"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

平成二十四年もよろしくお願いします

2012年01月06日 20時51分42秒 | ご挨拶とお知らせ

 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお付き合い下さい。“暮らしのリズム”のイベントなどにお運び下さった皆様。このblogをいつも読んで下さっている皆様。日本らしい素晴らしいことを大切にされている皆様。すべての皆様にとって平成二十四年が素敵な年になりますことを心より願っております。

 旧十二月十三日。今日は二十四節気の【小寒】。寒の入りです。

冬至より一陽起るが故に陰気に逆らう故、益々冷ゆる也
                『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 暖かかった晩秋から初秋を過ぎ、12月の半ば頃から寒さがいよいよ厳しくなり、B0106sumiyoshiこの年末年始も真冬の装いとなりました。これから立春まで、暦の『寒』はさらに本格的な寒さをもたらしそうです。風邪やインフルエンザが猛威を振るう季節でもあります。皆様、どうか対策万全にくれぐれもご自愛ください。
 明日は五節句のひとつ、新暦の『人日の節供』です。スーパーや八百屋さんでは七草粥のセットが売られています。暖かいお粥で邪気を払い、免疫力を高めましょう。
(写真は元旦の静かな佃・住吉神社です。うす雲が広がり淡い陽光がちょっと寒々く感じられました)

 “暮らしのリズム”では、七年目を迎える恒例のイベント『手前味噌仕込みの会』を3月20日(火・春分の日)の開催にむけて準備を行っています。皆で仕込んでご自分の一升瓶(約2kg)に仕込んでお持ち帰り。自宅でひと夏越したら美味しい手前味噌の出来上がり。打ち上げでは味噌を使った料理に舌鼓。正式な開催のお知らせまで、もう少々お待ち下さい。

 エンタテインメントでは、恒例の『居酒屋寄席』も4月開催に向けて準備中です。どうぞ、お楽しみに。

 まずはご挨拶とお知らせでした。


『Witchenkare vol.2』に寄稿しました

2011年04月20日 16時16分22秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧三月十八日。二十四節気の【穀雨】です。

春雨降りて百穀を生化すればなり。
             
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)

 本来であれば水稲作付けの準備が忙しくなる頃。被災され田畑に向かい合えなくなってしまった農家の方には、心よりお見舞い申し上げます。完全に復興するまでは数年単位の時間が掛かると言われています。生活保障はもちろんですが、田畑整備のために国は積極的に支援の手を差し伸べて欲しいです。東北の旨い米を再び!

 毎朝5時前に家を出て、自転車で勝鬨橋を渡るのが日課なのですが、今朝西の空に浮かぶ月は大きく美しく、とても印象的でした。
0420izayoi十七夜の月が夜明けを迎え、街が目を覚ます前に沈んで行くのですが、月例にすれば16と少し、真円が少し歪んだ姿で、まだ薄暗い西の空に大きくくっきりと映えています。エネルギーに満ちているのか、気分も高揚します。早起きのわたしは、朝西の空にに望む満月以降二十日くらいまでの月は、エールを送られているようでとても好きです。

 移りゆく月の姿を愛でながら暮らす。「ときどき旧暦な暮らし」と題した短いエッセイのような文章を、リトルプレス『Witchenkare vol.2』に寄稿し4月1日に正式発刊されました。0420wtk2 昨年4月に刊行された創刊号に続いての掲載です。リトルプレスとは、表紙のキャッチコピーによる「すすめ、インディーズ文芸創作誌!」というとわかりやすいと思います。執筆家でありながら、今回は十四人。様々なジャンルで活躍するみなさんがフィクション、ノンフィクションにとらわれず、自由な感覚で書いた作品がオムニバスのように収められています。
 大手の書店などでも売られているそうですので、機会がございましたら、お手に取ってご覧ください。もちろんお買い求め頂くのが一番嬉しいです。ぜひよろしくお願いします。

目次や取り扱い書店などの詳しい情報はこちらを。
Witchenkareの公式ブログはこちらを。
ごらんください。


桜色に染まる頃に思うこといろいろ

2011年04月01日 18時28分53秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧二月二十八日。朝晩は少し冷え込み日中は陽射しの暖かさをしっかり感じられる新年度最初の日。
 空気が澄んだこういう日の二十八日目の月はとても美しく儚げでもあります。日の出はずいぶん早くなって今朝東京では5:28。それより1時間半ほど早く薄月は登り、東の空にくっきりと姿を現しました。やがて日が昇って空が明るく白くなって行くと、その姿はす~っと消えて行ってしまいます。辛うじて肉眼でとらえることが出来るのは6時ころだったでしょうか。「じゃ、今日も一日頑張って」というメッセージが聞こえて来るようで、この日の月はとても好きなのです。

 気象庁が東京で桜が開花した、と発表したのは今週の月曜日、3月28日でした。ほぼ平年並みで昨年より六日遅いそうです。0401sakura 満開の予想は4月6日。週明けに花冷えの日が続きそうなので、見頃は来週の後半あたりになりそうです。靖国の桜はとても陽当たりのよいところにあるのでしょうか、自分の周辺の桜からするとちょっと早いかな、という感じがしています。写真の染井吉野は3月29日、場所は浜離宮です。何本かの木の中でほんの四~五輪ほど花開いていました。やっぱり日本人なのです。世の中がどうあれ、桜の花がほころぶ姿に体の中がポッと暖かくなりました。
 東北地方太平洋沖地震の災害を受けて「花見を自粛しましょう」というような声がちらほら聞こえてきます。いろいろ思うところはありますが、自粛したほうが良いと思う行動は、花見にかこつけた野外での乱痴気騒ぎであって、桜を愛でるそれぞれの花見は静かに行えば良いのだと考えています。日本人が古から毎年毎年楽しみにしてきた桜の花見。それは、美しさと華やかさに心躍らせ、散って行く花に無常をなぞられること。今年の桜、人それぞれ特別な思いを抱く忘れえがたいものになることでしょう。わたしは、宮城・岩手の沿岸にある蔵のお酒を桜を愛でながらいただこうと思っています。

 なんでも自粛ムードにはちょっと違和感を抱いています。幸いなことに被災しなかった者には、それぞれの役割があるのです。わたしが思うのはこんなことです。今までよりほんの少しでも節電の意識をもつこと、決して無理をしない範囲での寄付や援助の気持ち、不確かな情報に惑わされず、自らも発信しないこと。そして最も大事なのは、努めて普通の日常を送るようにすること、だと思っています。元気な人は、いつも以上に元気なくらいでないと、この国はどうなってしまうのだろう、と憂うばかりです。

 “暮らしのリズム”では、5月14日土曜日に【居酒屋寄席~目には青葉の会】(出演:立川吉幸・泉水亭錦魚)を開催することになっています。もちろんやります。余計な気負いもなく、いつもの会と同じように楽しい夜にしたいと思っています。

“暮らしのリズム”presents
『居酒屋寄席~目には青葉の会

出演:立川吉幸、泉水亭錦魚
日時:平成23年5月14日土曜日 18:30開場 19:00開演
場所:渋谷・居酒屋ニュー信州 
渋谷区渋谷3-20-16(03-3797-6966)
料金:3500円
(先ずの一杯と季節の味覚のお楽しみつき)
   30席限定要予約

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それでも春は膨らんでいます

2011年03月20日 11時12分57秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧二月十六日。月は早朝に満月となりました。4時9分には19年ぶりに月と地球が接近し、それに先立って3時10分に南中時今年最大の視直径、つまり明るく大きな月、スーパームーンを迎えました。部屋に差し込む月明かりが眩しいほどです。晴れていれば灯りの無い場所でも、この月の灯りでほんの少し不安がぬぐい去れるのかなと、ふと思いました。

 今回の大震災、北関東から東北の太平洋沿岸を襲った想像を遥かに超越した大津波。亡くなられた方には心からお悔やみ申し上げます。行方のわからない方がどこかでご無事であればと祈るばかりです。そして、不安に包まれている被災者の皆さんにお見舞い申し上げます。

 明日は二十四節気の【春分】

日天の中を行きて昼夜等分の時なり
            『暦便覧』(天明八年/1788年出版)

 春の真ん中なのです。見上げればハクモクレンの蕾がはじけ0318mokuren、柳の細い枝には新緑が芽吹き、桜ももうすぐ、という頃を迎えています。 東京もあの日以来、当たり前の日常とは違う日々が続いています。被災地が、日本がこれから先どうなってゆくのか、一人一人が何をしてゆかなければならないのか、前を向いてしっかり考えて行く時です。昨日より今日、今日より明日が確実に少しずつでも良くなって行く、ということを信じて。春はしっかり膨らんできています。(写真は月島の渡船場跡に根を張るハクモクレンの老木です)


こんにゃく芋からこんにゃく作り

2010年12月31日 15時25分02秒 | ご挨拶とお知らせ

 旧十一月二十六日。ブログの更新ものんびりサボっていたら、アッという間に大晦日。平成二十二年最後の日となってしまいました。歳が幾つになってもやり残したことをたくさん抱えたまま大晦日を迎え、悠然と新年を迎えることができないのは、困ったものです。師走の行動を自己管理する能力に著しく欠乏している自分を嘆きながら、今年もカウントダウンを迎えようとしています。それにしてもこの年末寒波は厳しいですね。陽射しに恵まれていても冷たく乾いた風が肌を切るようで、外出も億劫になってしまいます。大変お気の毒なのは大雪に見舞われている地域の方です。心からお見舞い申し上げます。

 “暮らしのリズム”の恒例イベントとなっている『手前味噌仕込みの会』
(第5回の模様はこちらをご覧ください)を来る平成23年2月19日(土)に開催すべく準備を始めています。このイベントは今回で6回目。例年新しい参加者をお迎えして、皆で大豆を潰して麹・塩と混ぜて、自分の一升瓶に味噌になる材料を仕込んでお持ち帰り頂くのですが、回を重ねるに従って、常連メンバーの技術が熟練してきており、作業があっさり終わってしまうようになってきました。そこで「味噌仕込&何か」という企画を考え、前々回は「わさび漬け」そして前回は「麹を使った料理あれこれ」にトライしてきました。
 そして、今回は「こんにゃく」にチャレンジしてみようと思いました。こんにゃくは大きく分けて、生の芋から作る方法と、こんにゃく芋の粉から作る方法があるのですが、ここは本来の製法であり、より美味しいこんにゃくを目指して、
1230imo生の芋で作ることにします。そこで、実験的に自宅でこんにゃく芋を作ってみました。暮れも押し迫った12月30日。大掃除もそこそこに半日キッチンひきこもりです。
 まずは原料となる生のこんにゃく芋。こんにゃくの本場、上州は群馬県甘楽郡下仁田町からインターネット通販で取り寄せました。
(これが届いた芋。右下の小さい袋が凝固剤の貝殻焼成カルシウムです)
 ゴツゴツとした芋の洗浄からとりかかります。生のこんにゃく芋にはシュウ酸カルシウムという劇物が含まれているため、1230konnyaku1 素肌に付いたり生のまま口に入ると、痒くなったり熱くなったりと刺激があります。そのためゴム手袋をはめて作業しなければなりません。ぬめりが強くてとても滑りやすいので、ゴム手袋は却って作業しやすいように思いました。そして、皮を剥いて
(写真左上)→水を張った鍋に摺りおろして(写真右上)→しばらく置いてから大胆に力強く練りこんで(写真右下)→水に溶いた凝固剤を加えます(写真左下)
 こんにゃく芋は洋梨のようなリンゴのようなフルーティな香りがします。摺りおろすと写真のように淡いピンク色になっています。1230konnyaku2 ここに凝固剤を入れてさらに練りこんでいくと
(写真左上)、色が一気に淡い緑色に変化しました。練っている手が重さをずっしり感じるようになったら急いで成形です。ステンレスのバットに敷き詰めてしばらく置きます(写真右上)→形から切り出しで茹でます(写真右下)→これが出来上がり。団子状に整形して、刺身こんにゃくのように切ってみました(写真左下)。市販のこんにゃくより柔らかく、滑らかではなく鬆が入っています。練りが足りなかったのか、凝固剤が足りなかったのか、もう少し固いこんにゃくを目指していたので、ここはちょっと反省ポイントです。
 で、食べてみると、これが普通に食べていたこんにゃくとは比べ物にならないほど味が濃いのです。1230pilikara 薄く切って生姜醤油をつけた「こんにゃくの刺身」はもうこんにゃくではない「何か」の刺身のようです。定番の「ピリ辛きんぴらこんにゃく」
(写真左)は、鬆があるためか味の染み込みがしっかりして、鶏肉か豚肉のたんぱくな部位を煮たかのような味わいでした。うん!これはビールが進む。良い肴です。調味料の染み込みが良いので、簡単な煮物や鍋物、汁物に重宝しそうです。かなり濃い味付けをしてもこんにゃくの味をしっかり主張しているのが手作りならではの魅力です。
 これは『手前味噌仕込みの会』でも皆でチャレンジしましょう。柚子味噌や田楽、玉こんにゃく、きんぴらなどなどいろいろ出来そうです。『手前味噌仕込みの会』の開催案内は、年明け早めにこのblogでいたします。ご期待下さい。