"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

都会の紅葉&北斎はスゴイ

2005年11月18日 23時57分25秒 | 季節のおはなし

 旧十月十七日。満月を二日過ぎました。東京ではこのところ初冬らしい晴天が続いています。都会の空でも夜は星をたくさん見つけることができますね。都会の明かりを反射する薄雲やスモッグが季節風に飛ばされてしまったのでしょうか。月は白く明るく、こういう晩は冷え込みます。

11-18kouyou1 遅れていた都会の木々も、本格的に色づいてきました。月島の拙宅前には鉢植えのブナの木が置いてあります。ブナといえば、標高500メートル以上の深い山で育つ落葉広葉樹。長年蓄積した落ち葉が雨水や雪解け水を保水し、時間を掛けて濾過し美味しい水にしてくれる、自然界にとって大切な木です。この鉢植えは、ちょうど10年前の今頃、岩手県の奥羽山脈にある秘湯、夏油(げとう)温泉近くで、樹齢300年クラスの大樹が落とした実を拾い、プランターに植え発芽した木です。昼夜の気温差が少ない都会ではなかなか綺麗に色づかないのですが、ここ数日の冷え込みのお陰で、うっすら黄色くなってきました。やがて葉を落とし、春はまた瑞々しい新緑を見せてくれます。その姿は春のお楽しみに。

11-18hokusai1 さて、本日は上野のお山、国立博物館『北斎展』を観に行ってきました。芸術のことを迂闊に語るとボロが出るため止めておきますが、見応えのある、なぜか楽しい気分になる展示でした。特に江戸時代の庶民の暮らしぶりを描いた作品が興味深いです。そこに描かれている人々の視線、表情、仕草に釘付けになってしまいました。江戸時代末期に90年の生涯、プロのアーティストとして70年のキャリア。北斎の人生そのものといった感じの展示です。これほどの作品が集結するのは1901年の展覧会以来とのこと。12/4までの開催ですので、ぜひお見逃しないように。
(↑看板が切れてしまいましたが国立博物館の前庭です)