので、ぜひお読みいただきたいと思います。興味深く、なるほど、と思えるはずです。
 そうは言っても、その二十四節気は日本でずーっと使われてきたわけで、昔の人は二十四節気によって、新暦のカレンダーに支配されている現代ではピンと来ない微妙な季節の移ろいを肌で感じていたのでしょう。

811cosmos  そんな思いもあって、立秋の日の午後、自分なりの秋の気配を探しに旧浜離宮庭園をぐるっとまわってきました。春には一面の菜の花が咲き誇っていた花畑には代表的な秋の花コスモス(秋桜)の中でも、目に鮮やかなオレンジ色から朱色へのグラデーションが眩しいキバナコスモスが見頃を迎えています。午後の気温は当然30度越え。ビルの谷間に居たら気がつくことはない爽やかな風を感じます。空は盛夏の印象とは違って青空の色は少し色濃く澄み切って高い印象です。
811semi上空高いところには箒ではいたような薄い雲、その下には足早に駆けてゆく雲があります。この空と風の感じは、少しだけ秋なのかな、と納得してしまいました。
 夏の象徴である暑さは、まだまだこれからですが、少しずつ身近に感じられる秋の気配を楽しんでゆきたいものであります。週末からは岩手に行きます。みちのくはもっと秋の匂いがするのでしょうか。
(旧浜離宮庭園のベンチに座っていると羽化する直前のミンミンゼミが木と人を間違えてよじ登ってきました)