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フラットランドの冒険家

 遠い宇宙の果てにフラットランドという惑星がある。そこは一年中曇っていて、空はいつも白く輝いていた。そこに住んでいる生物にとって世界とはフラットランドの地表だけである。

 あるときフラットランドの冒険家、エイが世界の果てを探そうと東に向かってどんどん歩いていった。迷子になるといけないのでエイは赤い毛糸の玉を用意し、それを町外れの木に縛り付けて、毛糸の玉をほどきながら東に歩いていったのだ。そして100日後に町の西に現れた。どうも世界は球のようなものらしい。

 エイの冒険に対抗心を燃やしたビーは北に向かって歩いてみることにした。青い毛糸の玉を用意したビーは、これをほどきながらどんどん北に進む。そして10日後に町の南に帰ってきた。やはり世界は球か。

 エイとビーの冒険には所要日数が大幅に違うこともそうだが、もっと大きな問題があった。エイの残したはずの赤い毛糸をビーは見なかったというのだ。第二次調査隊が編成され、赤い毛糸と青い毛糸をたどったが、たしかに赤い毛糸と青い毛糸は交差していない。

 NHKスペシャルで皇帝ペンギンの子育てを放送していた。猛烈な吹雪の中、皇帝ペンギンの雄達は集団を作って体温を保とうとする。ペンギン達は前にいるペンギンの後ろへ後ろへとついていき大きな集団となる。一番外側のペンギンは皆背中を向けているわけだが、そうするとひとつの疑問が沸き起こる。ちょうど真ん中では何が起こっているのか。そこではペンギン達がくちばしをつき合わせているのか。

 映像に答えがあった。ちょうど真ん中付近に穴が開いていてそこでもペンギン達は背中を見せている。上から見るとドーナツのような形をしているのだ。

 こんなことを研究する数学にトポロジーと呼ばれるものがある。「テニスボールのような毛の生えているボールの毛に、分け目をいれずに櫛を入れることは出来ない」とか「地球上には必ず風の吹いていない時間、場所が存在する」というのもその応用だ。ところでフラットランドであるが、どうもドーナツのような格好をしているらしい。

Ref: Flatland, Edwin A. Abbott 


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