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本、時を刻む湖 中川毅

 去年、2018年の11月、福井県の敦賀に越前ガニを食べに出かけた。

 カニをたらふく食べた翌日、その2ヶ月ほど前にオープンしたばかりという年縞博物館に連れて行ってもらい、すっかり地質学にはまり込んだ。

 年縞とは福井県の西、若狭湾に面した三方五湖の中の水月湖の堆積物の層のことで、何万年分の縞模様が観測でき、年代測定の世界標準になっている。



 この世界標準制定を主導したのが立命館大学の中川毅教授で、1980年代の先人たちの研究活動から制定までの記録が岩波科学ライブラリーのこの本、時を刻む湖である。



 作業の中心人物の書いた本であるから内容的に素晴らしいにはもちろんであるが、読みやすい、理解しやすい構成であり文章であるのが光っている。

 年代測定の世界標準がなぜ必要なのかの説明から始まり、プロジェクトの提案書を作り、水月湖の堆積物を採取するためのボーリング費用を英国の大学に出してもらい、世界中の科学者たちの協力を得て、完成したデーターが世界標準として認められるまでのドキュメンタリーであり、超一流のエンターテイメントでもある。読んでいて楽しいのだ。

 機会があれば読んでみることを是非お勧めする。


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本、絵でわかる日本列島の誕生

 図書館から堤之恭著「絵でわかる日本列島の誕生」を借りてきた。世界的に見て非常に特殊な地質構造を持つ日本列島、その誕生について書いた本だ。




 以前図書館で借り、その後アマゾンで購入した是永淳著「絵でわかるプレートテクトニクス」という本がわかりやすく面白い本なので大変期待して読み始めた。

 こういう本を読むときはまず目次をしっかり眺め、全体像を掴んでから読み始める。



 ところがこの本、目次から何も伝わってこない。”「日本列島形成史」の形成史”とは一体何だろう。気を取りなおして本文を読み始めた。

 ウーム、構成ばかりでなく文章も私の好みに合わない。「絵でわかるプレートテクトニクス」と読み比べると言わんとすることをわかってもらえると思う。

 「このように書くと、、、、、と思われるかもしれません」のような表現がとても多い。一生懸命文章ロジックを追っていくと最後にひっくり返されれしまう印象だ。

 断片的な内容はとても面白いので、なけなしの脳力を使って再構築しながら読んでいく。おかげで記憶には残りやすかたのはこの本のおかげ。人間万事塞翁が馬。

 テーマは大変興味のあるこの本、絵と文章を書き直して欲しいものだ。


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本、奇跡の地形

 日本の絶景を北海道から九州、沖縄まで紹介している「奇跡の地形」、美しい写真とわかりやすい説明が楽しい本だ。

奇跡の地形

 この本は2ページに渡る1枚の写真とその後の2ページで図や写真を使ってその地形について説明している。

 この見開き2ページの写真は厳選されていて美しい。

奇跡の地形

 もっとも月光に照らされた松島とか朝焼けの十和田湖とか少々芸術方向に振れているような気もする写真もある。どこが二重カルデラかと言いたいところではあるが、写真の綺麗さに、まあこれはこれで良しとしよう。

 2019年2月に発売されたこの本、当分は購入できそうなので、買うかどうかはもう少し考えてみようと思っている。



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本、地層の見方がわかるフィールド図鑑

 日本の地質は世界的にみても非常に特殊らしい。

 例えば「下仁田ジオパークでは2km四方の地層の上下が逆転している」などといわれると素人地質マニアには「はっ??」と言うしか無い。

 そこで図書館で借りてきたのが青木正博、目白邦康著の「地層の見方がわかるフィールド図鑑」だ。



 この本は基本的な地層構造について説明している。したがって日本以外の地形も出ているし、下仁田や城ヶ島のような特殊な例については言及はない。

 地質学者と言うとポケットのたくさんついたチョッキを着てハンマーで石を叩いているという印象がある。



 こんな絵もあって、さらに印象を強くしたのだ。

 100円ショップやホームセンターで岩石標本を手に入れるなど、ユニークなページも有り、実用的で楽しい本だ。

 
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本、絵でわかるプレートテクトニクス

 日本に住んでいると地震や火山噴火などは日常の風景だが、世界的に見ると日本の地質は非常に特殊らしい。

 プレートと呼ばれる地殻が動き続けていて、これらが日本のそばでぶつかり合っているのがこの特殊な地質を作り上げている原因らしい。

 このプレートの動きをプレートテクトニクスと呼んでいて、これを詳しく説明した本がこの是永淳著「絵でわかるプレートテクトニクス」だ。

絵でわかるプレートテクトニクス

 この本、説明の仕方がとても良い。タイトル通り絵を多用していて視覚的にわかりやすいし、根本の理屈を数式でも説明している。

 数式が出てくると、うへっとなるかもしれないが数式を追わなくてもちゃんと理解できるように書かれている。私はと言えば数式部分は片目でちょっと見て、結論の式だけ頭の片隅に記録しておくことにした。

 もっとも「熱伝導の時間スケールは空間スケールの自乗に比例する」の説明に3センチの石ころを温めるのに15分かかると聞くと、だから石焼きうどんは美味しいのだと思考が別の方向に向かってしまう問題はある。

 半分くらい読み進んだところで「地球以外の惑星にもプレートテクトニクスなあるか」などという章が始まると、もうネタ切れでページ稼ぎかと思ってしまったが、ここからが面白い。特に生命環境にプレートテクトニクスが必須であったというのは驚きである。

 地質学者と言うとポケットのたくさんついたチョッキを着てハンマーで石を叩いているという印象があるが、現代の地質学は非常に幅広い知識を要求される総合科学なのだと納得させられるこの本、お勧めだ。

 
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日本のグランド・キャニオン、日本の地質と地形

 青森県の十二湖のそばにある日本キャニオンは米国にある本物のグランド・キャニオンに比べたら芥子粒のように小さくて、「わお、これはすごい」という感覚はなかった。

日本キャニオン

 ところが地質学者の目から見ると、本物のグランド・キャニオンは

グランド・キャニオン

 「なーんだ、ただ地層累重の法則によってほぼ水平な地層が積み重なっているだけではないか」(高木秀雄)

 と思うらしい。それに対し「日本の地質は例えば城ヶ島のわずか1000年前の地層でも地層の上下が逆転しているなど、その複雑な地層構造に圧倒される」と言う高木秀雄の著書「日本の地質と地形」を図書館で借りてきた。



 日本列島が地質学的にいかに特殊で、変化に富んでいるかをきれいな写真とともに見せてくれるこの本、日本に住んでいるのにこれらの風景を見ていないのはいかにもったいないことなのかと思わされる。

 ただし、この「第四紀の地層でも垂直に立っていることがよくあったり、下仁田ジオパークでは2km四方の地層の上下が逆転している」などといわれると、素人地質マニアにとって日本の地質は難しすぎる感もある。

 何度眺めても飽きないこの本、結局アマゾンで購入することにした。


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岩波書店 地球全史 写真が語る46億年の奇跡

 地球博物館へ行った時購入したのが「地球全史 写真が語る46億年の奇跡」という本。

地球全史 白尾元理

 地球博物館にしろ地球全史にしろタイトルに地球とつけるのは、意気込みは買うが名前負けしないかと少々心配になる。

 しかしこの「地球全史」は楽しい本だ。美しい写真とその地形の地質学上の意味を簡潔に説明してある。

 これらの写真を撮られたのが白尾さんという写真家なのだが、東北大学の地質学科を卒業され、大学院で火山を研究されたという写真家としては異色の経歴。その彼が選りすぐった写真だからきれいなだけではなく、なぜその写真を選んだのかを明快に説明してくれているのだ。

 何も知らないと単なる岩山に見える地形も、プレートを作っていた中央海嶺が陸上に持ち上げられたものだときくと、鳥肌が立つ心地になる。

地球全史 白尾元理

 こんなにも楽しい白尾さんの本が他にもないか調べてみたら「グラフィック日本列島の20億年」というタイトルが検索に引っかかった。

 東北地方を形成する島と西日本を形成する島が衝突してできた本州に今も伊豆半島が衝突しているという世界で見ても非常に特殊な地質学的特徴を持った日本列島。そんな日本の特徴的な写真が満載なのだろうとアマゾンで検索したが絶版であった。楽しそうな本なのに売れなかったのだろうか。

 それではと図書館に出かけ、借りてきたのがこれ。

グラフィック日本列島の20億年

 やはりきれいな写真で構成されているが丁寧な説明が追加されている。これは図書館で借りる本ではなく、古書でも良いから購入しようと思っている。

 さて、本題に戻って岩波書店の「地球全史」であるが、興味があるようであればできるでけ早く購入するのが良いと思う。あっという間に絶版になりそうな気がするからだ。



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神奈川県立生命の星・地球博物館

 ブルーバックスの「フォッサマグナ」を読んで、地質学的に日本が、そして伊豆半島付近がいかに特殊であるかに驚かされた。

 その伊豆半島の付け根、小田原にある神奈川県立生命の星・地球博物館に出かけた。

地球博物館

 展示は隕石から始まる。そう、地球は隕石が集まって形成されたことから説明が始まっているのである。

地球博物館

 そして化石の展示。

地球博物館

 すぐに恐竜の展示になり子どもたちは大喜びだ。

地球博物館

 もちろん岩石標本もある。

地球博物館 トーナル岩

 ベスブ石って、イタリアのベスビオ火山関係と思ったらそのとおり。

地球博物館 ベスブ石



 地球博物館の名前に恥じないようにテラノザウルスの骨格かからスズメの剥製までと幅広く展示しているが、幅が広すぎて焦点が定まらない。世界中から資料や標本を集めてきたようだがこれらを小田原で展示する必然性は少ない。福井県立恐竜博物館のようにそこで展示することに意味がある博物館にするには伊豆半島の衝突をメインテーマにしたらどうだろうと思う。

 入場料100円で大いに楽しめたが、帰りに5000円近くする「地球全史」を購入した。

地球全史

 この本、写真がとても綺麗でお勧めだ。



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年縞博物館と中川毅教授によるガイドツアー

 福井県敦賀市で越前ガニを食べた翌日、三方にある今年の9月にオープンしたばかりの年縞博物館に連れて行った頂いた。

 ここで言う年縞とは三方五湖の中の水月湖の堆積物の層のことで、何万年分の縞模様が観測でき、年代測定の世界標準になっている。詳しくは年縞博物館のホームページをご覧になるのが一番わかりやすいのではないかと思うので、是非ご覧になってください。

 訪れた日はたまたま立命館大学の中川毅教授のガイドツアーが実施されていて、これが非常にわかりやすくて、楽しい。中川毅教授は年縞を採取を主導された方で、採取分析の苦労話、裏話が面白いのである。

 雰囲気をご覧に入れるとこんな感じである。




 

  年縞博物館のお知らせページにガイドツアーの日程が公表されているので、この日に合わせて訪問されることを是非おすすめします。



 つい最近フォッサマグナの本を読み、地球の歴史に興味を持ち始めたばかりだったからとても楽しい時間を過ごすことができた。博物館の運営の足しにと年縞定規を購入し興奮しながら帰途についたのだ。
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ナウマンとフォッサマグナ

 何気なく本屋の前を歩いていたら山積みのブルーバックスが目を引いた。「フォッサマグナ」。ちょっとのつもりで立ち読みしたら止められなくなった。

フォッサマグナ

 ナウマンゾウを発見したドイツの地質学者ナウマンが、150年ほど前に来日し、東京から軽井沢、野辺山、韮崎、甲府を回って東京に帰る地質調査をし、世界に二つと無い地形に驚いたというのだ。

 そのあたりは頻繁に車で通っていたところであったが、風景の特殊性など気づきもしなかった。立ち読みを止めてレジに向かった。

 家に帰り一気に読み終えたが、地質への興味が一気に高まり、本屋へ行くとこんなものを買ったり、



 
 道を歩いているとこんなものを拾ったりすることになった。



 車で移動しているときは馴染みの風景を全く違う視点から見るようになった。これは伊豆半島がぶつかってきたときにできたシワが雨で侵食された地形に違いないなどとつぶやく。

 それにしても日本列島の地質学的特殊性には今更ながら驚かされる。地震の巣窟であることに納得したのである。
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