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炭から墨まで中国

 備長炭を使っているという焼き鳥屋やウナギ屋がそこらじゅうにある。普通の炭に比べて煙が出ず、匂いもつかないから良いということ。

 もともとは和歌山県で焼かれていたものだが、最近では外国産のものや備長炭とは言えないようなものまで備長炭と言う名前で流通しているらしい。

 そんなわけで現在は紀州備長炭と言う名前が商標登録されている。この紀州備長炭、生産量も少なく非常に高価な炭である。そうやすやすと使うわけに行かないらしく、東京の老舗すき焼き屋でも中国製の備長炭を使っていると言っていた。

 ところがこの中国産、火力が弱いんだそうだ。なかなかぐつぐつと煮えてこない。仲居さんも「こうなるとIHヒーターとか考えないといけないんだけど」とお手上げだ。

 しかし、すき焼屋ならIHと言う手もあるが焼き鳥ではそうも行くまい。実際、最近立て続けに二軒、煙臭の強い焼き鳥屋に入ってしまった。備長炭炭火焼を売り物にしているのにである。煙くさくて食べられない焼き鳥は初めてである。

 話は変わるが中国の炭で昔、失敗したことがある。自称セミプロの書家の卵に北京の土産は何が欲しいと聞いたら青墨が欲しいという。青墨???

 一緒に行った中国人が大きな書道用品専門店に連れて行ってくれた。さすが本場である、大きなフロアの一角が墨専門のコーナーになっている。あらかじめカードに青墨と書いて、これをくださいとカードを見せたのだが、目の前に沢山並べられて選べと言われた。

 そんなんわかりませんがな。色々説明してくれるのだが、わかりません。結局日本円で1万円くらいの墨を買ったのだが同行した中国人は労働者の1か月分の給料だと驚いていた。ってことは、日本では20万円くらいの価値があるということか。いい買い物をした。

 「せっかく貰ったんだけど青墨じゃなかったわよ」と書家の卵。「青墨って、こうやって薄く書くと青く見えるでしょう、でもこの墨は茶色なの」、、、どうも中国の炭も墨も私には鬼門らしい。



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春の志賀高原観光案内と4けたの数字

 5月の連休は毎年志賀高原で最後のスキー。雪の少ない年でも必ず奥志賀や熊の湯、横手では滑走可能だ。

 最近は長野まわりで行くが、長野自動車道ができる前は草津から志賀草津道路を使っていた。ちょうど連休にあわせて除雪をして道路を開通する。それでも標高が高いから5月でもみぞれが降ったり、凍結していたりするから慎重に走る必要はある。

渋峠2172m この志賀草津道路の最高地点が渋峠で2172mある。そしてここが国道の最高地点らしくて、写真の碑が建っている。ここからの眺めは良い。手前に白根山、その向こうに煙を吐く浅間山が見える。

白根山 渋峠から白根山を見た写真。5月には雪が大分少なくなっているが、3月後半の天気の安定した頃だと渋峠から草津までツアーも可能だ。登りは無く、ゆっくり滑っても30分の行程だ。もっとも荷物を全部背負って滑るわけだから最近はもうやらない。

ビューポイント 5月の連休にはスキーヤー以外にも大勢観光客が来ている。雪が多く残っている長野県側はなかなか迫力があって飽きない。ビューポイントには必ず駐車場があって写真を撮ったり出来るようになっている。

水芭蕉 雪がとけた場所ではミズバショウやふきのとうが群生している。スキーをしなくても、日帰りでも十分に楽しめるのでお勧めだ。この水芭蕉は蓮池スキー場のリフト乗り場付近で撮影したもの。

麦草峠2127m でもまてよ、2172メートルで国道の最高地点って本当だろうか。いつも紅葉を見に行く白駒池の手前の麦草峠も2172mじゃなかったか?いったいどうなっているのだ。

 最近老眼がとみに進み、思い込みも激しい。老化現象だと思っている。


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ウサギと赤とんぼとカフカ

 うさぎ追いし かの山
 小ぶなつりし かの川
 夢はいまも めぐりて
 忘れがたき ふるさと

 小さい頃よく聞いたこの歌。かなり大きくなるまで「ウサギ美味し、、、」だと思っていたというキムラさん。兎はご馳走だったらしい。釣った小鮒もきっと食べたに違いないので、筋は通っている。

 私の場合は赤とんぼ。

 夕焼け小焼けの赤とんぼ
 負われて見たのはいつの日か

 「おわれてみたのはいつの日か」がどうしても解釈できなかった。子供心に必ず合理的な意味があると考えた。その結果が、赤とんぼの気持ちを歌っていると言うこと。赤とんぼになってしまった自分が、子供に追いかけられている情景と刷り込んでしまった。

 ある朝、寒さと不安な夢からふと覚めてみると、ベットの中で自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな赤とんぼに変わってしまっているのに気がついた。薄くきらめく羽のはえた背中を下にして、仰向けになっていて、ちょっとばかり頭をもたげると、6本の足の生えた真っ赤な腹部が見えた。

 こんな変身をしたのだとしたら、子供なんか怖くない。頭からひとかじりできそうだ。残念ながら想像力はここまでたくましくはなかった。サイズは小さな赤とんぼのままに変身していたから、夕日を保護色として、一生懸命に逃げまどっていたわけだ。

 「たとえ『うさぎ追いし』だとしても同じことよ」とキムラさん。「兎を追いかけて捕まえたらどうせ食べるんだから。捕まえたらこうやって耳を持っておもいきり地面に、、、、、、、、


Ref:「変身」フランツ・カフカ


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ラブソングができるまで

 ラブソングがはやっている。このあいだ見た映画が「ママの遺したラヴソング 」だったし今日の映画も「ラブソングができるまで」である。まあこの映画の原題はMusic and Lyricsだから直訳すると「詩とメロディ」か。Vの表記が「ヴ」と「ブ」のように微妙に違うところも面白い。

 80年代の人気ロックグループのボーカルだったアレックスは、グループ解散後ソロデビューするが散々である。「あの人は今」のような番組に出たり、遊園地や、クラス会の余興に呼ばれたりという状態だ。

 そのアレックスにスーパースターのコーラから新曲を書いて欲しいという依頼がある。彼は作詞家と組んで新曲に取り掛かるが、80年代の曲想を引きずっている彼の作るメロディと現代風の詩とが合わない。

 そんな時、植木の世話係のソフィーがつぶやいた独り言にインスピレーションを得て、曲を書き始める。もともと彼女は作家志望であったが、理由があって書くことをあきらめていた。

 その二人がぶつかり合いながらも新しい曲を作っていく。そして二人ともあきらめていた夢にもう一度挑戦するというストーリーである。

 10年位前に「スティル・クレイジー」と言う映画があった。これは70年代のロックをパロディ化した名作であったが、「ラブソングができるまで」は80年代のロックを下敷きにしたコメディの傑作だと思う。

 いろいろ面白い台詞がたくさん出てくる。「あの人は今」にデビー・ギブソンが出てくるとか。たしかに一発屋のイメージが強いがElectric YouthやLost in Your Eyesなど好きだった。

 最初に組んだ作詞家が「MoonやJuneなんていうフィーリング音楽なんかお断りだ」と言うのも面白い。

 1987年卒業のクラス会に呼ばれたりすると、ぴちぴちのズボンをはいて歌いながら腰を振るわけだが、それをからかわれたときの台詞がいい。「ぴちぴちのズボンだからハートに血液がまわるんだ」

 コーラのミュージックビデオはビヨンセかマドンナを極端にパロデイ化してあってそれだけでも笑える。

 昔風のビデオクリップも作ってあって、ヤマハのDX7とかローランドのD50が出てくる。この2機種は当時、一世を風靡したシンセサイザーで、ちゃんと押さえるところを押さえてある。

 アレックスを演じているのがヒュー・グラント。「ブリジットジョーンズの日記」では外見は良いが、内面はとんでもない奴を上手に演じていた。この映画では将来の展望も無い、しょうがない男だが、内面はやさしいいい男を演じている。彼の当たり役だと思う。

 ソフィーを演じているのがドリュー・バリモア。8歳のときETにでて有名になった子役だ。十代で麻薬とアルコールにおぼれたことでも有名だ。今ではすっかり立ち直っていると言うことだが、映画の中でも麻薬に言及するところがある。そんな台詞が言えるようになったことを喜びたい。



 とにかく笑える。80年代ロックのパロディが楽しい。もちろんそれだけではなく最後はジーンとしたりする。そして出来上がった曲「愛に戻る道」もこの映画のために書き下ろされた曲だがなかなか良い。すぐに覚えてしまって映画館を出るとき口ずさんでいたりする。お勧めの一本だ。


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もうひとつのアイデア

 交差点で隣に並んだのはポルシェ911。30代後半の渋いお兄さんが運転している。こちらはハイブリット車のプリウスだから信号待ちではエンジンが停止し、全く静かになる。聞こえてくるのは隣の甲高いエグゾースト音だけだ。

 横の信号が黄色に変わったのを確認してからギアをローに入れる。換装された280馬力のエンジンが自動的に息をふき返し、低い排気音が空気をゆらす。ポルシェのお兄さんが驚いたようにチラッとこちらを覗く。そう、このプリウスは超高速仕様の改造車なのだ。

 信号が青になった瞬間にプリウスは飛び出す。280馬力のエンジンパワーと150馬力相当のモーターの駆動力はおよそこの地上では無敵だ。バックミラーにうつるポルシェはどんどん小さくなっていく。甲高いエグゾースト音が追いかけてくるだけだ。

 環境にやさしいと言われているハイブリットカー。ガソリン1リットルで20kmも走るらしい。ハリウッドでも人気でハリソン・フォードやジャック・ニコルソン、二コール・キッドマンやメグ・ライアンなども保有していると言う。

 この環境にやさしいと言うコンセプトで開発されたハイブリットカー。これをチューンするという意外性をねらって、いつかやってみたいと思っている。コンセプトの衝突と言ったらよいか。

RearView コンセプトの衝突と言えば2006年4月、横浜の赤レンガ倉庫の前にこんな車があった。ミニクーパーのストレッチリムジン。後輪が4輪あるのはちょうどその上にジャグジーが付いているから。


FrontView BMWに買われてからはずいぶん大きくなってしまったが、それまでのミニは小さくてかわいい車であった。チューンアップされたミニクーパーはその外見に似合わず、高性能で大藪晴彦の作品に頻繁に登場した。団塊の世代にはいつかミニクーパーを買うぞと思っている人が沢山いるはずだ。


 この小さくてかわいいミニをストレッチリムジンにしてしまうのもコンセプトの衝突と言える。意外性が楽しいのだが、山道でのろのろ走っているミニクーパーに追いついたとしても追い抜くときは注意が必要だ。ストレッチリムジンでないことを確認してから抜かないと怖い思いをすることになる。なにしろ全長6mを超えるらしいから、、、、、




Photo:http://www.drivingfuture.com/car/bmw/nw040817_01/


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井の中の蛙、大海を読む

 赤ん坊の頃どんな格好で寝かされていたのかわからないが左脳が異様に発達した友人がいる。もっとも、発達しているのが確認できるのは外見だけで、内部にしっかり脳みそが詰まっているかどうかは定かでない。彼の周りでは左脳君と呼ばれていた。

 この左脳君の特技が会話にことわざを引用することである。それも聞いたことの無いようなことわざを。

 「そりゃ、いつも言っているように『貝殻で海を測る』ようなものですよ」と言われてもどんなものかさっぱりわからない。お作法としてはどういう意味なのか聞かなければならないのだが、得意そうに説明してくれる。

 「ほら、佐久間さんがいつもやっている『狭い見聞、知識しか持ち合わせていないのに大問題を議論すること』のたとえですよ」

 左脳君、そりゃ冗談で言ってるのだよね。そうでないと凄いことを言っていることになるんだけれど。喧嘩を売ろうってことかい?

 「なら『鍵の穴から天を覗く』の方が分かりやすいですかねぇ。自分の狭い見識で考えて、広大なことについて勝手な判断を下すことですけれど」と左脳君。

 とても冗談と思えないほど首尾一貫している。でもね左脳君、言葉を尽くして説明してもわかってもらえない時、ことわざを引用するとニュアンスを含め瞬間に理解してもらえる。それがことわざの使い方だ。君のことわざはまどろこっしいだけだ。

 人生において、情報のほんの一部だけしか与えられていないのに、全体を推測しなくてはならないケースなどいくらでもある。たとえば冒頭の写真のように。この写真はあるものの一部を撮影したものである。全体の構成を想像できるだろうか?


注:全体写真は明日のBlogをご覧ください。

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「人間の奥行き」ヴァンジ作品展2000-2006

 東京方面から東名高速道路を西に走る。鮎沢パーキングエリアを過ぎると天気が良い日には富士山が真正面に見える。御殿場や裾野は東京からでも100km圏内、ドライブを楽しむには良いエリアだ。

 遊ぶ場所もいろいろあって、お花見は御殿場高原ビールだし、御殿場プレミアム・アウトレットは国内のアウトレットの中では楽しめるほうだ。天気がよければ山中湖や河口湖など富士五湖へ行ってもよい。

 このエリアで最近行ったのが裾野インターチェンジの近くにあるクレマチスの丘。あの超優良企業であるスルガ銀行の系列文化施設だ。

 このクレマチスの丘にはビュフェ美術館、ヴァンジ彫刻美術館、木村圭吾さくら美術館 、井上靖文学館や クレマチスホワイトガーデンなどがあって一日楽しめる。

 特にお勧めなのが併設されたレストラン、マンジャ・ペッシェ。東京にあるイタリアン、アクアパッツアの姉妹店で、選び抜かれた地元の素材がおいしい。残念ながら夕食には時間が合わないので、ランチになってしまうが、ちゃんとしたものが出てくる。大人気なので予約しておく必要がある。

 どうも食い気の話になってしまうが、美術館ももちろん楽しめる。特にヴァンジ彫刻美術館がお気に入りだ。ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻を集めた美術館としては世界で唯一らしい。

 そのヴァンジの最近の作品を集めた展示会が東京九段のイタリア文化会館で開かれている。17点の展示と小規模ではあるが、最近の作風が楽しめる。色大理石の組み合わせなど人目を引く工夫もされているが、私としては純白の大理石を使った作品が好みだ。

 このイタリア文化会館、全体が赤い建物で、景観論争に発展した建物である。一度見にいかれて感想を聞かせていただけるとありがたい。個人的な意見としては、彩度を落とした落ち着いた美しい赤だと思うのだが。

 「人間の奥行き」ヴァンジ作品展2000-2006と題されたこの展示会は4月30日までイタリア文化会館で見ることができる。これらの作品は9月以降ヴァンジ彫刻美術館で展示されるので、イタリア文化会館で見ることのできなかった人は、秋晴れの一日クレマチスの丘まで出かけてみることをお勧めする。


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カート・ヴォネガットと丹波哲郎

 2007年4月11日、現代アメリカ文学の担い手の一人カート・ヴォネガットが亡くなった。85才だった。「スローターハウス5」や「タイタンの妖女」などの長編作家として名高いが、短編小説も多くある。

 1950年から60年代のまだテレビが普及していない頃、サタデー・イブニング・ポストやコスモポリタンなど当時の雑誌の短編に対する需要は大きかった。これらの雑誌にはヘミングウエイやフォークナー、スタインベックまで寄稿している。上質な短編が数多く書かれていた時代だ。

 カート・ボネガットの短編集は「モンキー・ハウスへようこそ」と「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」の2冊が出版されている。ほとんどの短編が60年代以前に書かれているのでSFものにはちょっと古めかしさを感じるが、ユーモアとちょっとした皮肉は相変わらずだ。

 この「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」は1999年に発行された短編集で、前書きに力が入っていて面白い。12ページもあるこの前書きは、本文の短編より長かったりする。

 その中に創作講座101というのがあって、およそ文章を書く者が心がけるべき8カ条が書かれている。なるほどと感心するのだが、その中でも特に第七条がその通りと思わせる。

7.ただ一人の読者を喜ばせるように書くこと。つまり、窓を開けはなって世界を愛したりすれば、あなたの物語は肺炎に罹ってしまう。

というものである。そういえば俳優の丹波哲郎が演技をするときの心構えとして「とりあえず目の前にいる監督をいかにして喜ばせるかを考えている」と言っていたが、相通じるものがある。

 現代日本を代表する男優、丹波哲郎も2006年9月に亡くなった。84歳だった。残念な人たちの訃報が続いている。

Photo: Bagombo Snuff Box, Kurt Vonnegut 早川書房


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ママの遺したラヴソング

 銀座のシネスイッチで4月7日から公開している「ママの遺したラヴソング」を観にいった。一時間も前に行ったのに道路にはもう行列が出来ている。マッチポイントにでていたスカーレット・ヨハンソンがなかなか良いと聞いて出かけたのだが、思った以上に人気がある映画のようだ。

 母ロレーンの死去の連絡を受けた18歳になる娘、パーシーは葬儀のためフロリダからニューオリンズに向かう。そこに待っていたのは母の友人という、呑んだくれの元文学部教授ボビー・ロングと作家志望の青年ローソンだった。

 母に捨てられ、祖母に育てられていたパーシーは学校にも行かず、すさんだ生活をしていた。周囲の人たちに心を開くことも無かったのだが、シンガーだったロレーンの周りにいた人たちの母親に対する思いにだんだん心を開いていく。

 この映画のテーマのひとつは、劇中で引用されるロバート・フロストの

Happiness Makes up in Height What It Lacks in Length
Robert Frost

幸福とは長さの不足を高さであがなうもの
ロバート・フロスト

ではないかと思が、上手に表現できていると思う。

 ボビー・ロングを演じているトラボルタがなかなか良い。最近のフェイスオフとかマイケルと比べると、良い役を上手に演じている。アル中という役はトラボルタにぴったりだが、その彼が元大学教授でTSエリオットなどの引用をするから、意外性が楽しい。

 スカーレット・ヨハンソンが利発で感受性豊かな少女パーシーを演じている。人気者だったロレーンの娘であるということを町中の人たちが知っていて、暖かく迎える。母親のドレスを着て出かけたとき、そのドレスを覚えていた男がパーシーにやさしく話しかけたりするエピソードなど、ちょっとじんとくる。

 酒場の女を演じているデボラ・カーラ・アンガーも良い。彼女は「微笑みに出会う街角」で見たのが初めてであったが落ち着いた大人の女を演じている。ローソンのパートナーとしてじゃじゃ馬なんかよりずっとお似合いだと思うのだが、、、、

 この映画のもう一人の主人公は舞台となったニューオリンズである。フランス人によって開かれた町の中心部はフレンチ・クオーターと呼ばれている。フランス風の家が立ち並んでいて、アメリカの他の都市とは異なった雰囲気がある。非常に魅力的な都市で多くの文学や映画の舞台にもなっている。

 また、奴隷貿易の中心地でもあったこのニューオリンズは、黒人が人口の70%であり、ジャズが生まれた街でもある。貧しい居住区もあればプランテーションと呼ばれる一帯には「風と共に去りぬ」に出てきそうな白亜の豪邸が立ち並んでいる。米国の都市にしては平面的でない、複雑な都市である。

 このニューオリンズは2005年のハリケーン、カトリーナによって壊滅的な打撃を受けた。復興に伴って避難していた白人達は戻ってきているが、貧しい黒人達は戻ってきていない。現在では50%以上が白人と、人口構成が大きく変わってしまったようだ。きっと昔のニューオリンズには戻らないにちがいない。

 この映画は2004年の作品で、カトリーナ前のニューオリンズで撮影されている。そういう意味で本当のニューオリンズを舞台にした最後の映画になるのではないかと思う。是非ご覧になることをお勧めする。

 ところでニューオリンズには有名なカフェ・デュモンドがある。最近日本でも店舗を展開しているようだ。チコリコーヒーと四角いドーナツ、ベニエで有名だが、劇中でもヨハンソンがベニエを食べている場面がある。横浜シアルにもあるのでカロリー制限中ではあるが久しぶりに行ってみようかと思っているのだが、、、、、


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進化の頂点と痴呆は紙一重

 「全くいい加減な奴だ」とよく言われていた。自分でも思い当たることが多々あったので、ちょっと自己嫌悪気味だ。俺が悪いんじゃなくて脳細胞が悪いんだと言ったら「要するに馬鹿ね」と言われてしまったが、その通りと言うしかない。

 しかしなぜこれほど脳細胞はいい加減なのか。これは脳の進化に密接に関係している。脳が進化すればするほど脳は大雑把になるのだ。

 人の顔を識別する場合を考えてみよう。もし完璧な記憶を持っていて、記憶の映像といま目の前に座っている人のイメージが完全に一致したときだけ識別可能だとしたら、そんなものは役に立たない。大雑把に対象を捉え、いい加減な判断をするから、しばらく会わない間に少々髪の毛が薄くなっても、目の下がたるんできてもちゃんと識別できるのだ。

 20年ほど前の職場の人間が集まって酒を飲むと言う案内が回ってきた。20人ちかく集まると言う。通信用のLSIを開発していた仲間だ。関東の端とはしに分かれてしまったのでメールや年賀状以外、直接会う機会は少なかった。

 みんな爺さんになっているだろう。芳野さんと阪元さんは相当薄くなっているはず。渡部さんは真っ白なはずだが、黒々と染めているだろう、などと髪の毛の方に興味が向かうのは同病相哀れむということか。

 それでも問題なく皆を見分けることができるはずだ。開発用の設備の時間割り当てが夜11時から朝8時までなどということがよくあった。一緒に徹夜した仲間だ、忘れるわけは無い。

 そして楽しみにしていた3月18日、、、、、えっ、、、、スキーと重なっている。飲み会の幹事からは2ヶ月も前からスケジュール大丈夫ですよねと念をおされていたのに。

 結局、朝4時に起きてスキーに行ってしまった。幹事さんごめんなさい。しかし、ぽかぽか春スキーのはずが、みぞれと雨でひどい目にあったのは自業自得と言うもの。

 下等動物は忘れると言うことが少ないらしい。そのため環境が変化すると簡単に絶滅してしまう。忘れると言うのは新しい環境に順応するために必要不可欠な特性であり、高等生物の最大の特徴でもある。そんな進化の頂点にある私を許して欲しい。

 こんな風に言い訳しようかと考えていたが、痴呆が入っている上に誇大妄想狂も入っていると言われそうなので、さてどうしたものか、、、、、


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世界標準と日本

 20年位前オーストラリアに半年暮らした。仕事は夕方の4時には終わり、日没が8時過ぎだとするとやることはひとつ、ゴルフである。

 平日は毎日9ホールつまりハーフを回るのだが、調子の良いときは18ホール回ることが出来る。パブリックコースなので安い、たしかハーフで3オーストラリアドルだったと思う。休日はゴルフ場のはしごであったが、他にやることは無かったのかといえば、自信持って言える。他にやることは無かった。

 半年後にはハーフで50を切るようになっていたが、これには理由がある。このパブリックコースにはバンカーが1箇所しかないのだ。18ホールで1箇所。それにOB無し、隣のコースに打ち込んでも帰ってくればよい。

 日本に帰ってきてゴルフに行ったが、全く別のスポーツである。全てのホールにバンカーはあるわ、林や池まである。何だいったいこれは。あまりにも人工的なレイアウトに人間不信に陥る。人間とはここまで意地悪くなれるものか。本来ゴルフとは自然との闘いではなかったのか。

 おまけにキャディまで付く。自分でカートを引っ張って走り回っていた山猿が急に王侯貴族のまねをしているようで落ち着かない。もっとも「あの杭から三本奥の木の根元に落ちました」などと教えてくれるから、たしかにボールの消費量は少なくなった。

 120も叩いて身内には「上手だと聞いてたんだけどなあ」と言われてしまったし、お客様にも「肩の力を抜いてーー、リラックス」などと気を使わせてしまった。

 日本には世界標準からかけ離れたものが多いが、ゴルフはその代表であろうか。オーストラリアのゴルフのほうがよっぽど特殊だと言う意見もあるがそれは違う。

 オーストラリアのBright People Booksで刊行している"On the origin of golf by means of natural struggle"と言う本がある。そこにはゴルフの起源として原住民アボリジニーの"Goe-lx-fum"という遊びが英国に伝わったものであると言う説が書かれている。

 ことの真偽は別としても、日本のゴルフは性にあわない。あれからゴルフのお誘いはお断りしている、、、、ということになっている。かわいそうに本間のパーシモンは車庫で腐っているが、そのうちシャフトを切って文鎮にでもしてやろうと思っているのだが、、、


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記憶障害と天地

 カメラがデジタルになって大きく変わったことがある。それはまずシャッターを押すということ。フイルムカメラの頃は一日に36枚撮りを一本使うことも少なかったが、デジカメでは一日に300枚など当たり前だ。

 また、写真には撮影データが記録されるのでメモの代わりに写真を撮ったりもする。相模湖インターに入ったのが6時58分で諏訪インターを出たのが8時26分などと言うのを昔は手帳に書いていたが、今は写真を撮っておく。後で撮影時間を見れば良い訳だ。

 構図も考えずにどんどん撮っていくからつまらない写真も増えたが、同じ被写体をいろいろな角度で撮ってあるので面白い写真も増えた。そして撮影意図のわからない写真や、心霊写真かと思うようなものまで増えてきた。

 スキーから帰ってきて写真データをPCに転送したらこんな写真が出てきた。一瞬何を撮ったのかわからなかったが、すぐに納得した。もちろん心霊写真ではない。自分で撮ったのも忘れるくらい多量に写真をとっているということ。まあ、最近よく忘れるのは量の問題だけじゃないという気もするが、、、、、




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フィオリーナの置き土産

 現在、ヒューレットパッカード社と言うとデル社と競い合っているパーソナルコンピュータメーカである。しかし、もともとは電子計測器の会社であった。実験室には必ずヒューレットパッカード社の測定器があり、小文字のhpと言うロゴがまぶしかった時代である。

 1980年代、計測器がコンピュータで制御されるようになるとhp社は制御用のコンピュータを発売したが、測定器メーカと言うイメージがあったから大いに違和感を感じたものだ。

 しかしその後、hp社はビジネスフィールドをどんどんコンピュータに移していくことになる。やがてhp社は計測器部門をアジレント社として切り離し、あげくの果てには売却してしまった。そういうわけで現在のhp社にはあまり思い入れは無いが、ひとつだけがんばってもらいたいとすると電卓部門である。

 hp社が電卓を出していたのはあまり知られていない。逆ポーランド方式という特殊な入力方法を採用していたのも一因であろう。この逆ポーランド方式と言うのは複雑に括弧のついた数式でもそのまま入力できる優れた方式で、メモリーキーやイコールキーは不要である。慣れると普通の入力方式はまどろっこしくてやってられない。

 逆ポーランド方式は日本語の数式の読み方と同じと言われている。たとえば「1+2」を日本語では「1と2を足す」と読む。逆ポーランド方式の入力では「1enter2+」と入力する。また「5÷(1+3)」は「5enter1enter3+÷」となるのだが、少しも楽そうでないと思ったとしたら説明が下手なだけで、実際は大変楽である。

 唯一の問題点は逆ポーランド方式の電卓を販売しているのはhp社だけであると言う点であり、実際それは起こった。2002年にhpは電卓から撤退すると発表したのだ。それまで科学技術計算用の15Cと32Sを持っていたがあわててその当時購入できた金融用の12Cを予備として買った。

 その後米国では電卓事業の継続を決めたらしく、20年以上のロングセラー12Cも当分購入することが出来るようになった。ただ新製品は中国のOEM製品のようで従来の重厚な感じはずいぶん薄れている。

 残念ながら日本hp社は電卓を取り扱わないらしく、それまでに販売した電卓の修理も2004年で打ち切ると発表した。おいおいそれは無いだろう。hp社はユニークな製品を出す尊敬に足る会社と刷り込まれて来たが考えかたを変えざる得ない。デルの真似をしていったいどうするつもりだろう、、、

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御殿場高原ビールの桜

 花見とは桜をめでるのが本来の趣旨だ。ところが最近の風潮は、昼間から酒を飲めさえすれば良いというところがあって嘆かわしい。

 もっとも桜が満開であればどこでもよいかと言うとそうでないからややこしい。家の周りにも立派な桜の木はあるし、近くの工場のフェンス沿いは桜並木になっている。じゃあそこにゴザを敷いて花見の宴となるかと言うとそうはならない。通りすがりの人たちに奇異な目で見られるのがおちだ。

 やはり花見は、満開の桜と、場所の取り合い、大勢の酔っ払いとで成り立っている。そのどれが欠けてもとたんに面白くなくなるのだが、桜についてはたしかに優先順位は低い。それじゃあ「昼間から酒を飲めさえすれば良い」というのとどこが違うのかと言われると返す言葉は無い。

屋台 毎年お花見は御殿場高原ビールへ行くことにしている。敷地内に樹齢80年を越す桜並木があり見事である。桜の木の下には自由に使えるテーブルや椅子が沢山用意されていて、桜の満開の時期は大勢の花見客でにぎわう。屋台も出ているので雰囲気は満点だ。

おみやげ さすがにビール屋さんだけあって、いろいろな種類のビールが飲めるし、レストランも充実している。パンやチーズ、ケーキを売る小奇麗な店や土産屋さんもあってなかなか楽しい。また温泉施設もあるので一日遊ぶことが出来る。

九分咲き 去年は4月9日に行ってちょうど満開だったが、今年も同じ頃満開になりそうだ。今年は4月7日時点で9分咲き。まだ一割くらいがつぼみの状態である。この写真が参考になると思う。最近寒い日が続くので、多分来週でも十分楽しめるのではないか。チャンスがあれば行ってみることをお勧めする。

 帰りは御殿場インターチェンジから東名高速に乗って帰る。途中、二の岡ハムによってボローニャソーセージを買うのもルーチンになってしまった。


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高速道路の正しい歩き方

 高速道路は木の葉を落とした広葉樹林の間を貫いて海岸線に向かって続いていた。この時期、この高速道路を使う人はほとんどいない、貸切状態だ。ほどなく冬の太陽は日本海に沈むだろう、急がなくては。すこしスピードをあげる。今日の宿は新鮮な魚料理で有名なひなびた民宿、山波。こんな寒村にあるのに予約がなかなか取れない有名宿だ。

 異常を感じたのは熊野トンネルを抜けてすぐ、川沿いに走る高速道路が大きく右にカーブしているあたりだった。突然車体がふっと突き上げられ、前輪のグリップを失ったのだ。時速160キロで走っていた車は、そのまま直進する格好でガードレールに向かっていく。

 事故は避けられない。被害を最小限にするためにアクセルを軽く踏む。かろうじてグリップを回復した車の左側面をそっとガードレールに当てていく。すさまじい音と、火花が10秒も続いただろうか、車は止まった。よかった、スピンは避けられた。

 幸いなことに右側のドアーを開けることが出来たので、後続車に注意して外に出る。ガソリンのもれている匂いはしない。引火の危険性は少ないと思うが、用心に越したことは無い。

 乗っていた人間にはほとんどショックは無かったが、車は無残なものである。左のフロントタイヤは90度横を向いていて、バーストしたタイヤがへばりついている。エンジンは停止していて、水蒸気を上げている。

 と、突然地面が激しく揺れた。地震だったのか?かなり激しい。高架になっている路面が波打って見える。後ろのほうには30センチもあろうかと言う段差が見えた。これでは後続車も期待できない。

 山の中だ、携帯電話も圏外を示している。およそ200メートルくらい先の26キロポストまで歩いて非常電話をかけるがダイヤルトーンも聞こえない。地震の影響か回線障害が起こっているようだ。

 困った、ここがどのあたりか見当が付かない。カーナビに頼っているから地図を積んでいないのだ。ハイウエイを歩くしかないのだが、先に進んだほうが良いのか戻ったほうが良いのか判断がつかない。高速道路を歩くための情報は極度に不足しているのだ。

 こんなときに役に立つと思うのが、高速道路のサービスエリアで配っている「ハイウエイウォーカー」高速道路を楽しく歩くためのガイドブックだ。

Highway Walker

 それにしても「ハイウエイウォーカー」という名前を奇異に感じる人はいないのだろうか。いろいろとウォーカーシリーズを出している角川の情報誌だから「ハイウエイウォーカー」にしたのだろうけれど、話題づくりのための確信犯だったりする。この文章はまさに角川の作戦に引っかかってしまったとしか言いようが無いのだが、、、、



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