"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

【手前味噌仕込みの会】仕込完了!

2010年02月14日 08時05分04秒 | 主催する催し

 旧一月一日。旧暦のお正月。中国では春節です。立春過ぎて十日が経ちました。まだまだ寒さは厳しく、寒の頃よりも寒いのではと感じてしまうこの頃ですが、東京では乾いた冬晴れの日が続かなくなるのは、確実に春らしくなってきている証拠です。陽射しの暖かさも感じられるようになってきました。「春だなぁ」と噛み締めるのは二十四節気ではもう一つ進んだ【雨水(うすい)】の頃、2月19日くらいからでしょうか。


 今年で五回目、恒例となりました“暮らしのリズム”食のイベント【手前味噌仕込みの会】を2月11日に行いました。0214misojikomi2 今年は22人が参加して、初めての試み麦こうじの味噌を仕込みました。これまでの最年少参加者は9歳。いつも大豆の仕入でお世話になっている松葉屋商店の永井康介さんのお嬢さんです。こうじをほぐして、大豆を潰し、材料を混ぜて団子にして瓶に仕込む。小さな手で一生懸命作業をしてくれました。
 今回は二度目以上の御参加という方が多く、皆さんもう手慣れたものです。丸麦にこうじ菌をつけて作られた麦の生こうじは香りが独特です。ビール工場を見学されたことがある方には、ピンと来るあの匂いです。しっとりと粘り気があって、まずはこれを細かくほぐすところから作業が始まりました。
 パラパラになった麦こうじを塩とよく混ぜ合わせ、その間に大豆をじっくり煮ていきます。
0214misojikomi前夜に水に浸した大豆はほぼ半日を経過して二倍半くらいの大きさに膨らんでいました。まだ新豆の柔らかさが残っているので、煮る時間は1時間半。煮上がった大豆は、ほんのり甘みがあって旨味もしっかりしています。これを熱々のうちに醤油に浸すと、それだけで美味しいおつまみになるのです。あとをひく大豆の美味しさにあらためて感動しつつ、次はポテトマッシャーで、大豆を少しずつ潰してはシートに積んでいきます。
 クライマックスは潰した大豆と、塩と合わせたこうじを混ぜる作業です。ここでいつもは大豆の煮汁を加えて固さを調整するのですが、煮汁は栄養分が多くて味噌が早い段階で赤くなってしまう、という情報を得ました。今回の麦味噌は、西日本で広く親しまれているような白味噌も楽しみたいと考えていたので、煮汁ではなく味噌と同じ塩分濃度の湯冷ましを加えることにします。そして仕込味噌を皆が持ち帰る1升の瓶に詰め込んで作業はおしまいです。
 作業の後は乾杯~酒宴の始まりでです。まずは味噌を使った料理が振る舞われます。味噌料理の定番といえば「鯖の味噌煮」。
0214koujiryouri白いご飯が恋しくなってしまう濃厚な味わいでお酒も進んでしまいます。もう一品は「鴨の味噌漬け焼き」。噛めば噛むほどに旨味と肉汁がにじみ出て来て、これも酒の肴に最高です。昨年仕込んだ玄米こうじ味噌の「味噌汁」も冷たい雨降る夜に嬉しい一椀でした。
 こうじを使った簡単料理を二品用意しました。米こうじと煮た大豆、少しの塩を混ぜ合わせて半日ほど常温で馴染ませたシンプルな「大豆のこうじ和え」(大豆300g/米こうじ100g/塩小さじ半分くらい)。大豆の旨味に米こうじの甘みが加わって、ちょっと甘酒の風味も感じられます。もう一つは麦こうじと納豆、乾燥芽かぶを合わせて醤油・酒・味醂で味付けした「もろみ納豆」(麦こうじ300g/納豆250g/乾燥刻み芽かぶ50g/醤油80cc/酒100cc/味醂100cc)。ネバネバの納豆と芽かぶに麦こうじのプツプツした食感がクセになります。こうじ菌と納豆菌の相乗効果はとても体に良さそうな予感がします。こうじを食べる、ということをこれまであまりして来なかったのですが、消化酵素をたっぷり含んだこうじ菌パワーをストレートに吸収できるので要注目です。米こうじはスーパーなどで200gのパックを300円くらいで売拉れているので、手軽に使えそうです。ぜひお試し下さい。

 昨年末に我が家で仕込んだ麦味噌の瓶を試しに開けてみたところ、わずか40日という熟成期間ですが、しっかり味噌の風味になっていました
(中央の写真左下)。まだ少し塩が尖っていますが色・香り・味は、若い麦味噌そのものです。秋には皆で仕込んだ麦味噌を持ち寄って手前味噌自慢の会】を開催しようと思います。麦味噌は熟成が早いので、どんな仕上がりになるか早くも楽しみです。